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第四十一話「天然」と「天災」が生まれて

トップページ > 神代ふみあき書庫 > 非赤松椎名系作品 > フレデリカとゼロ魔 > 第四十一話「天然」と「天災」が生まれて




 

結構頭の温かい人が多い世界になってしまいましたw



第四十一話「天然」と「天災」が生まれて


 すごいんです、すごいんです!

  あのフレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ様からの招待を受けて、孤児院のみんなと一緒にトリステインまで遊びに来れたのですが、私がハーフエル フであることを始めからご存じだったみたいで、フェイスチェンジの魔法が込められたマジックアイテムまで準備してくれ、旅費まで出してくださったんです。
 いつもいつも、いろいろな本を送ってくださるばかりではなく、こんな事までなぜしてくれるのか、直接聞いてみたら・・・

「テファ、きみは幸せになる権利があるのです。僕はそのお手伝いをしているだけなのですよ」

 ・・・ものすごく感動しました。
 で、もっと驚いたのが、私がモード公の血筋だと言うことも知っていたということ。
 本当に驚きです。
 何で知っていたんでしょう?

「物語をかくときには、いろいろな歴史や事件を追って、そして謎を解いてゆくのです。追いかけた事件とその謎を紐解くと、隠れていた真実は思いの外簡単に顔を出すんですよ?」

 ほんとうに、本当に、フレデリカ様はすごい。

 そして驚きはそれでは収まらなかった。
 なんと、フレデリカ様のお友達に「エルフ」がいて、さらにお母さんを知っている人だったんです。
 詳しい話をしてみれば、なんと、彼女、エルフのレナさんと私は従姉妹だったのです。

「はうぅ~、肖像画のおばさまの若い頃にそっくりだよ~」

 一目見てわかるほど似ていると聞いて、私はうれし泣きをしてしまいました。
 そんな話を聞くのは初めてだったから。

 そしてもっとも驚いたのは、あのマチルダ姉さんが学園で働いていたということでした!

「テファ! あんた何でこんなところにいるんだい!!」

 驚いて肩を抱くマチルダ姉さんは、動揺あまり目を白黒差せています。
 じつは、フレデリカ様から驚く人が学院長の秘書をしているので会いに行くと良いと言われていたことを告げると、なぜか真っ青になりました。

 体調が悪いのでしょうか?

「・・・テファ、教えておくれ。フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデとはいつから知り合いなんだい?」

 結構前ですよ?
 物語や童話を私たちの孤児院に寄付してくれてましたし、前々からトリステインに招待するって約束してくれてましたし・・・。

「・・・はぁ・・・・」

 深々と溜息をついたマチルダ姉さんの耳元にささやきます。

「私がハーフであることも、モードであることも、姉さんがサウスゴータであることもご存じでした」
「・・・な!」

 驚いた、驚いた、やっぱり驚きましたね?
 私も驚いたのでおあいこです。

「そして、チューダ王朝に「モード」と「サウスゴータ」の復権と追従させられた貴族の名誉回復も約束させているのですよ」

 あれ?
 振り向けばそこにはフレデリカ様。
 でも、何となく感じが違う。

「・・・偏在かい」
「ご名答なのです」

 現れたフレデリカさんは、魔法で作られた分身だそうですが、本人とも意識はつながっているそうです。

「で、あんたの目的は?」
「テファの心と環境の救済なのです」
「・・・信用できないね」
「信用しろとは言わないのです。でも、ミスロングビルの許可が無くとも関係ないのです。僕が全力で救うのです」

 ・・・うわぁ、これって愛の告白?

「テファ、正気にお戻り」
「・・・は!」

 危ない危ない、ちょっと妄想してしまいました。

「フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ、あたしは「サウスゴータ」なんてものになる気は無いんだけどね?」
「でも、このままの生活では何れ泥にまみれて死ぬのです。それはテファも望まないのですよ?」

 え? 死ぬ? なんで? だって、秘書でしょ?
 秘書ってそんなに危ない仕事なのですすか? フレデリカ様。
 あれ、マチルダ姉さんが何故か苦しそうな顔です。

「なにも慈善事業で救済と言っているわけでは無いのです。目的も報酬もあるのです」
「・・・それはなんだい?」

 苦しそうなマチルダ姉さんの言葉に、フレデリカ様は笑顔で答えました。

「目的は、幸福的終演をこの目に刻むこと。報酬はテファや子供たちの笑顔なのですよ」

 瞬間の静寂。
 しかし、その後は姉さんの大爆笑。
 かなりの時間笑い続けたマチルダ姉さんは、ゆっくりと涙を拭いながらフレデリカ様に向き合った。

「それが本当なら、あんたは始祖以来の詐欺師かバカだね」
「いえいえ、作家は真実に貪欲なだけなのです」
 
 え、ええ?
 もしかして、これって物語の取材なんですか?
 ええ、じゃ、じゃぁ、私が物語になっちゃいますぅ!?

