フィリピン:戦時混乱で残留の2世「日本人と認めて」

毎日新聞 2013年11月09日 10時55分(最終更新 11月09日 11時44分)

 フィリピンに渡った日本人男性と現地女性の間に生まれ、戦中戦後の混乱で取り残された残留日系人2世の身元探しを支援するNPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(東京都新宿区)が今月10日に設立10周年を迎える。わずかに残る父の痕跡を頼りに日本人の証しを求める残留2世の多くは、無国籍のまま貧しい生活を強いられてきた。高齢化が進み、残された時間が少なくなる中、「日本人だと公に認めて」と訴えている。【山田奈緒】

 戦争が始まり日本がフィリピンを占領すると、現地にいた日本人は旧日本軍に通訳として徴用されることもあった。戦死したり、戦後に強制送還された人も多く、フィリピン人妻や子供は、戦争で反日感情が高まった現地に取り残された。母親も亡くなり孤児になった人も珍しくない。

 両国とも当時は子供に父の国籍が与えられる「父系主義」を取っていた。そのため2世たちは法律上は日本国籍だが、日本人であることを隠し、取得手続きをしなかった人も多い。母方のフィリピン国籍も取得できず、人目に付かないよう山や離島で暮らし、極貧の中で教育機会に恵まれなかった2世も少なくない。戦争で婚姻や出生関係の書類が焼失しているケースも多く、無国籍のまま亡くなった人は約500人に上るという。

 センターは2世たちのアイデンティティー回復を支援しようと、地元の日系人会と連携して2003年に設立された。国籍取得に向け、日本人の子である証拠を探して日本で新たに戸籍を作る「就籍」を家庭裁判所に申請する活動に力を入れている。今月1日現在、175件の申請のうち、許可されたのは101件。東京家裁では38件が係属中という。

 代表理事を務める河合弘之弁護士は「戦争という国家の争いに巻き込まれ、多くの苦しみに直面してきた残留2世の歴史と現在にもっと関心を持ってもらいたい」と話している。

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