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原発避難女性ADR 東電が南相馬市の関連死認定に異議

 福島第1原発事故の避難先で死亡し、南相馬市から災害関連死認定を受けた同市小高区の女性=当時(69)=の遺族が東京電力に損害賠償を求めて原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた和解仲介手続き(ADR)で、東電が関連死認定に異を唱える主張をしていることが分かった。
 申し立てによると、女性は原発事故で避難先を転々として持病の胃がんが悪くなり、事故から22日後の2011年4月2日、6カ所目の避難先の新潟県三条市の病院で死亡した。
 遺族は避難で肉体的、精神的負担が増して病状が悪化し、死に追い込まれたとして、南相馬市に災害関連死の認定を申請。市は避難と死亡の因果関係を認めて12年1月、関連死を認定した。遺族は認定を受けて今年3月、4000万円の賠償を求めてADRを申し立てた。
 ADRで東電は「体力低下はがんが相当程度進行したからと考えられる」と、避難と死亡の因果関係を疑問視。女性が事故前に入院した南相馬市の病院の診断書を出すよう遺族側に求めた。
 遺族側は同病院の診断書のほか、「避難で病状が悪化した」と断定した三条市の病院の死亡診断書を提出した。
 しかし、東電は「主たる死因はがんの進行で、避難が死亡に及ぼした影響度は20%にとどまる」と、関連死の公的認定を懐疑的に見る姿勢を崩さず、賠償責任を軽くする主張を展開した。
 ADRは審理中で、年内にも和解案が示される見通し。
 女性の夫(71)は「妻は避難前は元気で、がんも深刻な進度でなかった。東電の主張は難癖で腹立たしい」と怒っている。
 東電は「個別事案についてはコメントを控えたい」と話した。
 福島県の災害関連死は6日現在、1558人で宮城、岩手を含む被災3県で最も多い。


2013年11月07日木曜日

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