非常に長いことお待たせしました。
色々とございましたが、じっくり更新させていただきたいと思います。
以後も宜しくお願いいたします。
第六十一話「トリステインの闇」が生まれて
まぁ、トリステインとガリアの間をつなぐ通商演劇観光計画は、確かに僕がたてたものですが、それに加えて中継地点で歌唱ショウを、という流れらしいです。
基本案、アンリエッタ。
修正案、枢機卿。
舐め腐ってるのですよ、あの鳥の骨。
加えて、プリンセス仮面は、無休公務員ワルドの入れ知恵の様子。
あの腐れロリコン、泣かすのです。
が、すでに僕以外の関係部署に話がとおっているので、拒絶してもいいけど、割と洒落にならないペナルティーを支払わせられることになるそうです。
勝手に話を作っておいて。
とはいえ、引き受ければ、両国と水の精霊に恩が売れると言うことで、一応は了解したのです。
・・・が。
魅ぃ達にも手伝わせるのですよ、にぱぁ。
リカちゃんの提案は実にうまみのある話で、アル閣下からも協力せよと命令がきていた。
で、悟史と結婚を控える妹はさておいて、半ばトリステイン駐留外交官役ともなりつつある私が実務を行うことになったわけだけど、事前会議の参加者が、こう、どうも。
・プリンセスミサイル一号仮面
・プリンセスミサイル二号仮面
・青髪おやじ仮面
・魔法少女ドリルドリス
ねーねー、リカちゃん~、おじさん帰っていい?
と、いない人間に縋ることも出来ず、致し方なく(泣く?)議事を進めたんだけど、いやまぁ、なんというか、超次元プランが湯水のようにあふれでるのはおもしろいけど、そんな事させたら、リカちゃん逃げるよ?
「むぅ、しかし、リカちゃんには似合ってると思うぞ?」
「そうですわ、フレデリカには似合っているはずです!」
「・・・だからいやなんじゃないかしら?」
ドリルドリス、良いこと言った!
つまり、リカちゃんが歌いやすい環境にすれば、忍耐力も切れず、みんなもうれしいという事になるっしょ!
「ふむ、さすがリカちゃんの盟友、ザ・ペーパー」
青髪おやじ仮面、実にうれしそうにうなずく。
ザ・ペーパーというのは私のコードネーム。
てかさ、全員コードネームワレでしょ?
ミサイル一号二号は「アレ」だし、ドリルドリスって「アレ」でしょ?
そんな女の園にいる「おやじ」。
というか、このおやじ、誰よ?
・・・あれ? もしかして、「あれ」?
うっわ・・・・、まじぃ、まじまじ?
そういえば「青髪」は血統だって言う話だったよねぇ?
うわぁ・・・。
ルイズがエレ姉様に拉致られ、心配になった圭一が学院の馬に乗ってアカデミーに行ったので、久しぶりに原作チェックをしてみたのです。
まず、国家間の話で言えば・・・
アルビオンフラグ無し。
続いてゲルマニア婚姻フラグ無し。
狂王フラグ無し。
アドバリンの指輪、変換済み。
くすぶっているのは「聖地侵攻」と「風石問題」だけなのです。
で、二つは密接にリンクしているので、風石をつぶせば聖地は侵攻できなくなるのです。
で、加えて、ガリアの代わりにV&R社がエルフと交流しているので、結構まじめに意見交換できるのです。
・・・原作、影も形もありませんね。
個人間の問題は・・・
ルイズ・圭一召還、ルイズ自身ゼロとか言われていないので根性が真っ直ぐ。
すでに虚無に目覚めていて、「狙撃」の字が「穿滅」とかいう物騒なものに変わるほどの進化をしていたりする。
キュルケ、結構露出が少ない格好。ボーイフレンドより「始祖みて」仲間の方が多い。「微熱」の字は今では「必滅」とかいう恐ろしいものに。
タバサ、北花壇騎士団の番外。親戚のお姉さんに溺愛されている。字は「断滅」。
原作の欠片もない三人は、「学院の三滅魔女」として名高かったりします。
空恐ろしい字にかかわらず、三人とも人気が高く、始祖みてファンからすると、モデルになった三人ということになっているらしいです。
加えて、ギーシュもモンモランシーもマリコルヌもみんな原作からかけ離れていて、実にパーフェクトな異次元なのです。
「フレデリカ、暇?」
「カトレア姉様、一応、執筆中なのですよ?」
「だったらお茶にしない?」
そう、一番すごい原作剥離はカトレア姉様でしょう。
病気は治ったし、王宮の暗部で活躍して自分の都合の良い状況を作り上げたり、愚かな貴族もそうでない貴族も色々と派閥分けして裏から操るすごい人になってしまったのです。
それもこれも、「自分の病気を治した人間の元へ嫁にいく」ことが目的だというのだから恐ろしすぎて声もないのです。
ここまで正面も裏面も固められると、貴族として逃げようがなくて困るのですよ。
