NSA:傍受「規模は予想以上」…仏元情報局長語る

毎日新聞 2013年11月10日 03時00分

パリ市内で取材に応じる仏対外治安総局(DGSE)の元情報局長、アラン・ジュイエ氏=宮川裕章撮影
パリ市内で取材に応じる仏対外治安総局(DGSE)の元情報局長、アラン・ジュイエ氏=宮川裕章撮影

 【パリ宮川裕章】フランスの情報機関、対外治安総局(DGSE)の元情報局長、アラン・ジュイエ氏(69)がパリで毎日新聞の取材に応じ、米国家安全保障局(NSA)の通信傍受疑惑について「友好国同士でも世界的に激しい情報戦争が繰り広げられており、全ての情報が傍受可能であることを改めて示した」と述べた。また、日本の特定秘密保護法案を巡る議論について、市民の知る権利を保障する法整備の必要性を指摘した。

 ジュイエ氏はNSAの通信傍受疑惑について「行為自体は驚くに値しないが、規模は予想を大幅に上回った」と述べ、「米国政府と、情報を提供したとみられる米インターネット関連企業の協力の強さも想定を超えていた」と語った。傍受への対抗策については一般論として「政治、外交だけでなくビジネスの世界でも電話やメールの暗号化が必要になる」と指摘する一方、「それも時間稼ぎに過ぎず、重要な情報はデータを破棄しなければならない」と語った。

 インテリジェンス(情報活動)に関する国家の役割については「外交、軍事だけでなく企業の経済競争でも政府は自国企業を傍受から守り、情報を提供しなければならないが、企業自身の努力が不可欠だ」と強調した。

 日本については、「戦後は旧通産省が情報機関の役割を担って経済発展に貢献したが、今後は政治や軍事面も含めたビジョンを得るための情報機関の創設が望ましいだろう」と語った。

 特定秘密保護法案を巡り国民の知る権利が脅かされるとの懸念があることについてジュイエ氏は、「他国や犯罪組織に対する国家の情報面での防御と、知る権利や報道の自由を両立させることは可能だ」と強調した。一方で、フランスで捜査当局による報道機関の通信傍受などが起きたことに触れ、「制度に何らかの欠陥があることは明らかだ。情報戦争における国家の役割への期待が高まるほど、市民の知る権利を守る厳格な法律の制定、運用が求められる」との認識を示した。

 ジュイエ氏は2002〜03年にDGSE情報局長を務め、現在は経済分野での情報戦略について研究する民間組織「経済インテリジェンス協会」の会長を務めている。

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