【ＢＯＸ】山中、母校・専大カラー「緑」トランクスで慢心排除

５度目の防衛戦に臨む山中（右）は、挑戦者ゲバラとポーズをとる

　◆報知新聞社後援　プロボクシング世界戦　▽ＷＢＣ世界バンタム級タイトルマッチ　王者・山中慎介―同級８位・アルベルト・ゲバラ（１０日、東京・両国国技館）　ＷＢＣ世界バンタム級王者の山中慎介が、原点回帰のスクールカラーでＶ５をたぐり寄せる。８日、都内で行われた同級８位のアルベルト・ゲバラとの５度目の防衛戦の調印式に出席。今回はトランクスとシューズの色に母校・専大のイメージカラーの緑を採用。全く結果を残せなかった挫折にまみれた大学時代を思い起こし、慢心を排除して大一番のリングに立つ覚悟を示した。

　あの時代があるからこそ今がある。山中は５度目の防衛戦へ「大学で結果を残していたらプロになっていなかったと思う。今振り返っても情けない日々だった。緑はあの頃を思い出させてくれる色です」と自らを引き締めるようにゆっくりと言葉を紡いだ。

　南京都（現・京都広学館）高３年で国体を制し、専大に推薦入学した。ボクシング部に在籍し「国体で優勝して、少し燃え尽きた感があった」と親元を離れた開放感も重なり、気ままに大学生活を送った。４年生で主将を務め、大学リーグ戦２部優勝に貢献したものの、学生最後の大会の国体で初戦敗退。周囲の期待を裏切る形に「これを最後の試合にしたくなかった。プロで世界王者になると決意した」と帝拳ジムの門をたたいた。

試合に向け意気込む帝拳ジムの（左から）リナレス、ゴンサレス、山中、粟生

　今回の一戦はこれまでチャンピオンカラーの赤を基調としていたトランクスやシューズを緑色にした。「緑は好きな色」としながらも「専大カラーを身にまとって、心のスキをなくしたい」と思いを明かした。調印式で同じ緑色のＷＢＣのチャンピオンベルトを抱えた。引き締まった顔で「完璧に仕上がった。いい試合になると思う。皆さん、期待していてください」と宣言。調印式後に約１時間の調整を行い、体重はリミットの５３・５キロまで残り２００グラムに迫った。

　この日朝、日本テレビ系の朝の情報番組「ＺＩＰ！」のコーナー、短編アニメ「マジンガーＺＩＰ！」に本人役で出演した。９月に声の収録に臨み、「セリフが棒読みで反省してます」と一瞬だけ笑みがこぼれた。区切りのＶ５へ心身ともに準備は整った。

　◆専修大学　１８８０年開校。本部は東京・千代田区で、文系中心の７学部を有する私立大学。スクールカラーの緑は創立１００年記念で１９８０年に制定した。陸上競技部は３９年の箱根駅伝で優勝。主なＯＢは、堀井学（リレハンメル冬季五輪スピードスケート銅メダル）、黒田博樹（米ヤンキース）、馳浩（衆院議員、元プロレスラー）。

　◆ＷＢＣ世界バンタム級戦ルール　１回に何度ダウンしても試合を続行するフリーノックダウン制を採用。４回、８回終了後に採点を公開する。グラブは、日本製８オンスを使用。４回までに偶然のバッティングで続行不能の場合は引き分け。５回以降は採点による。

　◆オフィシャル

　▽レフェリー　エクトル・アフー（パナマ）

　▽ジャッジ　バート・クレメンツ、デビット・サザーランド、デーブ・モレッティ（いずれも米国）