【木村俊介】10月の台風27号による豪雨などで、東京電力が福島第一原発の地下貯水槽に「一時的」としてためた放射性物質に汚染された雨水が、そのままになっている。4月に高濃度の汚染水漏れが発覚して使わないことにしたはずだが、よそに移すめども立っていない。

 ためられているのは、汚染水タンクを囲む堰(せき)内にたまった雨水で、二つの地下貯水槽で計2700トン分ある。排出基準を超えていたため外に流すことができなかった。東電は「緊急的な対応」と説明。水は2、3号機のタービン建屋の地下に移して、ほかの汚染水と一緒にする方針だった。

 しかし建屋は、流れ込む地下水とほかから移した雨水で余裕がない状態。地下貯水槽をいつまで使うのかについて、東電は「汚染水の処理状況による」と言葉をにごすようになった。

 こうした対応に、福島県は「地下貯水槽の高濃度汚染水漏れの原因もわかっておらず対策も取っていない。すぐよそに移すよう指示している」。福島第一原発のある双葉町の担当者も「『一時的』だとか『仮』だとか言うが、いつまで使うのかはっきりさせてほしい」と話している。