フィリピン残留日系人2世:戦時混乱で残留 「日本人と認めて」 支援NPO、10年で国籍101件取得

毎日新聞 2013年11月09日 東京夕刊

 木材伐採や商店経営をしていた父は、伊達さんが6歳の時に病死した。伊達さんは、父がクリ好きだったこと、米を最後の一粒まで大切に食べるように言っていたことを覚えている。「いつか日本で家族一緒に暮らそう」。そんな夢を語った父の言葉も記憶に残る。

 だが、母は病死し、日本での父を知る親族たちも相次いで戦争で亡くなった。父を特定する手がかりは、フィリピンの墓に漢字で刻まれた父の名前と、かすかに覚えている「カゴシマ」という地名だけだった。

 20年前、父の友人の協力を得て、鹿児島県にある実家を特定できた。「父の夢を実現させたい」との思いで、1993年には実際に鹿児島を訪ねた。ただ、日本側にも父との親子関係を証明する公的な書類は残っていない。

 伊達さんは日本でもフィリピンでも外国人として扱われる。「安全で、優しい人たちのいる日本の暮らしが大好き」。99年以降は外国人登録をして東京で1人暮らしをしながら願いがかなう日を待ち続ける。「私は日本人。生きているうちに、そう認められたい」

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 ■ことば

 ◇フィリピン残留日系人2世

 1900年代に入って都市・道路建設や農業開拓のためフィリピンに渡った日本人男性と、現地の女性の間に生まれた子供。ミンダナオ島ダバオなどに最盛期は約3万人の日本人が住み、日本人町もあったが、日本人の父が戦死したり戦後に強制送還されたりした結果、家族が離散した。日本政府は90年代後半から実態調査に着手。2世だと名乗り出た約3000人のうち、父親が特定できた場合は日本国籍の取得が進んだ。

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