3・11後のサイエンス:被ばくのブラックボックス=青野由利
毎日新聞 2013年10月24日 東京朝刊
長期目標である年1ミリシーベルトまで下げるのにかかる時間も重要な要素だが、「数十年にも及ぶことが予測され、政府として目標は設けていない」という。これは想像以上に長い期間であり、一般の人が抱いているイメージとは大きく違う気がする。だとすれば、政府は説明不足であり、福島で除染状況を視察した国際原子力機関(IAEA)のチームが、「年1ミリシーベルトの目標は短期的に達成できないことをもっと説明すべきだ」と求めたことにも通じる。
「帰還を強制しているわけではなく、戻るかどうか決めるための材料にもしてもらう」と「検討チーム」の座長である規制委員会の中村佳代子委員は述べている。そのために必要な情報は山のようにあるが、被ばくのブラックボックス解消もまた、避けて通れないはずだ。(専門編集委員)=次回は11月28日です