そりゃ、僕もカトレア姉様を嫌いではないし、誰かを選ばなければならなければ、カトレア姉様を選ぶでしょう。
というか、その選択肢に「ルイズ+タバサ」が入っているのが恐ろしいのですが。
「ねぇ、フレデリカ」
「なんですか?」
「こういう静かな時間もいいわね?」
「・・・ええ。落ち着いた時間に縁が遠かったので、結構うれしいですよ」
「でも、だめね」
「なにがですか?」
「フレデリカはいつも騒動の中心。寝ても覚めても大騒ぎの中にいるもの」
「・・・うれしくない話なのです」
もうすこし落ち着いた時間が過ごしたいのですよ、と苦笑いでいる僕の元に、騒乱の使者がやってきたのです。
「ふ、ふ、ふ、フレデリカぁ!!」
飛び込んできたのは沙都子と羽入。
けっこう二人が仲良しなので、うれしいのですよ。
「沙都子、淑女にあるまじき大騒ぎ、だめなのですよ?」
「なにを落ち着いてますの! 大変でございますのよ!!」
とりあえず、リカちゃんだけに任せると、絶対に切れると思うので、音楽祭という形にすることを提案したら、結構な賛成が得られた。
各国の王宮楽団や市政の楽曲家が参加したい素振りを見せているそうだから成功するだろう。
アル閣下からも「某貴族が声を披露したがっている」という話があるぐらいだから、それなりだろう。
というか、リカちゃんに緊急発注が行くんじゃないかな?
・・・どっちにしても苦労が絶えないよねぇ、リカちゃん。
「では、リカちゃんへの伝達は頼んだぞ、ザ・ペーパー」
「よろしく頼みましたわよ、、ザ・ペーパー」
「大いに期待、ザ・ペーパー」
「お願いしますね、ザ・ペーパー」
おじさんかよ!!
えー、この山のような依頼状は何なのですか?
カトレア姉様が色々と分類してくれた内容では、「ガリア」「ゲルマニア」「トリステイン」の特定貴族からの書状で、新しい曲を発注したい、金は思いのまま、締め切り厳守、歌手指導込み、そんな内容でした。
全部断りますが、一つだけOKなのです。
『私たち、結婚します』
詩ぃと悟史の結婚式への招待状だったのです。
参加に丸をしましたし、友人代表スピーチも引き受けるのです。
「・・・まぁ、すてきなお話ね?」
「僕には猶予期間があるのです」
「なにもそんな話はしていないのよ?」
にこにこ顔のカトレア姉様。
「・・・梨花、この全世界の女性を敵に回しそうな女性は誰ですの?」
「・・・ルイズの姉なのです」
「それは知ってますわ。聞きたいのは梨花とのご関係ですわ」
「・・・えっと・・・」
「フレデリカは私のとって、恩人で幼なじみで、とっても大切な男の娘で・・・」
なんでしょう、不穏な発音があった気がするのです。
「・・・将来を約束しようとしている関係ですよ?」
あ、割とフェアな物言いなのです。
「梨花・・・本当ですの?」
「・・・依然、カトレア姉様は、不治の難病にかかっていたのですが、僕とエレノオール姉様とみんなで助けたのです。その際の治療方確立の報奨ということで、婚約の話が持ち上がっているのですが・・・」
「・・・・」
「健康になった公爵次女との婚姻は、崖っぷち貴族にとって喉から手がでるほどほしいものなので、宮廷内が大騒乱になっていたのですが・・・」
「・・・・」
「・・・全部、カトレア姉様が黙らせたのです」
なにそれ、こわい。
そんな視線でこちらを見ないで欲しいのです、沙都子。
「・・・やだ、フレデリカ。私はお嫁さんが欲しい貴族の方々に、懇切丁寧に女性を紹介したりあてがったり押しつけたりしただけよ?」
「「(こわっ!)」」
思わず沙都子と抱き合ってしまったのでした。
リカちゃんの負担軽減のための音楽祭企画は、一応理解してもらえたらしい。
リカちゃんは「ステージをいくつか作るべきなのです」とロックフェスティバル形式を提案。
予算面でも可能なので、ガリアとトリステイン側に展開させ、双方を船でつなぐことにした。
空は低空遊覧する「船席」用にあけたため、道としては使えなくなってしまったからだ。
もちろん、出演者を高速移動させるための道でもあるんだけど。
各会場の席を占有する人間防止のために、人気歌手や人が集まることが予想される人々は会場の各ステージを飛び回ってもらうことにしている。
歌う内容に従ってアップ曲とスロー曲をステージ固有にしているのだ。
これにより、曲の好みでステージ定住することはあっても、歌手で固定することはなくなるわけだ。
一長一短アルだろうけど、第一回目はこうする、と決めた。
今回の元ネタ
・ザ・ペーパー ・・・・ 言わずと知れた無駄巨乳臨時教師
11/07/23 伯爵>公爵