2013年09月30日

3000個のボタンを全て押せ

アランの『幸福論』というのは、とても優良な一冊だ。
93点のエッセイが纏められた本であり、私はまだ三分の一程度しか読んではいないが、これは読んでおいたほうが良い、座右の書であろうと判断できた。
とくに、私のような心の病をもつ人種ならば、と付け加えておきたい。

前半では、「恐怖は妄想、幻想である」ということについて書かれているものが多い。
あへて臆病にては叶うべからず
つまりはそういうことを、アランは坦々と書いている。

ようするに、何がその恐怖を呼び出しているか、それがわからないから、人間は恐怖するのだ。
でもさ、その恐怖には必ず原因がある。
しかし人間は愚かであって、その原因を究明することなく、ただ恐怖するということ。
じゃ、どうすればいいの?

アランの『幸福論』には、はじめの手記にこんな内容がある。
赤ちゃんがおむつを留めているピンが気になって泣く。
しかし、親にはそれがわからない。
なんで泣いてるんだ? なんでだ? どうしてだ? 
――つまり、これが恐怖というものであり、原因も究明しないで恐ろしがる愚かな人間の姿だ。

アランはそこでこう言っている。
「産着のピンのつけ方を直せばいい」――と。

まあその通りですよ。

でもですよ、これは二重の構造になっているので注意がいります。
なぜかなら、全ては関係性(縁起)によって起っているということを意識する必要があるからです。
つまり――
赤ん坊と産着のピンは依報であり、幻想に恐怖しているのは、正報である親たちの心にあるということだ。
私の場合だとね、幼少期に家庭内暴力のある環境で育ってきた。だからいまだに音に敏感で、大きな音がすると恐怖を感じるわけですよ。
でも音は依報なんですね。音の発生をおさえる防音とかすれば、少しは改善させられますが、私の心にある恐怖する原因を取り除かない限り、いつまでも根拠のない恐怖に苛まれるわけです。
――ああ、これはただの音です。あるがままの音です。細かく言うと、隣人が部屋でズッコケタ音です。
まあ、こんな具合に、依報にある原因を分析しながら、自分の心にある、物事を「ありのまま」に受取れていない部分を探し出すわけです。
でもってそのボタンを押せば、恐怖などとたんに消えるってな寸法です。

しかし、孤独に一人でいて、想像や空想や思考をしていて、恐怖から抜け出すことは非常に困難なことなのだ。
つまり依報にある何かの縁に恐怖しているわけではなく、思考の中に自ら恐怖を作りだしてそれに怯えるからですね。
こんなところから、人と関わっていった方が、自分を知れるという点が見えてくるということ。
会話してればさ、「あー、恐怖の原因はこれか!」っとなんとなく気づけるってことですし、自己幻想でありもしない恐怖を増殖させることもないからですね。
無論、認知療法と呼ばれるような方法も有効である。
言ってみれば、私のように、文章を書くことで、自分の心が何をどう感じて、何をどう考えているかを、自己分析するということですね。
最近いろいろ外野さんが言ってますが、私がブログをやっている理由はそれだけなんですよ。
そうした自分と向き合う場所がここであるだけであって、その記事が同時に誰彼への励ましになれば幸いである。
それしか考えてないんですね。
つまり、自利=利他であればいいなぁ。そういうことですわ。

でも最終的に人間は一人であり、祈りを叶えたいなら、恐怖の根本原因を排除する必要があるのだ。
さあどうする? どうしますか?

題目あげて、思索して、ひとつひとつ原因が自分の心のどこにあるか、それを見つけ出せばいいんです。
というか、見つけ出せなくても、どんどん唱題を重ねていけば自然に恐怖しなくなるんですよ。
それが(一念三千)3000個のボタンを押すということ。
見つけ出そうとすることは、これかな? と思索して探す行為にあたる。
そして、とにかく愚直に唱題する行為は、とにかく順番に、手当たりしだいボタンを押していく。そういうことになるだろう。
どちらを選ぶかはその人しだいだろう。
私は前者派だ。自覚しておけば、以後、同じような恐怖を感じたときに対処しやすいというのが、その理由だ。
けど、どちらを選ぶかはその人しだいですよ。

