第三十五話 「再会の種」が生まれて
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・・・とうとう出ます、一部の人たち。
期待していた人たちではないでしょうけど、それでも出ます。
キセキの欠片が、こうやって少しずつ集まる、そんな展開で行きます。
第三十五話 「再会の種」が生まれて
それを知ったのが偶然だった。
家の書庫なんか興味なかったし、礼儀だの何だのと詰め込み教育も泣けた。
妹は要領よく立ってたけど、私だって負けてない。
評判は別にして成績は悪くないんだ。
ま、貴族社会なんてところは評判が一番なんだけどね。
んで、そんな中で妹が妙なものを見つけてきた。
「おねぇ! これこれ!!」
差し出されたのは「ツエルプストーとヴァリエール物語」。
そぞろ恋愛もんかよ、と鼻で笑う私に読み聞かせた。
「おお、ロミオ、ロミオ、あなたはなぜヴァリエールなの・・・・」
「にゃ、にゃにぃーーー!?」
家名は違えどもそれは子供向けっぽいハムレット。
原作を読んでるからわかる。
で、さらに調べれみると、でるわでるわ、その物語とやら。
あの、向こうの物語が、結構アレンジされて面白くかかれているのだ。
これは二次創作とか同人ってレベルでもハイレベルといわれるところだろう。
「おねぇ、作者をみて驚いてください。」
作者、フレデリカ=ベルンカステル=リステナーデ・・・。
リステナーデといえば、水のトリステインの陰王家、(ト) リステ (イン)のナーデという真実の名前を隠されつつも、王家に連なる貴族ならば知っている隠れた有名どころだ。
公爵家のような表だった権力は持っていないが血統保持のために厚遇されている家でもある。
いわゆる「ブラッドホルダー」というやつだね。
「って、おねぇ! そこじゃないそこじゃない!!」
指さされて目をむく。
「ふれでりか、フレデリカ?」
「フレデ=リカ!」
「・・・フルデ=リカ!?」
瞬間私たちは動き始めた。
その容姿、言動、評判、様々なものを集めてその結果に驚いた。
それは間違いなく「古手梨花」その人と瓜二つだった。
「こりゃ、私らみたいに、ひょっとするかね?」
「ひょっとするに決まってるでしょ、おねぇ。」
スジャーラ=アリステレス=ド=オニキスは私に向かってほほえむ。
私、ミディリアム=オーファニア=ド=オニキスもほほえむ。
この世界にきて唯一の繋がりだと思っていた妹と私。
次も双子がいいね、と誓いあった私たち姉妹は、前世の繋がりを見つけた瞬間だった。
さすがにゲルマニアから何の理由もなく国境越えはできなかった。
少し前なら、ヴァリエールの家に修行できてたそうで、その際に会うこともできたかもしれないけど、さすがにそのころは知らなかったので無理だ。
では、どうしよう、というところで、調べると、今、リカちゃんはトリステインの魔法学校に行っているそうだ。
留学、とも考えたけど、さすがに貧乏貴族にゃ荷が重い。
国境越えで魔法学校は難しいのさ。
貴族といっても娘しかいないこの家に、嫁に出す以外の政策はない。
ともなれば、国外に留学など出さず、閣下と呼ばれる方々に妾に出した方が有意義だともいえる。
が、希望がないわけではない。
あのトリステイン魔法学校でオープンキャンパスをするというのだ。
抽選率はバカみたいだけど、一般読者にもそのチャンスがあるという。
貧乏貴族もその枠にかけるしかない。
というか、もう一人のフレデリカ様こと、キュルケ様の口利きを期待したところ、わりと快く引き受けてくれた。
「おねぇ、これで・・・。」
「うん、あのときの話を聞けるかも、ね。」
あのとき、まるで時が止まったかの様な瞬間、ケイちゃんの目の前で破裂した弾丸。
あの弾丸の白さに目を奪われた次の瞬間、私と妹はこの世界にいた。
この、魔法と暴力が政治を行う世界に。
妹と私は、双子だけど従姉妹として育てられた。
双子は不幸の元ということらしい。
とはいえ、前の人生も含めれば随分と長いこと双子をしているので、すぐにわかった。
母親も「引かれあうものなのね」とか陰でささやいていたりする。
妹は風のライン、私は火のライン。
わりと優秀だと思っていたつもりだけど、リカちゃんは全要素スクエアだっていう。
なにそのチート。
ありえないんだけど。
そう思っていた私たちだけど、その訓練を聞いて真っ青になった。
あの、山向こうの局地型魔法兵器実験って、リカちゃんの訓練だったの!?
あんなの食らってれば、そりゃ強くもなるわ。
そんなわけで、前の知識もあわせて、いろいろと強くなろうとしているんだけど、まぁ、そう簡単にはいかないのでした。
時は流れて、どうにかチケットを入手。
そのチケットには猫を図案化した紋章があった。
それはトリステイン魔法学院内に存在するケットシー学生騎士団の紋章だった。
どうやらリカちゃんが主催している学生騎士団で、国内でも有数の実力を持っているという。
両親から「コネ」を作って来いと正面から言われていたりする。
私もお姉も、その気は十分だし、もしリカちゃまならば、色々と優遇してもらえること請け合いなんだけど、それ目当てというのが気に入らない。
「なにいってるの。りかちゃん一人で大変だろうから、おじさんたちが協力しようっていうだけだよ。」
おこぼれに預かるけどね、とニヤニヤ笑いのお姉。
ああ、まったく、幸せな人だなぁ。
ま、そんな人だから、こっちでも一緒にやっていけるんだけど。
「ほんじゃ、まぁ、いっちょいきますか?」
「そうですね、お姉」
幸せになるとか、そんなんじゃない。
あの時果たせなかった約束のために私たちはトリステインに向かう。
「りかちゃん、あんたを信じるよ」
「りかちゃま、あなたを護りますよ」
きました、来たのです、双子なのです!!
某青毛の双子は残念な結果(笑)になることが決定しているので、別の双子を召喚しました!! といっても、こちらも実に残念!!w
ちょっと無茶でしかたかね?
しかし、その斜め上を行く無茶が次に登場なのですよ!!
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