OPCW:疑惑「シリアは化学兵器隠している」を否定
毎日新聞 2013年11月07日 13時18分
【ブリュッセル斎藤義彦】化学兵器禁止機関(OPCW)の決定機関・執行理事会のホリン議長は6日、毎日新聞などの取材に、シリアが化学兵器を隠しているとの疑惑について「中身のないものだ」と否定、申告は「完全に行われた」との認識を示した。米国が疑惑に言及したことに反論した。シリアの化学兵器施設の査察は内戦による危険を理由に2施設が未完了だが、安保理への付託を避け、シリアを擁護する狙いがあるようだ。
パワー米国連大使は5日、シリアが先月行った化学兵器の申告について「精査中で、まだ疑いを持っている」と述べた。米担当官もロイター通信に「情報機関によると、シリアは化学兵器の一部を温存しようとしているようだ」と述べた。
ホリン議長は、申告はOPCWの援助で「完全に行われた」と述べ、兵器を隠しているとの批判はあたらないと否定した。また議長によると、シリア代表は5日のOPCW執行理事会に先月の化学兵器禁止条約加入後初めて参加し、「(来年半ばまでに化学兵器を廃棄するという)OPCWの決定を忠実に履行する」と表明した。
シリア政府は査察できなかった2施設の中身は他の施設に移動したと主張している。ただ、化学物質の詰まったシリンダーが2個見つかり、「シリア政府のものではない」と主張するなど、不審点も残っている。
OPCWはシリアが査察や廃棄を履行しなければ、問題を安保理に付託できる。