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岩泉線廃線受け入れ 岩手2市町、JR東と合意

 JR東日本が廃線方針を示していた岩泉線(茂市−岩泉間、38.4キロ)について、同社と岩手県、沿線の岩手県宮古市、岩泉町は7日、県庁で4者協議を開き、廃線に合意した。恒久的にバスによる代替輸送を行う。8日に国へ廃止届を提出し、来年4月1日に正式決定する見込み。
 JR東日本が、新幹線の並行在来線以外の路線を全区間廃止するのは初めて。
 非公開の協議後、2市町と県は「やむを得ず廃線を受け入れることとした」(山本正徳宮古市長)、「JRは地域の公共交通機関を担う役割を再認識し、引き続き協力願いたい」(達増拓也知事)などの談話を発表した。
 合意を受け、同社は岩泉線押角トンネル(全長3キロ)を県に無償譲渡し、県は国道340号の難所区間の迂回(うかい)路として道路に転用する方針。トンネル拡幅などの工事費は同社が20億円を上限に負担する。
 代替バスは地元バス会社が運行する。廃止区間のほか、岩泉町中心部など2カ所計約2.4キロを走行する。運行本数は鉄道と同水準の1日4往復を基本とする。年間4000万円程度の赤字が見込まれ、JR東日本が全額補填(ほてん)する。
 岩泉線は土砂崩れによる脱線事故で2010年7月に全線運休となった。同社は昨年3月に廃線方針を表明。今年9月、代替バス運行を自治体側に示し、協議してきた。

◎不採算路線切り捨て懸念

 【解説】東日本大震災で被災した鉄路の復旧を地元自治体が目指す中、JR岩泉線の廃線合意は、不採算路線切り捨てに対する新たな不安を呼びかねない。
 JR東日本は、廃線理由に巨額な復旧費用と利用客の極端な少なさを挙げた。利用状況を表す平均通過人員は、JR東日本管内の67路線中、岩泉線が1日1キロ当たり19人で最下位。下位には山田線(66位)、気仙沼線(65位)、大船渡線(55位)など被災路線が並ぶ。
 同社の高橋真経営企画部長は「岩泉線は特殊な事例」と話す一方、「鉄道事業の特性が生かせないほど利用が減った路線は、バス転換を求めていくことは十分あり得る」と含みを残した。
 岩手県の紺野由夫地域振興室長は「経済合理性だけの理由による廃線に怒りを覚える」と主張し、他のローカル線全ての存続を強く求めた。
 多くの被災自治体は、復興計画に駅を中心としたまちづくりを盛り込む。民間企業とはいえ、JRが地域の公共交通を担う責務は重い。岩泉線を安易に前例とせず、鉄道復旧を第一に追求する姿勢が求められる。(盛岡総局・斉藤隼人)


2013年11月08日金曜日

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