菅官房長官:改革で勝てる農業に 活力創造プランで方針
毎日新聞 2013年11月06日 09時25分(最終更新 11月06日 10時03分)
菅義偉官房長官は毎日新聞のインタビューに応じ、政府が11月中に公表する農政改革の「農林水産業・地域の活力創造プラン」に、政府・自民党が検討しているコメの生産調整(減反)の見直し方針などを盛り込む考えを示した。【聞き手・鈴木美穂】
−−農政改革の構想はいつごろから?
政府・与党は公約や成長戦略で「攻めの農林水産業」、「(農家の)所得倍増の実現を目指す」と言ってきた。ただ今は農家を一律に保護し、産業の自立を阻害している。農家は平均年齢66歳。若い人はなかなか参入しない。このままでは農業は廃れる。
日本の農業は農水省や自民党の部会、農業団体など関係者が作り上げてきたが、必要なことと現状に差がある。成長産業にするには新規参入者、消費者、国全体の視点も必要で、積極的にチャレンジする農業を育てる政策が大事だと、ずっと思っていた。
−−具体的には。
安倍晋三首相の指示で林芳正農相とともに開催した首相官邸の「農林水産業・地域の活力創造本部」、産業競争力会議、規制改革会議が多面的に議論中だ。活力創造プランは改革の方向を盛り込み、安倍首相が発表する。戸別所得補償や減反の見直し、農家の規模拡大や土地の集約、生産性向上、若い人が参入できる農業などいろいろ出てくる。
−−環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、重要5項目に踏み込んだ自民党の西川公也TPP対策委員長の発言は、官邸の狙い通りか。
西川さんと腹合わせはなかったが、西川さんらしいなと思った。(石破茂幹事長は)現状を憂えて農業を何とかしたいという人だ。TPPは改革のきっかけになると思ったが、その前に農業の危機が見えていた。農水省を中心に官邸と党が危機感を共有している。
−−8月8日の活力創造本部で自ら農協改革に言及した意図は。
意味は特別ない。ただ私は秋田の農家の長男坊で、農業にずっと関心を持ってきた。おやじが40歳でイチゴ組合を作り、「コメでは飯が食えない」と農協から完全に独立したのを見ていたから。農協全盛の時代で、よくやるなあと思いましたけどね。中には頑張っている農協もある。要は競争して切磋琢磨(せっさたくま)する環境づくりが大事だ。