(25.10.22) NHK病の起源 第三集 うつ病 防衛本能がもたらす宿命 その1
(市原市 光徳寺の石仏)
NHKが放送している「病の起源」の第3集は「うつ病 防衛本能がもたらす宿命」だった。
私はこの番組のシリーズを感心して見ているのだが、人類の進化そのものが病を背負いこむという指摘は実に斬新だ。
第一集は癌、第二集が脳卒中で、この第3集がうつ病である。この番組は内容が豊富なので今回は2回に分けて記載する。
注)第一集 がん の内容は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-6717.html
第二集 脳卒中の内容は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-3a0b.html
うつ病のメカニズムは脳のもっとも古い部分の扁桃体(へんとうたい)がストレスホルモンを出しすぎてそれを制御できなくなることが原因だという。
魚と言えば人類の遠い祖先だが、約5億年前に魚が現れた時に初めて脳ができ、その中に扁桃体ができた。当時魚はもっとも弱い立場で周りが天敵ばかりだった。
扁桃体の働きは敵が近づくとここからストレスホルモンを分泌して全身の筋肉を活性化して素早く敵から逃れるのだが、これによって魚は生き延びることができ結果的に人類が発生したことになる。
ところがこの魚が一種のうつ病になるのだと聞いて驚いてしまった。
ゼブラフィッシュという魚を二組に分けて、一方は通常の状態で飼育し、一方を天敵がいる水槽の中で1か月間にわたって飼育すると、後者は最初こそ逃げ惑うがそのうちに全く動かなくなって身体が動けなくなるのだそうだ。
この時うつ状態の魚のストレスホルモンを調べてみると異常に高くなっており、天敵がいなくなってもその状態がもとに戻らないのだという。
ストレスホルモンは適度に出されているときは、魚にとって生き残るすべになるが、過剰になると身体にダメージを与え、特に脳細胞に対するダメージは神経細胞の委縮につながるのだという。
簡単に言えば脳が働かなくなって動けなくなるのだ。
注)そういえば変質者の男性が女性を長期間閉じ込めて奴隷状態にする事件が時々起るが、なぜ女性が逃げないかというとこのうつ状態になって身体が動かなくなるからのようだ。
これは魚類の場合で天敵の存在に対する対応がうまくいかない場合だが、約2億年前に現れた哺乳類になると天敵だけでなくさらに孤独がうつ病の原因になるという。
チンパンジーの観察で分かったことは、幼児期から集団から離されて育ったチンパンジーは全く集団になじめず、孤独の中に浸ってしまうという。
番組ではスエーデンでの事例が紹介されていたが、感染症を患って1年半の間仲間との接触を断たれたネグラ(日本語の根暗に近いので笑ってしまった)という女のチンパンジーが檻に立てこもって一切仲間と交わろうとしていなかった。
哺乳類で相対的に弱い種族(人類やチンパンジーもその一種)は集団生活をすることで外敵から身を守っているが、この集団に入れないと天敵からの恐怖に常にさらされるのでひどいストレスが発生し、扁桃体からストレスホルモンが出続けるのだという。
私は長い間会社の仲間がことあるごとに酒を飲んだり、マージャンをしたり、ゴルフをしたり群れることに不思議に思っていたが、そうして人類は生き残ってきたからだと確認した。
私はそうした群れに入らなかったが、その代わり確かに強いストレスを感じたものだ。仲間内の団らんがないから常に外部は敵になってしまい、気が滅入ることがはなはだしかった。
集団生活になじまないと扁桃体からストレスが出てうつ病になるというのは経験からよくわかる。
注)子供でも集団生活になじめないと学校に行くことを嫌がって家に閉じこもるが、これもうつ病の一種だろう。
さらにうつ病が発生するメカニズムにもう一つの要因が加わったという。それは記憶で特に恐怖の記憶は脳の記憶領域である海馬に蓄えられ、それを思い出すたびに強いストレスにさらされるのだという。
よく映画などで極端に恐ろしい経験をした人が夜中にそれを思い出して飛び起きるシーンなどあるが、実は私もよくこの回想による恐怖を経験している。
これは毎回仮想空間で天敵に襲われているようなものだ。
私の場合は、回想の記憶は普段は記憶の底に沈んでいて覚えていること自体忘れているのだが、何らかのきっかけで思い出されると思わず悲鳴に近い言葉が出てしまう。
あまりに恥ずかしいので人には悟られないようにしているが、この恐怖の記憶の想起は私の生活を今でも苦しめている。
「よくこれで、うつ病にならないものだ」と感心するが、私の生活習慣がうつ病を抑えているようだ。
うつ病の原因を抑える適切な方法はうつ病を持っていない人々(アフリカの狩猟民族)を研究すると分かるのだそうだが、体を適当に動かし(運動をし)、規則正しい生活をし(太陽とともに起き、太陽とともに寝る)、食事は平等に分け合い、仲間とコミュニケーションを常時とっていることだそうだ。
私の場合は平等とコミュニケーションには問題があったが、一方で日常的に運動をし、毎日の生活習慣はほとんど変えることがなく生活していたので、紙一重でうつ病にならなかったようだ。
私は今でも古代人のような生活で自動車には乗らず、基本的には歩くか走るか自転車で移動するし(だいたい10㎞範囲内はそうする)、太陽とともに起き太陽が沈むと寝てしまい、食料はあるもので十分だが、そうした生活はうつ病に強いことをこの番組を見て知った。
(明日に続く)
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