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第五十一話「閨の秘密」が生まれて

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いやらしい話ではありませんw


第五十一話「閨の秘密」が生まれて

 とりあえず、簡単に現状を説明したのです。
 圭一が死にそうになっていた世界とその後の世界で救われた僕。
 そしてその世界の後で転成した僕が男であること。
 この世界の成り立ちと今の生活、そして圭一の立場。

「ふーんじゃぁ、俺はルイズちゃんのサーバントってことでいいのか?」
「メイドでもいいのですよ?」
「・・・心の傷がバクバク開くので勘弁してください」

 で、今僕がやっている活動を説明すると、圭一は瞳を輝かせます。

「つまり、俺も萌の伝道師になれるってことか?」
「というか手伝ってほしいのですよ。さすがに一人で執筆できる量じゃないのです」
「よっしゃ、じゃぁ、俺に男のロマン部門を任せてくれ!!」
「とりあえず、読み書きの練習が先なのですよ」

 そういって手元の本を見せると、んーっとみた後でニヤリと笑う。

「ドイツ語、つうか、ゴートの系統だろ? 語彙と文法を勉強すればいけるぜ」
「さすが圭一、口先の魔術師なのです!」
「おいおい、ほめるなよ~」

 わっはっは~、と笑う圭一ですが、本気で感心したのですよ。
 ドイツ語の系統じゃないかと思ってはいたのですが、もう一段昔の言葉だったとは思いもしなかったのです。

「ね、フレデリカ。ミスタ圭一とお知り合いなの?」
「ん、ああ、ミスタ圭一は東方の賢者なのです」

 ついっと視線を向けると、圭一も乗ってきた。

「ミス、先ほどは唇を失礼しました。私の名前は圭一=前原。りか・・・フレデリカ卿の友人にして戦友です」

 さすがなのです、つっこみどころはあれども逃げての多い自己紹介、流石なのです!!

「あの、その、急遽呼び出して申し訳ないと思っておりますが、その・・・。」
「ミス、男たるもの、眼前にそびえ立つ無理と無謀に立ち向かうもの。美女美少女の頼みならばなおのこと! それこそが男の真骨頂!」

 よく言ったのです、圭一。
 もちろんそれは死亡フラグなのです。
 なーむー。

「で、では!! あの、その、一番上の姉の婿になってくださいませんか!?」

 もちろんここで怯まない、前原圭一ここにあり!!

「・・・私は問題ありませんが、お姉さまにも選ぶ権利がございますでしょう。私めはいつでもお姉さまの最後の砦として待ちましょう。」

 ふっふっふ、逃げたつもりですね圭一。
 しかし、エレオノールねえ様にはすでに退路はなく、最後の砦とか聞けば速攻で逃げ込む事請け合いなのですよ!!

「よかった・・・ミスタは紳士ですのね?」
「いえ、在野のただの男です」
紳士へんたいなのは確実なのです」
「おいおい、りかちゃん、ほめるなよ」

 そんな心温まるコントの裏で、召還は続いていたのですが、マリコルヌが呼び出した猫を見て、僕と圭一は驚きの声を上げたくてもあげられなかった。

 その巨体、その風格、その赤いチャンチャンコ。
 間違いない、その姿。
 間違いない、その風格。

「「猫大将ブータニアス・ヌマ・ブフリコラ!!」」
「なーう。」

 その返事にハイタッチの僕と圭一。

「り、りかちゃん、古バルカラル語、いけるか? さすがに俺は無理だ」
「僕はいけるのですよ、黒猫にお任せなのです!!」

 興奮のままに恭しく礼を取る僕。

「(偉大なる猫の王よ、我が友の召喚に応じていただきありがとうございます)」
「(よい。われも既に役目を終えた身。戦いも終わった世界で朽ちるよりも戦いに身を投じようと思っただけじゃ)」
「(その気高き御心に感謝します)」

「ね、ねぇミスタ ケーイチ。フレデリカは何ニャゴニャゴ言ってるのですか??」
「静かに。あれは猫精霊の言葉、古バルカラル語だ。」
「・・・精霊語。すごい・・・フレデリカすごい・・・。」

「(偉大なる猫の王よ、いかなる盟約を共に召喚に応じてか?)」
「(我をあがめし精霊騎士の宣誓と、我を戦いに導く運命を求めに)」
「(ならば、我が騎士団の象徴へお願いいたします。我が騎士団の名をケットシーと申します。)」
「(ほほぉ? 我らの名を冠するか、人族の英雄よ)」
「(私は英雄などではありません。英雄の語り手でございます)」
「(謙遜はよい。ソナタには「青」に通じる気風がある。それを認めぬなら契約は無しじゃ)」
「(・・・それは、無体な)」
「(王とは、神とは、そう無体なものよ)」
「(・・・認めましょう、猫の王よ)」
「(ふむ、ならばソナタを騎士団長と呼ぶとしよう)」

「リカちゃん、話は纏まったみたいだな?」
「はいなのです。ブータニアス・ヌマ・ブフリコラ卿は、マリコルヌの使い魔になると共に我がケットシーの象徴として、戦乱を渡り歩き勝利を得ることを望んでいらっしゃる戦神なのです!」

「「「「「おおおおおお!!!」」」」」

「しかし、団長。猫・・・・猫大将がなぜ戦神なんだい?」
「古来より、戦の神はモフモフの毛皮をきてニャーと鳴くものなのですよ?」
「なーう」

 そんなわけで、我が騎士団に新たな仲間が加わったのです。
 金棒の圭一と猫の騎士団象徴ブータニアス・ヌマ・ブフリコラ卿。
 ブータニアス・ヌマ・ブフリコラ卿と共に歩くマルコリヌの姿は、学園周辺でも有名になったのです。









