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私と鈴々、そして姉上が義勇軍を立ち上げることを志して一月がたとうとしていたが、いまだ同士と出会えないでいた。
姉上も鈴々も心が折れかかっていた。
そこで、二人の心の圧迫を休めようと、三人各々で募集を仕立ててみたが、やはり思わしくない。
二日目にして私の心も折れかかり、姉上のもとにきてしまった。
瞬間、私は恥いることになる。
心が折れかかっていたと思っていた姉上は、普段の発言など想わせぬほど誠実に義勇軍の募集をしていた。
賢明な姉上の隣にたち、私もともに募集をしたが、やはり手応えがなかった。
「今日もだめだったね・・・」
「はい、ですが・・・」
「うん、あきらめないよ」
姉妹の絆だけは高まった。
四日目、不意に鈴々が現れた。
一人の青年を連れているところから勧誘成功かと思いきや、町で倒れていた鈴々を助けたという人だった。
心の底から感謝をしたが、彼は私たちの行いが上滑りしている事実を指摘した。
反論はある。
しかし、それは事実だった。
「なぁ、お二人さん。お二人さんは義勇軍で人を集めて、何人食わせられる?」
・・・!
考えもしなかった切り口に声がでない。
「たとえばな、この町の人たちを全員勧誘できたら、一日あたり何人分の糧食が必要だ?」
判らなかった。
「各人の武器は? 防具は? 寝床は?」
全く判らなかった。
「まぁ、そういうことっつうのは、私塾じゃ教えてくれん。でもな、軍を立ち上げるなら知らんといかんとおもわんか?」
私と姉上は、なんの抵抗もなくうなずくしかなかった。
「てなわけで、提案や」
優しく鈴々を青年がなで、鈴々も気持ちよさそうに受け入れていた。
「張飛ちゃんの話を聞いてな、うちの城主が、世直しの勉強のために客将でもええから士官せんか、っていってるんや」
なぜか姉上が、なでられている鈴々を羨ましそうに見てる。
なぜですか、姉上。
「仕官せんか?」
その言葉に、一も二もなく大賛成の鈴々と姉上。
その様子に私も苦笑いで賛成した。
「鈴々の真名は「鈴々」なのだ! おにいちゃん!!」
「私は、劉備玄徳、桃香だよ」
「わたしは、関羽雲長、愛紗」
「わいは、横島忠夫。真名はないんや。横島とでも忠夫とでも好きに呼んでな」
「うん、おにいちゃん!」
「はい、忠夫さん」
「わかりました、忠夫殿」
こうして、私たち姉妹は、黄忠殿に仕官し、そのちからを伸ばすことになったのだった。
「うむ、愛紗よ。いい筋じゃな」
「ありがとうございます、老師」
「鈴々、もっと頭の中を空っぽにするんじゃ」
「うにゃ、考えがなさ過ぎって言われたことはあるのに、もっと考えるなって言われたのは初めてなのだ」
老師による指南で、愛紗も鈴々も大きく力を伸ばしていた。
愛紗は考える「動」タイプで、鈴々はリミッター全開ではずしての「動」タイプ。
自ずと指導の仕方が違うそうだ。
さすが武神ってとこだな。
「・・・それでも、忠夫殿には当たらないのです、老師」
「鈴々も力不足を感じるのだ」
「なに、あいつにはワシですら不意打ちじゃなければ当てづらいぞ?」
おお、と鍛錬場が盛り上がる。
一般兵も将も、武に関しては同じ地平と言うことで、合同演習しているため、どれだけ将が抜きんでているかを知っている兵たちは、それでも当てられないという状況に驚いているらしい。
でもなぁ・・・
「当たったら痛いやろ?」
「あたりまえなのだ」
思わず笑う鈴々。
「にいさまー、そろそろお昼の時間ですよ~」
「忠夫さーん、兵のみなさんの分も出来ましたー」
「おー、今いくぞー」
返事をしてから振り返る。
「おーっし、午前の武練終了! 午後からは各隊から警備・巡視・巡回に分かれて仕事だぞぉ」
「「「「「了解!!」」」」」
そんなこんなの日常の中やけど、世界は刻一刻と陰を広げている。
歴史的に、地域治安的に判っている俺たちは、着々と準備を進めていた。
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