えー、なんか信じられない方向でみんなはっちゃけてます。
第三十四話「ジョセやん」が生まれて
「トリステインよ、私はやってきた!!」
仕事を溜めすぎて、夏休みの宿題を最後の三日間ほどでやり遂げた子供のようなテンションでガリア王ことジョセやんがやってきたのです。
各貴族の事前パーティーが終わった頃にやってきたのは、明らかに超お忍びモードなのは間違いなので、とりあえずこう呼んでおくのです。
「ジョセやん、遅かったのですね」
「うむ、リカちゃん。わしもあそこまで仕事があるとは思わなかったが、結構面白いことが解ったぞ。」
なんぞや? なのです。
「実はだな、我、虚無だったのだ」
「ぶっ」
驚いたな驚いたな? などとうれしそうに笑っていますが、あんたそれ、するっと言える事じゃないのですよ!?
「いやぁ、必要は発明の母というではないか? 時間がない時間がないと焦っておったらパニックになってな、気づいたら「加速」という魔法に出会っておったのだ。」
・・・どうパニックになったのですか?
あれ、詠唱も長いはずなのですよ?
「まぁ、そのおかげで常時加速で仕事をやっつけて、堂々トリステイン入りなのだよ」
なんという非常識。
ルイズも非常識なのですが、さすが狂王の資質をもつオヤジ。非常識さが斜め上なのです。
自ら「加速」とか名乗りそうなのが怖いのです。
・・・あ、もしかして・・・・。
「ジョセやん、もしかして、娘の部屋の「改造メイジ殺しの番号は9番」を読んだのですね?」
「な、な、なにをいってるんだね、リカちゃん。私が思春期真っ盛りの実の娘の部屋に入り浸って本棚を漁ったりしているわけがないじゃないか! フレデリカの秘蔵本の中にあった娘の日記を見つけて驚喜なんかしていないぞ!!」
ジョセやん、それは死亡フラグなのです。
なにしろ、ほら、ジョセやんの背後には・・・・
ジャーンジャーンジャーン!
「・・・おじさま、少しお話をお聞きしていいですか?」
「げぇっ、イザベラ・・・・・!」
「ふふふ、まるで三国英雄物語にでてくる雑魚の台詞のようですわよ、おじさま?」
「ふ、ふふふふ、そう凄むでないぞ、「星の降る夜は涙のよう」さん。」
瞬間、真っ赤になるイザベラ様。
さすがジョセやん、王器とはここまでか、なのです!!
うちの御花畑一族に見習ってほしいのです!!
でも、ジョセやん、死亡フラグが固まったのですよ?
まるで、虚無の加速のように一気に距離を積めたイザベラ様は、ここ数日の交流で手に入れた「カリン乱舞」を放ったのです。
どうやらイザベラ様と御師匠さまって気が合うみたいで、個人的交流が進んでいるのです。
僕には異国の軍閥同士の合併に見えてならないのですが・・・。
「ふー、ふー・・・・あれは友誼ある方からの借り物ですと、何度もOHANASHIしておりますよね?」
TA・KA・MA・CHI式ですね? 解ってます、のです。
ボロ雑巾にようになったジョセやんを荷物のように担いだイザベラ様は、うちの別邸の中へ消えていったのでした。
「ふーちゃんふーちゃん。」
入れ違いにでてきたのは母上。
オープンキャンパスに両親を招待したのですが、さすがに父上はマティー勤務なので身動きがとれなかったのです。
そんな訳で、母上を僕がエスコートするのです。
当初は僕が知らない女性をエスコートするという事に難色を示したルイズだったのですが、相手が母上と知ってあきらめたわよと笑ってくれたのです。
なぜなのですか? と聞いてみると、
「フレデリカの一番かわいい時期をラ・ヴァリエールが奪ってしまったんですもの。御義母様に少しでも返さないと。」
気になる発音が混ざっていたのですが、その心の優しさがルイズの特徴なのです。
いずれいつかは現れるであろうルイズの使い魔君も、その優しさを理解してほしいものだと思うのです。
そうすれば、ヴァリエール姉妹丼・地獄巡り風味が緩和するはずなのです!!