 夜、さすがに女の子と一緒の部屋はまずいという事で僕の部屋にきた圭一は、今までのことを一部始終説明されてぐったりしているのです。

「さっすがに異世界つうのは驚いたな。」
「で、左手のルーンは「ガンダーヴル」武器を扱うもの、右手は「ウィンダーヴル」獣を扱うものの象徴なのです。」
「で、羽入ちゃんの額のが・・・「神の頭脳ミョズニトニルン」か」
「魔具なら何でも使えるという迷惑なルーンなのです」
「迷惑は酷いのです!! 「おやしろさま」たる僕にはぴったりなのです!!」
「それが一番の驚きなんだよな。あのおやしろ様が、こんなかわいい女の子だったなんて・・・。」
「か、かわいいだなんて・・・。口説いても無駄なのですよ、圭一」
「いや、ほら、うーん。調子狂うな」

 いやんいやんと跳ねる羽入をみて苦笑いの圭一。
 まぁ、真実とはそういうものなのです。
 とはいえ、さらなる真実は語るまでもないのです。
 まさか、僕が外装だけの偽リカであること何で説明する必要なんてないのですよ。

「でさ、リカちゃん。俺ってやっぱ戻れないのかな?」
「・・・難しいのです。あの瞬間のみー達には悪いのですが、殺されることが決まっている世界から圭一だけでも引き釣り込めたのはルイズの功績だと考えているのです」
「さらに、何人も引っ張り込めない、か。」
「その点は謝るほかないのですよ」
「いや、リカちゃんのせいじゃないのは理解してる。理解してるんだが、な」

 圭一は、笑顔の中で涙を流します。

「この世界のルールは非常で無情です。ですが、僕やルイズが必ず後ろ盾になるのです。だから、力を貸してほしいのですよ」

 涙を流す圭一を抱きしめると、圭一も僕を抱きしめた。

「・・・はぁ、本当にリカちゃん、男になっちまったんだなぁ。」
「ごつごつしていて気持ちよくないですか?」
「いや、別の意味で」
「ホモ野郎だったら閉め出すのですよ」
「それは大丈夫。おれ、美脚派だから」

 やりますね、圭一!!
 エレオノールフラグ乱立なのですよ!!
 これは剣術と魔法と騎乗をマスターして、白馬の王子様計画実行なのです!!

 いや、右手と左手で、バッチこいじゃないですか!
 礼儀作法をたたき込めば、若いツバメの出来上がりなのです、すごいのですよ圭一!!

「・・・リカちゃん、もしあして不穏なこと考えてる?」
「にぱー」
「頼む、否定してくれ」

「にぱー」










 疲れた圭一が寝たあと、僕は羽入に向き直ったのです。
 用件は解っているはずなので、ずばっと切り込むと、羽入はニコニコでした。

「リカ。リカは自分で思っている以上にリカなのですよ。この世界のリカはフレデリカ、アナタなのです。気後れする必要も何もないのですよ」
「でも・・・」
「こう考えてほしいのです。ループを繰り返した古手梨花に、もう一人の記憶がある、その程度と」
「じゃぁ、僕は、みんなの期待通りに古手梨花を名乗っていいのですか?」
「ぼくは大歓迎なのですよ」

 唐辛子のない世界は最高なのです~、とか跳ね回る羽入を僕は抱きしめたのです。
 耳元でありがとうとささやくと、羽入も抱きしめなおしてくれたのです。
 まるで母上のような温もりなのでした。












「梨花ならもうぐっすりなのですよ、圭一」
「・・・やっぱ気付いたか」

 目の前でにっこり微笑む羽入ちゃんは、あの頃と変わりなかった。

「やっぱり圭一にも色々な記憶があるのですね」
「ああ、皆を傷つけたときやら橋から落ちたときやら、あの戦いを潜り抜けたときの、な」

 そう、オレには様々なオレの記憶があった。
 そして、梨花ちゃんの言う「あの」時の記憶も、その後の記憶もあった。

「それは、とてもあり得ないほどの奇跡なのですよ、圭一」
「判ってる。こんなことが二度も三度もおきるなんて、奇跡以上の奇跡なんだろ?」

 俺の言葉に静かに頷く羽入ちゃん。
 彼女が神であることも、そして人間として暮らした未来の記憶もあるので、結構複雑な思いがある。
 彼女の来歴を調べるために、大学でいろいろと研究した影響で、この世界の言語も凡そ判ったぐらいだ。

「リカにはあまり言わないであげて欲しいのです。リカは皆を自分が巻き込んだと思っているのです」
「わからないでも無いけど、言わないことにするよ」

 苦笑いで答えをかえすと、羽入ちゃんはにっこり微笑んだ。
 それはまるで慈母のもの。
 それは長年りかちゃんの保護者であったことから生まれたものだろうか?

「ふふふ、これでも一児の母だったこともあるのですよ?」
「うわー、想像できねぇ」

 梨花ちゃんにもオレにも言えない秘密がある。
 こんな世界で出会った二人だからこそ、明かせない秘密。
 それを、いつか話せるときがあれば、本当に嬉しいと思いつつ目を閉じたオレだった。」


なんと、圭一、スーパーKEIICHIでしたw
怪しげな知識も経験も、かけらの記憶の集合体だったわけです。
チートすぎますかね? でも、元々のリカちゃんも半ばチートだしw

※今回の元ネタ
猫大将ブータニアス・ヌマ・ブフリコラ ・・・ PSゲーム ガンパレードマーチ
古バルカラル語 ・・・ PSゲーム ガンパレードマーチ ・・・ ドラマCDより・・・猫精霊の言語
戦の神はモフモフの毛皮をきてニャーと鳴くものなのですよ? ・・・ GPM内の台詞より

 

(4,158文字)