言い方を変えれば、前者は質の高い唱題であり、
後者はとにかく量の唱題に挑むというこにあたるのではないだろうか。

どちらにしても、恐怖は幻想である。それは真実だ。
アランは、怒りは興奮の先にある、そうも言っている。
意味わかりますか? わかんないですよね。私もはじめは良くわかりませんでしたよ。

ようはです、原因を究明せずに、そのことを「考える」ことによって、興奮が怒りになるということです。
恐怖も同じです。原因を究明せずにそのことを「考える」から、恐怖という幻想に捕らわれるわけですよ。
頭イイネ、アランさん(`・ω・´)b

けどさ、人間はどうしたって理性的であり、考える生きものですから、どうしたって考えちゃうわけです。
ましてや、私のようなAC体質は特にそうです。
行動を起こす前にあらゆる状況を想定して、行動を起こす(自己防衛思考)をするからです。
幼少期からそういう習慣というよりも、傾向性、性格を作ってきたのだから、仕方ないんですけどね。

けどね、これは別に悪いことでも何でもないんですよ。
なぜかなら、事前に難点を考察しておくのと、行動しながら突然に出会う難点を乗り越えて行くことは、同じである。
そういうことだからです。
妙法の元において全ては平等というのが、こう言う点からも感じられるわけですよ。
もっとも、考えないと、こういう考察ひとつ得ることはできませんけどね。

でも、考える行為は、沢山の妄想(つまり恐怖)を生みだすので、まあ考え慣れない人は、あんま考えない方がいいですよ。
「案ずるより生むが易し」でしょうね。
物事は常に二元的です。こんなところからも、それがわかります。

ともあれ、恐怖なんて幻想です。妄想です。
ゆえに――あへて臆病にては叶うべからず
なのですよ。

恐いなら、原因を探し出して、排除すればいいだけの話です。

アランはそれをこう言っている。
幼い子どもが泣きわめいていくらなだめてもいっこうらちがあかないとき、乳母はよく、その子の性質や好き嫌いについてまことに気のきいた推測をするものだ。遺伝まで引っぱり出して、もう父親そっくりだなどという。そんな心理学的な試みをつづけているうちにいるうちに、ついに乳母はピンを発見したりする。ピンがすべてのほんとうの原因だったのだ。

ま、そういうことですよ。
怒りも同じですよ。喜びも同じですよ。
興奮の先には怒りと喜びが一如として存在するのでしょうねぇ。
やみくもに原因も究明せずに憤るのが怒り。原因を知って歓喜するのが喜びなんでしょうね。

当に知るべし瞋恚は善悪に通ずる者なり

すなわち、怒るのは愚か者なんですわ。
原因がわかれば、それは喜びになるんですからね。
まあ、私もこの人生、随分長いこと愚か者だったわけです(´・ω・`)
けどね、いつまでもそんな幻想に紛動されていませんよ。

瞋恚というのは、自尊心に基づく怒りです。
つまり、自分を尊ぶ心です。
素直に自分を尊べば、これは喜びになるんですよ。
けどね、ねじ曲がって、自尊心を傷つけられたと感じると、憤りになり、怒りになるんですよ。
修羅っていうのはさ、そういう風に、諂曲(ねじまげる)生命でしょ。
こうやって考えるとわかりやすいんだな。

あーでもない、こーでもない、そう言われても、
うんうん、そうだね、でも俺は俺、私は私、そうやって自分を尊べば、喜びになる。
あーでもない、こーでもない、そう言われて、
てめーこのやろう、俺の誇りを傷つけやがったなと、いつまでも怒ってる人は、修羅の生命に捻じ曲げられて、瞋恚を喜びに変えられない人。ちっぽけな人間ですわよ。
まあ、そういうことですね。一生やっているといいよ。
オレ、そんなこともうしないからね。

気づけば早いんだよなぁ、オラ(`・ω・´)

けどねぇ、この瞋恚ねぇ、
私の場合、エンパス体質ゆえに、人より感じやすいんですよねぇ。
言ってしまえば、「情念」という無意識層から突き上げてくる、「情念」というものの原因が何だかわからないうちに怒ってる。まあそういうことなのよね。情念と感情が直結なのよね。
でもこれも仕方ないのよね。
なぜって、脳へと伝わる情報は、まず感情脳に伝わり、それから理性脳に伝わるからです。
なので、理性など、クソの役にも立たないと、ドストエフスキーが言うのも最もなんですよ。
ようは、無意識層から突き上げてくる、「情念の質」をですよ、喜びに繋がる傾向のあるものに変えるしか手はないってことですね。
して、そういうことが出来るのが、唱題行です。
どうせ理性なんてクソなんだからさ、唱題してればいいんですよ。考えるだけ無駄。

