第三十九話「驚愕」が生まれて
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第三十九話「驚愕」が生まれて
我が息子、フレデリカによる脚本劇があるということで、護衛に来ているマンティコア隊員が交代勤務の時間の争奪を行っていた。
まぁ、私は息子がでるわけではないのでいいのだが、隊員たちは妙にこだわっている。
なにが良いやら悪いやら。
とりあえず、競り勝った者たちへ優先入場整理券を渡したところ、地に両膝をつけて忠誠を誓われてしまった。
おまえ等の忠誠は王国にあるだろうが。
・・・全く。
こんな姿を隊長には見せられんな。
いやいや、あのカリーヌ隊長には見せられない。
「そうですね、さすがに無様すぎます。」
「・・・カリーヌ隊長、いかがしましたか?」
「いえ、古巣が見えたので見に来たのですが、規律がゆるんでいるのではないですか?」
「いいえ、これはいわば楽園警護任務。規律が際立てば逆に威嚇になりますよ」
「ふん、あなたは昔からそういう言い逃れが上手でしたね」
不機嫌そうに鼻を鳴らすのはいつもの癖。
こんな魔神と暮らしていたというのだから、我が息子もたいしたものだと思う。
「で、どうなのですか?」
「どう、とは?」
「フレデリカです。あの子の行いは大きすぎて読みきれません。」
「全てを読む必要は無いかと思いますが?」
「・・・ある程度読めていないと、被害が大きすぎます。・・・主に精神の。」
「ああ、あの頃の話ですね?」
「・・・話したのはあなたですか?」
うんと言えば殺される、そう判断できる気配があった。
「いいえ、あやつ独自の情報網、らしいですが?」
「偽りは寿命を縮めますよ?」
偽りなどいうはずが無い。私とて命が惜しい。
「まぁ、いいでしょう」
深いため息と共に視線を泳がすカリーヌ隊長は、一点に視線を止めた。
「見なさい、貴方の息子を。」
「・・・うっわぁ・・・。」
なんと、我が息子、エルフを二人も連れてる。
「最近、一般に出版されていないフレデリカの書物の中に、エルフを良き者として捉えるものが多いのは、この布石でしたね」
「流石に私も知りませんでしたぞ?」
「解っています。あれはフレデリカの暴走です。」
しかし、と言葉を止めるカリーヌ隊長。
「あの暴走は力になるでしょう」
「国も孵す勢いですがね」
はっきりいおう、いま、視界の中で、異端審問官とエルフがであった。
そして、何か体を震わせた後、大いに興奮して異端審問官はエルフに手を差出し・・・・
「あ、あ、あ、あきゅしゅしてください!!!」
カミカミで握手を求め、そして満足げに離れていった。
・・・おいおい、エルフだぞエルフゥ!!
あ、今度は某王族母子。
・・・娘は目を輝かせてエルフに抱きついて、母親はそれを嬉しそうに見ていた。
うむ、おかしいな、私の常識がおかしいのか?
「これがフレデリカの「物語空間」の力です」
こえー、我が息子、こえー。
隣国王族親娘だのまで大喜びで抱きしめてゆくのは、本当に信じられなかった。
更に信じられなかったのは、そのエルフが我が別邸に宿泊する事になったことだ。
息子よ、少しは父に説明してくれ。
お帰りになった父上に、ミーとシーを紹介したら喜ばれたので、レナとテファを紹介したら更に喜ばれたのです。
調子に乗って二人のフェイスチェンジを解除したら、喜びのまま気絶したのです。
・・・流石に不味かったですか?