「こんな可愛い生き物を、悲しませたいわけがないのですよ」
「・・・納得しとくよ、フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ」

 すっと右手を差し出すマチルダ姉さん。

「あんたの描く幸せって奴を聞かせてくれないか?」
「了解なのですよ。ミス ロングビル」

 二人の握手はすごく嬉しい、もう、これ以上の幸せはないかなって思えるほどの幸せでした。






 ところで、なんでマチルダ姉さんは「ロングビル」なんて名前で呼ばれてるの?

「マチルダ=オブ=サウスゴータ で就職なんて無理なのですよ」
「ああ、なるほど・・・・ところでフレデリカ様」
「なんなのですか?」
「私も偽名って使ってみたいのですが・・・」

「「・・・・・」」

 なぜか、マチルダ姉さんとフレデリカ様から生暖かい視線をもらいました。
 あれぇ~? なんででしょう~?










 変態どもへのおとりとして一人練り歩いているんだけど、これがまた面白いぐらいに紳士へんたいが寄ってくるのよね。
 視界の端でルイズがタクトを構えているのが見えるから安心してるんだけど、それにしたって、この紳士へんたいの多さには辟易。
 こりゃ、なにか壁役の紳士へんたいがほしいわね・・・・

「やぁ、キュルケ。大変そうだね」

 どこかに壁役、いないかしら?

「・・・キュルケ、なんで無視するのかね?」

 はぁ、どこかに頼れて後腐れのない紳士へんたいは居ないかしら~

「さすがにここまで正面から無視されると、結構傷つくんだが?」
「あら、モンモランシーとの愛が深まって、そろそろ婿入りかと噂されているギーシュ=ド=グランモン殿じゃありませんか」
「わー、や、や、やめてくで、キュルケ、その手の噂は・・・・」

 わたわたと慌てるギーシュだったが、もう遅かったりする。
 なにしろ、「あれ」がもう来た。




「・・・・モテヤローハイネーガーーーー・・・・・・?」



 自称、モテ男たちは、警戒のために杖を出す。
 もちろん、武装したた奴から順番にルイズの「狙撃」が襲う。


「・・・モテヤローイネーガーーーーー!」


 模擬店の屋根を跳ねるように飛んできた黒い陰。
 醜い顔をマスクで隠したその物体の名は・・・

「猫マスク(オレ)、推参!!」

 現れた瞬間、なぜか歓声が沸き上がった。

「モテない男の期待を一心に込めて、モテモテ野郎を血祭りに上げる、俺の名は「猫マスク」!!」

 どどーーーん、と音がするような気配だったけど、背景は何故か拍手の渦。

「この中でモテセンサーに引っかかるのは・・・・」

 キュピーンてやつね、あの目の光り。

「・・・貴様だ、ギーシュ=ド=グランモン!」
「ま、まて、猫マスク。僕はモンモランシー一筋、モテモテじゃない!」
「笑止! 一人に一途だと!? ならばその一人すら居ない我々孤児オーフェンは、その孤独ロンリーハートは、傷つけられ続ける男心は、その罪は、どこに向ければいい!!!!!!」

 大歓声を背に、猫マスクはまるで優雅な俳優のように、双剣を手にする。
 ・・・単なるデブのくせに。

「さぁ、我が同胞よ、孤児オーフェン達よ、モテ野郎の運命は・・・・」
「「「「「有罪ギルティー!!」」」」」
「我々が行う正義の行き先は・・・」
「「「「「イケメン殺せ!!」」」」」
「では、開始しよう、イケメン「剃り」を!!」

 ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ、とか笑いながらギーシュを襲う猫マスクは、実のところ「イケメン狩り」というイベント扱いで、逆説的に格好良い男子が狙われるという評判になったそうだ。
 彼女連れで、彼女が美人というだけでも襲われるそうなので、彼女にとっても自慢になるらしいけど、逆モヒカンはごめんよね?

お祭りの最中というのは、かくもまとまりがないものだと思う神代でした。




※今回の元ネタ
「猫マスク(オレ)、推参!!」 ・・・ いわずと知れたモモタロス

 

(3,358文字)