竜の力使いと死んだ幻想 (秋塚翔)

駄文ながら新連載です。

拙作『東方異界変』と後々に繋がるストーリーだったりします。



第壱話「忘却と出逢い」

ある日、私は全てに忘れ去られた。

紅い霧が幻想郷中を包んだ異変……後に『紅霧異変』と呼ばれるソレは博麗の巫女を解決に動かした。
それを聞き付け私と魔法の森に棲む魔法使いは博麗神社へ向かい巫女に協力と言う名目で遊びに行った。

その途中で私の存在は消滅した。

水が蒸発する様に体が徐々に薄まり脱力と共に私の存在は消え去る……幻想郷の知人達に忘れられ友である巫女や魔法使いらも私と言う存在を違和感も無く忘れて幻想の楽園から私は跡形残さず滅せられた───


















































──────ココは、何処?
雨が冷たい。雲から落ちる雨粒達が気を失っていた私を起こした様だ。
土が冷たい。うつ伏せに倒れていて地面の温度が頬に伝わる。

……何処?ココは?
薄ら目で見るに両端には壁がある。元は白かっただろう灰色の。
薄ら目で見るに周囲にゴミがある。背けたくなる汚い真っ暗な。

何処なの?……ココは。
目の前を人が通る。雨傘を指す人は私に見向きもせず通り過ぎた。
目の前を犬が通る。地面を嗅ぐ犬は私を餌とも思わず通り過ぎた。

ココは……何処?
服が雨で濡れていく。雨の冷たさが体の芯へ徐々に伝っている。
髪が雨で濡れていく。自慢の金髪が水を地面に流す受け皿となる。

ココは何処?

……目覚めてから何度目かの質問。誰も居なくとも聞かずには居られずうつ伏せのまま問い続ける。

と言うより───私は誰なの?

判らない。さっき覚えてた筈なのに今では自分の名前が思い出せない。
私の名前は何?私は何処から来た?誰か知り合いが居るの?

……思い出せない。

そもそも今私が本当に存在してるか判らない。いきてるのかが怪しい。全てにおいて何もかも不明だ。

怖い怖い怖い恐い恐い恐い恐い。

頭裏に浮かべるは私の生まれ故郷。あるのかどうか今では判らぬ存在を忘れられたものが集う理想郷───

私は、その地にすら忘れられた。

……もう良いや。このまま死のう。消えれば苦しまずに済む。
そう考えた私は身体中の力を抜いて眠る様に消えようとした……が、



「おい君、大丈夫か?」



突然掛けられる声。私は顔を上げて声のした正面に目を向けた。

「おう!生きてたか。どうしたんだこんな路地裏で行き倒れて?」

声の主……白髪の青年は自分の傘を私に翳す。降りしきる雨が遮られて体を叩く衝撃は失せた。

「立てるか?ココで寝たら危ねぇ。何なら俺の家に来るか?ああいや!?疚しい気持ちも下心も無いぞ?」

表情をコロコロ変えて私に話す男。私は呆けた顔で見上げる。

「……何で私を助けるの?」

「え?いや、何か放っとけないし。女の子が一人雨空の地面で寝てたら助けずには居られないだろ」

……?何を言い出してるんだろ私。でも死ぬ決心したのに邪魔されたしそう言うのは当然かな?

「兎に角立てよ。ビショ濡れだぜ?俺の部屋近いから風呂使えよ」

「…………」ムクッ

言われて思わず自然に私は起きた。心では死のうと思ってたけど本当は死にたくないのかな私?

「ほら冷えるし行くぞ……おっと!その前に名乗っておくか。俺の名は御劔慎悟だ。お前は何て名前だ?」

「! …………」

私の名前?そうだ。今思い出した。さっき欠片すら出なかったのに……この慎悟とか言う男の所為?

「? おーい、雨音で聞こえねぇ?名前が判らないと困るんだが」

怪訝な顔して慎悟が私の顔を覗く。それに急かされて空気を吸うと私は自分の名前を彼に明かした。

麟「───私の名前は冴月麟よ」

慎悟「そうか。宜しくな麟」

これが私こと冴月麟と御劔慎悟とのずぶ濡れでの出逢いである───


メインヒロインは東方Projectにて没キャラとして姿を消した冴月麟ですが基本的に世界観はオリジナルで進みます。見切り発車ながら今後も宜しくお願い致しますm(_ _)m


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