肝臓がんのため死去した島倉千代子さん(享年75)に国民栄誉賞の声が出ている。菅義偉官房長官(64)は8日「美空ひばりさんと並ぶ昭和を代表する歌手」と語った。また小泉純一郎元首相が国会答弁で「人生いろいろ」と島倉さんのヒット曲を口にしたことも有名だ。同賞を受賞した美空ひばりさん(享年52)の妹分としても知られ、約2000曲をレコーディングした“記録”も持つだけに、ひばりさんと“姉妹で”受賞の可能性は十分ある。
島倉さんの1987年の大ヒット曲「人生いろいろ」は、70年代に億単位の借金を背負い、地方営業まで経験した島倉さんが再ブレークを果たした曲だった。また、山田邦子やコロッケなど、多くの芸人がモノマネをしたことで若い人にも人気となった。
会見したコロッケ(53)は島倉さんのマネをして衣装をもらったうえ、島倉さんから「もっとふざけていいのよ」と声を掛けられたこともあったという。「島倉さんがいなければ、僕の芸はなかった。楽しい思い出が多い。借金や病気で苦労してきた方なので、やっとゆっくり休めるのかな」と、涙をこらえながら話した。
「人生いろいろ」は130万枚のセールスを記録。翌88年に「第30回レコード大賞」最優秀歌唱賞に輝き、同年のNHK紅白歌合戦にも復帰した。
この曲をプロデュースした山田廣作氏は当時の様子をこう振り返る。
「あのときお千代さんにはマネジャーもいなくてね。プロデュースを頼まれたので大ちゃん(中山大三郎氏)に作詞を依頼し、曲はハマクラさん(浜口庫之助氏)に」
ドラマ「三どしま」(TBS系)の主題歌として使われることが決まっていたため、歌のテーマを「人生いろいろ」にしたのだという。「ドラマが3人の年増の女性の話だし、お千代さんの人生も壮絶だったしね」
実は曲名を巡ってひと悶着あった。「大ちゃんが曲名は歌詞にも出てくる『笑いばなしにして』がいいと言い張ってね。『人生いろいろあっても笑い話にしてあの世に行くのがいいじゃない』って。最後はボクの言うことを聞き折れてくれたけどね」
復活を遂げた島倉さんは山田氏らに感謝しきりで、事あるごとに手紙を送ってきた。もし曲名が「笑いばなし――」だったら、大ヒットしなかったかもしれない。
この「人生いろいろ」は2004年、小泉純一郎首相(当時)が、勤務実態のない会社から給料をもらっていた疑惑を追及された時、「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろです」と引用して批判を浴びたことで知られる。
菅官房長官は8日夕方の会見で「美空ひばりさんと並ぶ昭和を代表する歌手。実は私も大ファンで、デビュー曲の『この世の花』が好きだった」と語った。
内閣のスポークスマンがここまで明言したのには、国民栄誉賞授与の可能性がある証拠ともいわれている。
過去に受賞した女性歌手は89年の死去後に授与された美空ひばりさんただ一人。その美空さんと島倉さんの関係はつとに有名だ。
「闘病中のひばりさんの病室に入れる唯一の後輩歌手が島倉さんだった。『お千代』『ひばり姉さん』と呼び合って、妹分だったのは有名な話」とは音楽関係者。
女優では09年に受賞した森光子さん(享年92)がいる。森さんは舞台「放浪記」上演2000回という金字塔を打ち立てたが、島倉さんの功績も勝るとも劣らない。
「島倉さんは99年に、国民栄誉賞の前段階といわれる紫綬褒章も受章してますし、来年で芸歴60年を迎えるところだった。レコーディング2000曲という記録を持ってます。何より、その凛とした姿や、艶のある歌声、壮絶な生きざまが日本国民の記憶に焼きついている。ひばりさんと同じ国民栄誉賞にふさわしいと思いますよ」と前出音楽関係者も語る。
内閣関係者も「検討することになるだろう」と話しており、受賞の可能性は十分あるといえそうだ。
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