他人を疑わないピュアな性格ゆえに多額の借金…島倉さんという人

　フジテレビ系「ものまね王座決定戦」などで島倉千代子さんの「人生いろいろ」のものまねをし、再ブレークのきっかけをつくったコロッケ（５３）が８日、都内で会見に応じ、「かけがえのない方。もう会えないのが寂しいです」と涙を流した。芸能界からは島倉さんの死を悼む声が相次いだ。

　後輩歌手ら周囲が口々に、その優しさを語るように誰からも愛された島倉さん。自身よりも他人を思いやる人柄だった。

　チャリティー活動にも積極的だった。１９９３年に乳がんを経験したこともあり、がん研究機関へ寄付を行うなど情熱を注いだ。０８年には、がん啓発活動の一環である合唱団にも参加。１１年には東日本大震災、被災地のためにチャリティーオークションも開催し愛用の着物を出品した。

　だが時に、他人を疑わないピュアな性格がゆえに金銭トラブルに巻き込まれることが多かった。

　７７年には不動産会社の倒産問題などに見舞われ２億円超の負債を抱えた。７９年には、ツアーのギャラ２０００万円が支払われなかった。９０年、１５億円にまで膨れあがった借金を完済したが、０５年には著書のギャラ振り込みをめぐって問題を抱えた。

　くじけそうになる心を支えてくれたのが歌だった。７歳のとき、左手に生死をさまようほどの大けがをした。外出しなくなり、笑わなくなった島倉さんに母親が入浴中に歌を教えてくれた。島倉さんの歌手人生を決定づけた瞬間だった。

　歌に対しては真摯（しんし）な姿勢を貫いた。「日本人の心を歌うのが、私の歌」という信条を持ち、自分に合うと思った作曲家がいれば手紙攻勢をかけてでも曲を提供してもらう、執念と努力の人でもあった。