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トップページ > 神代ふみあき書庫 > 赤松・椎名系作品 > GS恋姫無双 > 第二十五話(修正)
さて、実に手堅い動きの何進+諸侯軍。
正面からの叩き合いかと思いきや、陣型がみるみる変化してゆき、まるで大蛇が大口を開いたかのように動き、そして今まさに牙が、騎馬が襲いかからんとしている。
「よい陣型ね」
「はい、華琳様」
「華琳様、我らも!」
「いいでしょう。麗羽のあけた穴がふさがる前に押し広げ、そして叩くわよ!」
「「「「「御意!!」」」」」
我が精鋭達が声を上げて進みゆく。
精密にして盛況な兵達の声を聞き、私の胸が熱く燃える。
そう、この一瞬から私の、私たちの・・・
危ないわ。
桂花に止められていた流れね。
何だったかしら?
物語的に宿命を背負う、だったかした?
では、しきりなおして。
「さぁ、我が精鋭達よ。戦功は目の前にぶら下がっているわ、思うがままに勝ち得なさい!」
あら、なにかしら?
なんとなく空気が変ね?
とりあえず、親衛隊込みで三姉妹を取り込むことにした。
なんというか、黄忠領内にくるか? と聞いたところ、親衛隊の壁を越えて乗り越えてきて、すごい勢いで食いついてきたから。
「平和で、治安が安定していて、食べ物がおいしくて・・・」
「夜に城下町出歩ける治安って、どれだけよ!!」
「あの風雲黄忠城、・・・興味深い」
ということで、お姫様をそのままゲットスルーしてもよかったんだけど、とりあえず、諸侯連合には話を通しておかないと不味いわな。
「白蓮には話すぞ?」
「まぁ、あの御仁はそういう苦労をかぶる運命にありますしなぁ」
そんなわけで、黄巾親衛隊に衣装をかえさせて、諸侯軍陣営に帰ってくると、張三「兄弟」を討ち取った董軍は沸いており、大騒ぎになっていた。
とりあえず、実際の戦功は董卓軍、上奏する戦功は何進、という流れであるが、噂の方は別なのがこの世の中。
とりあえず、その辺は何進大将軍も理解しているので文句はないだろう。
そんな諸侯軍の陣営の中に、見慣れぬ陣があった。
一つはキンキラの陣。
もう一つは、なんというか、凶悪なオーラを感じる。
「あれは、曹操殿の陣ですな」
「ああ、確かに『曹』の牙門旗があるな」
で、キンキラキンは「袁」。
うっわー、予想外。
「お兄さん、おかえりです~」
きゅっと足に抱きついてきた風を抱き上げて抱きしめつつささやく。
「で、どうなってんだ?」
「三兄弟は董卓軍の張遼・呂布で討ち取りました。で、袁は、予想以下の勢いのため『文』が先行しすぎて取り残されてたこ殴り。それを諸侯軍と曹操軍が救った形となります」
思わず頭痛を感じる。
「あほ、なんやろなぁ・・・」
「お兄さんにも責任の一端があるのです~」
「なんで?」
「顔良さん、あの『チラシ』をいっぱい持っていて、いろいろと考えることが多くなって部隊展開が遅れたみたいです」
「わちゃー」
あのチラシが、思ったような効果が出なかったのはわかったけど、まさか袁の二枚看板の片方に引っかかるとは・・・。
「顔良さん、苦労してんだな」
「涙を誘いますねぇ~」
ひょいっとおろして、風に先導させたところ、ちょいっと俺の腕に手を絡める星。
「な、なんだ?」
「風とばかり睦みあってずるいですぞ、忠夫殿」
にやにや笑いの星。
こいつは本当に質が悪い。
「よぉ、忠夫。そっちの女はなんだ?」
「ん? ああ。黄巾にとらわれてた旅芸人の一座だよ」
「おお、そりゃ大変だったなぁ・・」
そんなことを周囲の兵達と会話しながらウチの陣へ戻ることができた。
「「「「「おかえり」」」」」
「おう、ただいま!」
超展開すぎる。
忠夫が部隊展開していたのは知っていたけど、まさか、本物が別方向に逃げてるとは思わなかった。
それも「姉妹」。
とりあえず、「兄弟」の方が本物ってことになっていて、その手柄もあがってるから良いんだけど、「姉妹」の方を黄忠領で保護しようってのが恐ろしい。
ばれればどうなることやら。
「ま、風評はこっちのものんやから、そうそう問題にはならんやろ?」
「うんうん、忠夫は良いこと言うなぁ、なにせウチらの手柄やもんな、恋!」
「・・・うん」
というわけで、関係各所は口裏を合わせることにした。
三姉妹は「旅芸人」で、親衛隊は「一座」ということで収まった。
まぁ、黄巾の残党にはわかってしまうけど、忠誠心が高ければ後を追うし、欲得で情報を流しても信じてもらえないしという流れになるだろう。
もちろん、これが黄忠領でなければ実現しない話ではあるんだけど。
さすがにウチとか公孫賛領では無理ね。
同じく、ザルの袁領も無理。
そんなこんなで話がまとまったところで、祝宴になったんだけど、その場になぜか曹操がやってきた。
何でも戦場にばらまかれた怪文書について相談したいというのだ。
「そう、我が軍はおろか麗羽、袁紹軍にも浸透していたの。諸侯軍ではどうだったかしら?」
にっこりと、それでいて殺気を含んだ笑顔だ。
「我が董卓軍では見受けられたが破棄を命じたわ」
「そう」
軽く受けて曹操は、ついっと周囲に視線を向ける。
「他には、思い当たる話はないかしら?」
首を傾げたり、肩をすくめたり。
そんな中、曹操の視線が一点で止まる。
視線の先は、黄忠軍筆頭、横島忠夫。
でも、そんな視線をもろともせずに、にっかり笑う。
「おお、面白いこと書いてある戯れ事だな」
その一言に、曹操も微笑んだ。
「そう、戯れ言。ここに書かれていることの大半は実現不可能な待遇ね」
ぱんぱん、と怪文書を叩いた曹操。
つまり、この「怪文書」が公式に「実現不可能」なものであることの言質を取ろうというのだろう。
「いやいや、実現不可能だなんて言ってないぞ?」
「・・・何ですって?」
ほほえみが固まったままで曹操が忠夫を視線で射ぬく。
「だってな、能力にあわせた給金とか、仕事の成果に比例した収入って、そんなに難しいか?」
身振り手振りで説明する忠夫を見て、不快そうだった曹操は、徐々に感心の色を濃くしていった。
「・・・なるほどね、そう言うこと、ね。つまりこの怪文書の問題は、実現可能な現実と、妄想が混ぜられている、ってことなのね?」
「俺はそう思ってる。で、もっとも嫌なところは、文章や自分の状況を分析できる程度に頭の回る部隊長以上の・・・」
「幹部の意志を砕く、そうね?」
うなずく忠夫を見た曹操は、にっこり微笑んだ。
「あなた、名前は?」
「黄忠漢升が将、横島忠夫」
「・・・そう、あなたが『そう』なのね?」
なにかしら、空気が重くなってきたわね。
「どう『そう』なのか、わからないけど、俺が横島忠夫ですよ、曹操殿」
ふ、と笑った曹操は、びしっと指を指す。
「横島忠夫、あなた、私のものになりなさい」
「ごめんなさい」
・・・即答だった。
なんか、こう、力関係とかいろいろとあると思っていただけに、意外ね。
あほか!
もう、女王様系の下僕はごめんじゃい!
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