2013年11月7日16時43分
【北野隆一】報道写真家の桑原史成(くわばらしせい)さん(77)が、写真集「水俣事件」(藤原書店)を出版した。53年間、水俣病を追った軌跡の集大成。撮りためた3万コマから120枚を選んだ。出版に合わせ、6日から銀座ニコンサロン(東京都中央区銀座7丁目)で写真展「不知火海(しらぬいかい)」が開かれている。
大学卒業後、写真家を志していた1960年。週刊朝日の写真ルポ「水俣病を見よ」を読み、「これぞわがテーマ」と直感し、現地へ。水俣病公式確認の4年後、まだ国やチッソは原因を工場排水と認めていなかった。貧しい漁村で、後に胎児性患者と認定される子どもたちと出会った。
病の実相を伝えるため、見る人の心を動かし、ページを繰る手を止めさせる写真を目指した。5歳で寝たきりとなり、物も見えず、言葉も発せずに23歳で逝った小児性患者の松永久美子さん。「生ける人形」と呼ばれた美しさを伝えようと、66年、15歳のつぶらな瞳だけを大写しにした。
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朝日新聞社会部
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