私の場合、すぐ怒るその原因はさ、五陰の違いだから、なんでそんなにすぐ怒るかなぁ……と言われようと、仕方ないの(´・ω・`)
と、そう答えるしかないんだけどねぇ。
けどね、私という奴はそういう奴だ、そう認識していれば、ああ、また怒っちゃったのね、少しそっとしとこーって出来る訳ですよ。
これが知恵でしょ。無知の人、愚痴の人はさ、私を見ないで、私の怒ってる文字だとか、そういうもんしか見てないんだわさ。
でもって、それに反応して、怒りに感応する。
怒りの毒を世間にまき散らす、怒りの毒を増殖させる。いと愚か。

境涯の高い人=ああ、また怒っちゃったのね、少しそっとしとこー☆
境涯の低い人=てめぇ、何いってやがんだ! ぜってー許さないからな!
まあ、こうなるってことですわね。

どちらにしても、恐怖や怒りなんてものは、原因さえわかれば、何とでも出来るということですよ。
もちろんその根本的原因は外側にはありませんよ。
言うまでもなく、自分の内側、自分の心にその原因があるわけですよ。
だから、自分の内側を探すか、3000個のボタンを手当たりしだいに押して、怒りストップボタンに命中すれば、一件落着なのだな。

実際、真剣に三千遍なり一万遍の唱題するとですよ、怒りはスッと消えるんだな。
消えないなら、それはそのことにやたら執着しているから、自分で自分の怒りを消そうとしてないだけのお話しですよ。
でもって、怒りの原因を自分の外側に見て執着すると、怒りはなおさら増殖するわけですよ。
御書ではそれをこう説いてくださっている。
そいつは――「無量の苦行」だ、とね。
まあ、外道の方は一生怒っているといいですよ。
そんなことをしていると、自分で自分の身を焼くだけのお話しですがね。
可哀そうですね。

ちなみに、アランという方は、実践教育というものに重点を置いた教育者です。
「実践」してみて、真実に到達した数少ない哲人ですね。
私の記事なんて信用できねー! そう思われるなら、『幸福論』でも、ひもといてみるといいですよ。


ああ、この曲は、Hungry Like The Wolf だね。
怒りは Anger だね。似てるようで全然似てないじゃまいか!(笑)

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ipsilon at 23:57コメント(4)トラックバック(0)思索「著名人から学ぶ」  

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コメント一覧

1. Posted by ちよ   2013年10月01日 08:57
おいこらシンジ
やっと気づいたか?
いーえ ちよさん 僕はずっと気づいてましたよ
怒ったフリをして、ダダをこねてみて、あなたの愛情を試していたんですよ
おいこらシンジ そんなシンジを ご本尊様は試していたんですよ
私は、上からハラハラしながら ずっと見てましたよ
いーえ ちよさん 僕はハラハラするそういうちよさんを
上からずっとみていたんですよ
しんちゃん 得意の無限ループにはまるから やーめた

上から目線の 二人の会話でした
2. Posted by イプシロン   2013年10月01日 11:11
ちよさん、おはようございます^^

アハハハ、とっくにそれには気づいてましたよーだ。
まあ、あきらめないでいようと思えばいれたんですよ。
でも、今の僕には時間が何よりも貴重だと決断したんです。
それだけのことなんです。
何しろ、この3年が勝負だと決めてましたからね。

まだ感情は波立ちますが、これとて時間の問題でしょう。
というよりは、自分の意志で波立たない時を引き寄せればいいだけです。

まあ、「一丈の堀を越えぬもの、十丈、二十丈の堀を越うべきか」
そういうことです。
一丈さえ・・・そういうことです。

こっちが全存在を懸けていてもね・・・。
そういうことでスッパリ! そういうことです。

しかし、意味不明な会話ですねー(笑)

ありがとうございます(^ー^)
3. Posted by ちよ   2013年10月01日 12:15
アハハハハ
4. Posted by イプシロン   2013年10月01日 13:27
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

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