あと、トリステイン包囲網・銅貨一枚這い出る隙もない! はどうにか僕のセンスを理解して貰うしかないのが厳しいのです。
みんなのセンスは中世で立ち腐っているのですよ、まったく。
ああ、母上に思考を戻さないと。
「・・・ああいう親子関係もいいわね?」
「母上、泣いては殴り笑っては殴り喜んでは殴るという完全鋼鉄の肉体関係に、どこがそんな憧れる要素があるのですか?」
「本音で話せているもの。ふーちゃんとそういう関係にあれたのって、最近でしょ?」
「イザベラ様とジョセやんがああいう関係になったのも最近らしいのですよ?」
そうなの? とかわいく首を傾げる母上。
とても一児の母とは思えないのです。
・・・そういえば、もう一人ぐらい作って僕で楽しめなかった育児を楽しもうと思っているらしいという噂なのですが・・・。
確かめないのが華なのです。
もしそれが本当で、男子でも生まれれば、本当に僕はヴァリエールに喰われるのですから。
「あしたからのオープンキャンパスは、僕がエスコートするのですよ。」
「お願いね、ふーちゃん。」
きゅっと僕の腕を抱きしめる母上。
・・・僕も男の子です。
マザコンなのは仕方ないのですよ?
いや、メイクに力はいるわ、うん。
目標はリステナーデ男爵婦人へのお目通り。
本当ならフレデリカとツーショットというのも狙うべきなんだろうけど、さすがにずうっと戦闘態勢は維持できない。
だったら、瞬間的に自分の良さを高めて電撃作戦でいくしかない。
その結論は私たち三人の共通事項になっただけではなく学園女子の、いや、学院女子の共通作戦目標になった。
で、加えて、来賓の子女にもルール化させたところ、逆に燃え上がってしまった。
派手さは好まれないことが知られているので、かなり穏やかで落ち着いていて派手な感じに。
・・・カオスね、結構。
とりあえず、国賓招待している連中は姫様や関係者で案内するし、フレデリカの陰謀招待は私たちが案内することになっている。
で、ロマリア関係は枢機卿が相手をする算段になっているのでフレデリカの負担は最小限になること請け合い。
一応、招待券には「数少ないリステナーデ親子のふれあう場なので、できるだけ直接接触を御避けください」と書いておいたのが利いたのだと思う。
とはいえ、物語ファンにはフレデリカに直接あえる数少ない機会なので、抑えがどこまで効くのかがわからないけど。
「その辺は任せてくれたまえ」
胸を張る「猫の騎士団」。
この紳士共も人気の存在なので、そうそう安請け合いもできないはずなのに。
「わかってないね、ルイズ。僕らが注目を浴び、そして人員を分散すれば、それだけで団長の負担がれるって寸法さ!」
バカはバカのまま、いまいちね、ギーシュ。
「い、いま、何か非道こと考えなかったかい!?」
「いいえ、私はいつも通りよ。」
「ふぅ、それならいいのだけれど」
いつもどおりに評価してるわ、ギーシュ。
・・・ルイズがフレデリカ化してる・・・
うちのルイズは脳筋だったのに・・・・w
※今回の元ネタ
「トリステインよ、私はやってきた!!」 ・・・ 「ソロモンよ、私は帰ってきた!」 ・・・ アナベル=ガトー
改造メイジ殺しの番号は9番 ・・・ サイボーグ009 + 定吉7番「定吉七は丁稚の番号」
カリン乱舞 ・・・ 龍虎乱舞 ・・・ 龍虎の拳
OHANASHI ・・・ 高町式 ・・・ リリカルなのは
泣いては殴り笑っては殴り喜んでは殴るという完全鋼鉄の肉体関係 ・・・ PSゲーム「騒(奏)楽都市 OSAKA」内の台詞から、ちょっとアレンジ。
5/3 「ジョセやん」の名称統一