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御爺様の言葉は伊達じゃなかった。
季衣の鉄球がカスリもしない。
その上、
「あかん、引き戻しに時間を掛けすぎや」
「同じとこにおったら、囲まれるで」
「よしゃ、その動きや」
「あかんあかん、その場所はだめや」
優しく教えるように季衣の戦い方を正してゆく。
最初はイライラしていた季衣も、いまでは遊んでもらっている子犬のように目を輝かせて兄様に鉄球を向けている。
やってることは殺伐としてるんだけど、局部的には何とも。
はぁ、これじゃぁ付いていくって計画が丸つぶれ。
「どうじゃ、横島の実力が低いなら、警護目的で着いてく計画が丸つぶれじゃろ?」
「御爺様、ご存知でしたか?」
「まぁな。これでも年だけは重ねておるからのぉ」
軽く笑う御爺様。
孫赤空(そん・せきくう)という名のお爺様は、真名を「悟空」とおっしゃります。
まるで神仙のようですねというと、面白そうにお笑いになられます。
「ですが、二人だけというのは・・・」
「実はのぉ、わしの「武」は酷くての。そなたらに嫌われたくないのじゃよ」
優しげな二人の「武」は、人前で使うと嫌悪感をもたれるから見せたくないとおっしゃる御爺様。
でも、私たちは知っている。
お二人がどれだけ優しく、どれだけすばらしい人たちかを。
折角俺が季衣に勝ったのに、老師が流琉に負けた。
そんなわけで、仕方なく破落戸退治にいこうとすると、村の有志も立ち上がる。
まいった、この村の連中は気持ち良いから、こういう展開になると思ってたんだよなぁ。
でも、みんなの意志も固いので、仕方なく、本当に仕方なく集団を組んで攻め込むことにした。
つうかさ、老師一人いりゃ、話がすむんだがなぁ。
「そうなんですか? 兄様」
「ああ、老師が本気になれば、勝てる人間なんかおらんぞ?」
「ふわぁ、じゃぁ、兄ちゃんより強いの?」
「せやせや。俺が百人いてもかなわんな」
「「へぇ・・・・」」
未だ武力が格好良い世界の少女たちなので、その強さへの憧憬は絶えることがない。
季衣は俺にかなわなかったことで一気に評価を上方修正したし、その師匠である老師には更なる上方修正評価をしていた。
で、そんな強い人たちが率いているのだから、と言うことで村人の士気も高い。
なんつうか、本気で時代物のゲームを体感してる気になってきた。
信長の野望とか、円卓の騎士団とか、三国志とか・・・。
「・・ん、三国志?」
「どしたの、兄ちゃん」
「いやいや、なんでもない」
・・・やべ、急に色々と繋がったぞ。
黄色い布の破落戸>黄巾
季衣>許緒>曹操の武将
流琉>典韋>同じく
・・・まさかなぁ・・・。
妙神山でやっていたシュミレーションゲームを思い出してしまった。
パピには不評だったけど、小竜姫様と戦略を練りながら遊ぶのは結構おもしろかったのを覚えている。
そう、イヤなぐらいに覚えてる。
「まさかなぁ・・・」
「横島、声を出すな。そろそろつくぞ」
その声を聞き、周辺も声を止めた。
目指す砦が視界に収まったから。
それは流れるような体術だった。
兄ちゃんとじいちゃんが先頭になって、砦に攻め込んだんだけど、すぐに門が閉められた。
閉められたのにじいちゃんが棍を叩きつけると、門が吹っ飛んだ。
「・・・」
誰もが、村人も破落戸もみんな呆然としてる。
そんななか、兄ちゃんが武器も持たず躍り出て、そこら中の破落戸を殴りとばして気絶させていった。
「よし、気絶した奴ら方縛り上げてくれ」
「「「「「わ、わかった!」」」」」
にいちゃんといい、じいちゃんといい、どんだけの修行したらあんな「武」を修められるんだろう?
でも、にいちゃんやじいちゃんに習っていれば、いつかたどり着くかな?
「横島! やれ!!」
「うっす!」
じいちゃんのかけ声と共に兄ちゃんが砦の壁を飛び上がって越えた。
つうか、兄ちゃん、何者?
ドカンとかバキとかカキーンとかいろんな音はしたけれど、血の臭いは一切しない乱闘音の後、にこやかに手を振って兄ちゃんが出てきた。
「つうわけで、中には50人ほどいるから。全員縛り上げよう」
「「「「「おおおおおおお!」」」」」
まるで幻みたいな二人の活躍で、黄色い奴らは全員取り押さえられた。
・・・やっぱ兄ちゃん、すごい!
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