気絶から復帰した父上に詳しく説明したところ、何とか理解してもらったのですが、説明中に戻ってきたジョセやんとイザベラ様は、エルフの二人を見ることができてご満悦なのです。
作品で言うなら「レジェンドオブロードス」が大好きのイザベラ姫は生エルフに感動してるし、エロいオッサンであるジョセやんはバスト革命に感動しているのです。
親子揃って、実に欲望が先立つ存在なのです。
イザベラ様の侍女たちも物語り好きの影響かエルフに忌避感が無く、わりと普通に会話しているのが凄いのです。
「始めまして、リカちゃんの友達の、レナです。エルフしてます」
「あ、あ、ああ、あの、わたしは、その、ハーフエルフのティファニアです。」
かわいいいーーーー、と接客間が大騒ぎなのです。
とりあえず、雛見沢組で頭をつき合わせる事が先決なのですが、ティファニアの血統も明らかにしないといけないのです。
「ジョセやん、父上、先日ボクがアルビオン王家から受けた報酬を知ってるですか?」
ゆっくりと首を横に振る二人に、ボクはささやく。
モード家とサウスゴータ家の復興、と。
目を見張るジョセやんと父上。
ティファニアがそのモード家の御落胤であり、サウスゴータの姫も存命である事が僕から伝わると、今までとは違う視線で射抜かれます。
「フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ。ソナタは、何を求めておる」
「楽しい世界ですよ」
「我が息子、お前は何をしたい」
「この「世界」全員で手に手を取った生活がしたいのです」
それは夢想だ、それは妄想だ、それは無駄だ、それは無茶だ。
それは・・・・
「「無謀だ」」
二人の大人に胸を張るボクなのです。
「千里の道も一歩から。歩み続ければ、いつかデブ猫でもモテモテなのです」
ジョセやんは、まだデブ猫がイザベラ様を落とす確率のほうが高いというし、父上は、まだエレ姉さまがボク以外と成婚するほうが高確率とかいうのです。
ふっふっふ、デブ猫はまぁいいですが、エレ姉さまは結構確率高いのですよ?
まぁ、リカちゃまの目的といっても、それは長期未来的な目的であって、短期未来のものではありません。
現状では製紙革命が第一目標であり、活版印刷による印刷出版革命が第二目標だといっていました。
とはいえハルケギニアの中だけで革命を充満させても、それは狭い範囲の経済循環にすぎませんから、やはりエルフも交易の中に入れるべきでしょう。
くわえて、経済活性化に伴うように、消費の欲求も満たさざる得なくなります。
そうなれば何時までも物語産業では済まないでしょう。
「そうなのです、娯楽産業の次こそは、「旅」なのですよ」
そう、人の移動と来訪を、平民レベルまで可能なものにする。
これが娯楽産業で求める、この世代の最大目標でしょう。
収入面はさておいて、治安の面だけでも安全が保証されなければ誰も旅などしない。
今はまだ、貴族の旅だって命がけなんですから。
それに領主が農民の流出を嫌うので、そんな娯楽は認めないでしょうし、ね。
まぁ、そこが認められるようになるには数十年単位の意識改革が必要になるでしょう。
それの下地を「物語」で整える。
実に遠大な、腹黒い戦略ですね。
「人聞きの悪いことなのですよ、シー。この戦略目標だって、後付けの目標なのです。こんな事を初めから考えているわけがないのですよ」
「そういいながら、リカちゃん。割と昔から考えてたでしょ?」
お姉はニヤニヤしながら目録を引っ張り出します。
それは出版された本のタイトル。
そしてその内容は、自分の町を中心にした話から、徐々に各地を歩くタイプが増えつつあった。
こんな分布で、そんな方針を読みとるお姉もお姉ですがね。
そんなこんなな話をしている私たちを、もう一人のフレデリカ様、キュルケ様がため息でみていた。
「本当にあなた達、フレデリカと話が合うのね」
そういう触れ込みで話を持っていったのは事実ですが、まぁ信用されていなくて当然ですね。
なにしろ私たちの両親は、ご近所様に有名な「詐欺師」「山師」ですから。
娘と言うだけで信用できるものではないのですが、なぜかキュルケ様は私たちを信用してくれました。
なぜでしょう?
「私だって見る目はあるつもりよ?」
「では、お眼鏡にかなった上で、間違いではなかったという事ですね?」
「ええ、自分を誉めたいところね」
ふふふ、と笑う私たちでした。
あー、信じられない話だが、あの蛮族、フレデリカといったか? あれは、なんと、私たちと同じ力が使える。
それも、この土地であれば、エルフの我々を遙かに超える力を振るえるのだ。
精霊達がそれを明確に教えてくれた。
さらに、精霊を統括するという存在も示され、その存在と契約をしているというのだ。 ・・・はっきり言おう、信じられない。
が、その信頼無くば精霊に力を借りることなどできない。
ゆえに、その信頼は絶大だ。
が、心の底で思うぐらいの自由は許してほしい。
精霊よ、君たちの言葉を疑うことはない。
しかし、今までの常識にすがりたいのは弱い存在たる私の定めなのだから。
実は父上、屋敷に帰ったときには二人のエルフの存在を知っていましたが、流石に自分の家にいるとか、ハーフのほうがモード公の系譜だとか言う話には驚いている、という流れです。
周辺もまさかエルフとは思っていなかったので驚いたけど、「フレデリカだし」で納得の流れ。
まぁ、そういうことですw
※今回の元ネタ
更新なし
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