第四十話 「混沌空間」が生まれて
まったく、うちの侍女達は、本当に、もう。
「物語」の招待を受けてオープンキャンパスに来てみれば、・・・確かに私は前夜祭までで盛りあがったけれど、当日からは侍女達の天国だった。
「物語」の学院内限定出版本を写本したり、「物語」の部屋を堪能したり、「始祖みて」を模した出展に紛れ込んだり、やりたい放題だ。
まぁ、そういうことをしても良い雰囲気なので、それはそれでいいのだけれど、はじけすぎているのは間違いない。
正直、諸侯の間者だと思ってた娘まで、目をキラキラさせて喜んでいるのをみると、「物語」おそるべし、としか思えなかった。
とりあえず、間者率が高いグループが「始祖みて」出展にカジりついて離れないので、最後までつきあったが、途中で抜けて見に行った、あの「独唱」には度肝を抜かれた。
「物語」め、こんな特技まで隠し持っていたとは、水くさいことこの上ないじゃないか!
その上、リアルエルフだって!?
とっとと紹介してもらおうじゃないか!!
くぅ、片や着やせするタイプの純粋エルフに、片や暴力的な胸囲のあのティファニアが、ハーフエルフだってぇ!?
まずい、まずすぎるよ、この二人!
男の欲望が結晶化したかのような「エロフ」そのものじゃないか!!
「イザベラ様、さすがにエロフは無いかと」
「・・・口に出てたかい?」
「出てたのです」
・・・・まぁいい。
お父様まで視線釘付けのティファニア嬢はさておき、この純粋エルフを紹介してもらうよ、いいね、フレデリカ!
「はいなのです。前世の絆の友、レナなのです」
「はい、初めまして、イザベラ様」
・・・な、なんだってぇ!
「前世」・・・前世だってぇ!?
「ちなみに、こちらの二人も、前世仲間なのです」
「「よろしくお願いいたしまーす」」
・・・ひどい、ひどじゃないか、フレデリカ。
そういう細かな遊びに混ぜてくれと何度も言ってるのに・・・!
私も「妄想戦士」したいじゃないかぁ!!
あー、やっぱり妄想戦士扱いなのです。
この話を聞きつけたジョセやんと父上まで自称の二つ名などを披露しあって、感じいっているのです。
まさに厨二乙、なのです。
というか、僕にも二つ名、あるんですよ。
「物語」とか、いろいろなのです。
ただ、いま背後で父上とジョセやんが、僕の称号を言い会ってるのが痛いのです。
その「史上最強の弟子」は死亡フラグなのです。「教会最大の敵」って、僕を異端審問させるきなのですか。「リステナーデ弾爵」はやめなさい、なのです。
聞いているだけで、胃が痛くなるのですよ。
とりあえず、女性陣は「妄想戦士」ネタを嬉しそうにはなしているのでいいのですが、姿を消してジッとコチラを見ているエルフはどうするですかねぇ?
うを、僕がガン見してるのに気づいてるのです。
・・・重ね掛けで姿を消しても無駄なのです。
あ、視線からはずれるように身をよじってるのです。
結構、往生際が悪いですね。
あ、脂汗かいて柱の陰に隠れたのです。
結構追いつめられているのです。
指さしたら避けましたよ。
なんというか、ちょっとかわいいですね。
「ねぇ、リカちゃん。なにしてんの?」
「ああ、みー。この指先に、純粋エルフの男性がいるのです」
「ほ、ほ、ほ、ほんとかい!?」
食いつきのいいイザベラ様。
エルフ好きも極まれりなのです。
「ビダーシャル、姿消しても無駄だって言ったじゃない」
レナの一言で、端整な顔立ちの男性が現れたのです。
・・・もちろん、脂汗をかいて。
「蛮人、貴様は何者だ」
「みぃ、黒猫なのですよ、にぱー」
「くっ」
脂汗を拭いつつ、レナの側にたつエルフ男性。
守ってるつもりですかねぇ?
「あ、あ、あの、お話させてもらっても良いですか?」
「・・・蛮族と交わす言葉はない」
「くぅ、これがツンデレってやつかい、おもしろい、デレさせてやろうじゃないか・・・」
「イザベラ様、無謀なのです。コチラのエルフの方には婚約者がいるのですよ」
「なっ!! なんでそんなことを知っている!」
「もちろん、カマをかけただけなのです。そんなわけで、婚約者がいるのでした~」
「「「「「おおおお~」」」」」
ふっふっふ、驚く事なかれの原作知識なのです。
でもこれで、蛮族と侮ることが難しくなるのですよ?
そう、ただの蛮族ではない、ホブ蛮族、みたいな?
