KT&Gは10月23日、あわてて問題の広告を中止すると発表した。ただしやはりチンパンジーが描かれたパッケージについては「不快感を与えるものではない」と抗弁していったんは変更を拒絶、その上、海外紙の取材に対し、
「サルは人々にアフリカを思い出させる、愉快な動物として選んだだけ」
などと回答し、さらなる憤激を買った。結局11月4日には、パッケージの差し替えも発表せざるを得なくなっている。
海外報道までは「デザインの成功例」と絶賛
それにしても普通ならこのような大事になる前に、まず国内で「これはまずいのでは」という声も出そうなものだ。
しかし実際にはそれどころか、韓国内ではこの「This Africa」のパッケージは「成功例」として盛んに賞賛されていた。問題発覚直前の「スポーツソウル」10月20日付記事では、若い世代を中心に当初の予想を超える売り上げを記録していると紹介され、「デザインの力」がその原動力になっているとのKT&G関係者の談話まで載る。「差別」という意識は全く働いていなかったらしい。
米ワシントン・ポストに寄稿するブロガーのマックス・フィッシャーさんは、韓国ではつい最近まで「単一民族」であることの美点が教科書にまで掲載されていたと紹介し、その特異な人種意識を指摘している。韓国のウェブメディア「スローニュース」も、アフリカ出身の学者から寄せられた、以下のような声を掲載する。
「韓国と韓国人が、こうした問題に敏感ではないことを知っているので、私は今回のことについてほとんど驚かない。KT&Gのコメントも、それを再確認させてくれただけのことだ」