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【芸能・社会】

動のひばり 静のおお千代さん 島倉千代子さん死去

2013年11月9日 紙面から

1975年1月、東京都内のレコード会社で鏡開きをする(左から)島倉千代子さん、美空ひばりさん、舟木一夫、都はるみ、大川栄策

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 美空ひばりさんの「動」に対して、「静」の魅力。タイプこそ違え、島倉千代子さんはひばりさんと並び称される、戦後の歌謡界を代表する女性歌手だった。

 デビュー時は、まだ16歳の少女ながら歌唱は本格的で、アイドル扱いするのはふさわしくない貫禄を秘めていた。どこか頼りなげだが、しんの強さを思わせる歌声は、島倉さんの人柄をよく映していた。特に「東京だョおっ母さん」など、心の温かさや郷愁を表現する歌では、独壇場ともいえる泣き節が聴く人の心を揺さぶった。

 離婚や借金など私生活では何度も辛酸をなめたが、そうした体験が歌に生きた「人生いろいろ」は、まさに自らに歌いかける歌だった。

 「日本人の心を歌うのが、私の歌」という信条を持ち、自分に合うと思った作曲家がいれば手紙攻勢をかけてでも曲を提供してもらう、執念と努力の人でもあった。

 チャリティー公演にも積極的で、がん研究機関に対する寄付活動に情熱を注いでいたが、自らが乳がんに。手術後、ボイストレーニングを受けてカムバックを果たした。

 1999年に紫綬褒章を受けたとき「歌が生きがいだったから続けてこられた。命ある限り、声が出る限り、歌い続けていきたい」と話していた。歌とともに歩んだ人生だった。

 

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