使い切れなかった金がどこかに隠されている!? 長野県建設業厚生年金基金の年金の掛け金約23億8700万円を横領したとして国際手配され、タイ・バンコクで現地入国管理局に逮捕された基金元事務長の坂本芳信容疑者(55)が、今週中にも日本へ移送されそうだ。坂本容疑者は取り調べに対し「3年前にタイに入国し、金はほとんど使い果たした」と話しているという。だが、専門家は「とてもうのみにできない。カネはどこかにある」と指摘している。
坂本容疑者は最終的に家賃8000円の質素なアパートに住んでいたと証言。逮捕時所持金は1万円程度で、少なくとも2人のタイ人女性と愛人関係になり、約2000万円などを与えたという。同容疑者は横領した資金について「(残金は)全くないです」と全て使ったと話している。だが、国際捜査経験を持つ元神奈川県警刑事小川泰平氏は「本当のことを言ってないと思う。23億円以上をタイで使い切ることはまず不可能」と語る。
「タイ人の初任給は3万円。日本の年金受給者もタイでは月10万円で、余裕のリタイア生活ができる。容疑者が1日で100万円使って豪遊しても、3年で約11億円にしかならない」
質素な生活をしていたのが事実だとしても、それは指名手配中の身で目立てないからだろう。
小川氏は「おそらく金はまだまだ残ってる。逮捕“された”のは、その金を自由に使いたいと思ったからだ。金の隠し先が十分に準備できたのがこのタイミングだった。一度逮捕されて人生をリセットしたうえで、隠した莫大な金を使おうと企んだのではないか」と疑惑の目を向ける。
だが、果たしてそんなことができるのか?
そもそも今回の逮捕の発端は、寝返った愛人による通報だった。だが、小川氏は「この通報さえ怪しい。女もグルかも」と話す。確かに東南アジアのラオスやカンボジアの銀行に金を預けてしまえば、日本の警察が金の動きを調べるのは極めて難しい。女名義の口座に入金した場合も同様に、差し押さえは困難だ。
そこまで計算して坂本容疑者が「カネは女にくれてやったから、もうない!」と主張しているとしたら、あり得ない話ではない。
“盗み逃げ”を絶対に許してはならないという小川氏は、坂本容疑者のプランをこう解説する。
「日本に身柄が引き渡されて裁判で懲役刑を受けても5年で出所、その後に民事で訴えられても自己破産すれば逃げ切れる。出所時は60代前半。遊ぶ時間はまだまだ残されている」
当局は、今週中にも送還される坂本容疑者を徹底的に追及し、消えた大金の行方を突き止めなければならない。
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