いや、レッサー蛮族の方が・・・。
・・・あれ、おかしいのです。全く嬉しくないのですよ。
あれぇ~?
全行程三日間の「学園祭」の二日目は、フレデリカも私たちも「当番」があった。
フレデリカは「F様が見てる」の説明当番と、空調の魔法当番。
さすがに集まる人数が多すぎて、熱気がすごいことになる事がわかっていたので、風のラインメイジ以上が持ち回りで当番をして換気しているのだ。
同じく、水のラインメイジ以上は救護当番がくまれている。
で、土のラインメイジ以上は当日まで強制的にお土産作り班に従事していたので、当日はお休みになっている。
で、私たちはというと、キュルケは、潜在的変態の餌になり、私がそれを狙撃するという「係」になってしまった。
ティファニアやレナ、そしてゲルマニアからのお客さんたちは、物語好きの、フレデリカマニアらしいので、急先鋒であるタバサに任せている。
一応彼女も王族なので、いくら無礼講でも彼女に喧嘩を売る人間は・・・・
「あ、アイシクルビット・・・、杖もって大暴れ・・・・、おいおい、それ、だめだって!広域凍結魔法だめぇ・・・。あ、レナさんTueeeeee・・・・」
あれなら護衛いらなくない?
そんなことを考えてしまった私だった。
実は土のラインメイジが多い猫の騎士団は、本番当番が少ない。
そのせいか、ギーシュは「超合金」隊を率いて展示や揉め事を納める警備にフル回転。
かなりの人気を博していて、本人も、ご両親も、ご家族も鼻高々だったりする。
「さて、そろそろキュルケの周りを掃除するかな・・・、あ、タバサ乱舞に近づいてる。」
このままだと変態という名の貴族と、タバサ乱舞がぶつかってしまう・・・。
つまり
「私の仕事が減るって事よね、良いことだわ」
「その油断が戦場で命を落とすのです」
や、やばい声が聞こえるわ。
振り向いたらだめ、振り向いたら死ぬわ。
「・・・その意志力は買いましょう。常に戦場に目を向ける意志力は」
くぅ、このままどうにかやり過ごさなくちゃ・・・。
「しかし、恐怖から視線を逸らしたままというのは認められません」
「お、お、お母様。私、任務中ですので・・・」
「その任務、放棄していたのではないですか?」
「い、いいえぇ、そんなわけがありませんわ」
ふぅ、とため息をもらしたお母様は雰囲気を変えました。
「現在の、フレデリカの攻略は?」
「肯定レベル三まで済んでいます。嫁発言の否定が尽きましたので、次の段階に移ります」
本当はもう一歩進めたかったけど時間切れ。
これはちぃ姉様と共同で進めるしかないかしら?
「いいでしょう、ならば肉体接触までの許可を出します」
「一発かますんですね!?」
きたぁーーーー! 親公認!!
お母様公認と言うことは、お父様も説得可能、というかフレデリカを落とせるなら了解するに決まってる!!
そうなると、卒業と同時に出産を目指して仕込めってことですよね?
いえ、夏期休暇中に出産を目指して、というのもありね、うふふふふ。
「・・・キスまでです」
そ、そんな!
「その程度のアドバンテージで引っ張れる相手ではありません、お母様!既成事実が有用です!!」
「・・・歯止めがはずれて他の娘まで「キメ」てしまっては意味がありません」
「ぐぅ・・・そうでした。私の思慮が足りませんでした、お母様」
そ、そうよね、そうだったわ。
私とちぃ姉様の肉体で女を覚えたフレデリカが、そこいら中の女の子に対して「デブ猫」したらいやだし。
「よいのですよ、ルイズ。若い頃はそんなものです。しかし、「キメ」ると決めた瞬間からは戸惑ってはいけません。わかりましたね?」
「はい、お母様!!」
さすが「烈風姫カリン」!
そこに痺れて憧れる!!
そうやってお父様を落としたんですね!?
「ルイズ、「あれ」を読みましたか?」
・・・あ、やばい・・・
ホブ蛮族とかレッサー蛮族とか、言われていないのが面白いというかなんと言うか。
物語がサハラに浸透したら、やばいかもw
※今回の元ネタ
「史上最強の弟子」・・・・ケンイチ
「教会最大の敵」・・・・・多すぎてフォローできませんw
「リステナーデ弾爵」・・・武装錬金>ギーシュたちではありませんw
「あれ」・・・「烈風姫カリン」の新作・・・当然ルイズは読んでます
ホブ蛮族とかレッサー蛮族・・・メタル蛮族・バブル蛮族もあり
5/13 シルフィードいませんでした