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子ども再会、遠のく足 事業の一部中止に 福島・浪江

集いに出て再会を喜ぶ福島県浪江町の小中学生。参加者は減ってきている=10月、同県猪苗代町

 福島第1原発事故で全国に分散避難する福島県浪江町の小中学生に、再会の機会を提供する町の事業が一部中止に追い込まれた。避難先での生活が定着し、参加者が減ったためだ。町は「離れ離れになった子どもを引き合わせる貴重な機会で、打ち切りは考えていない」と話している。

 「『集まれ!なみえっ子 子ども家族交流事業』は参加申し込みが少なく、事業を行うことが難しいため、中止とさせていただきます」
 9月、町のホームページに再会の集いを取りやめる告知文が載った。請戸小など町内の5小中学校に在籍した避難児童、生徒486人を対象に10月に郡山市で開く予定だったが、参加申し込みが8人にとどまり、町教委は開催を見送った。
 ほかの4小中学校の計1287人向けに同時期に予定した別の2回の集いは開いたが、参加者は計92人で全体の7.1%にすぎなかった。
 町は全町避難を強いられ、子どもたちも35都道府県に避難し、696校に籍を移した。町は子どもたちを引き合わせようと、県内で再会の集いを定期的に開いた。
 初回は2012年3月で、18.8%に当たる334人が集まった。同年7〜8月に学校別に5回に分けて開催した集いは参加率が12.3%に下がり、今年に入って減少傾向に拍車が掛かった。
 町教委は「子どもたちが避難先の学校で友人をつくり、部活動も始めて新しい学校生活が定着し、参加者が減った」とみる。
 町教委は事業継続を前提に、夏休みに開いたり、イベントの中身を工夫したりして参加率アップを図る。
 畠山熙一郎教育長は「子どもたちが新しい環境になじんでいるのは歓迎すべきことだが、町とのつながりが薄れていくのは残念だ」と語った。


2013年11月10日日曜日

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