第二十八話「プリンセスミサイル」が生まれて
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あはははは、既に原作なんかブッチギリなのですよ~
その爽快感がたまらないのですよ~w
第二十八話「プリンセスミサイル」が生まれて
「プリンセスミサイル!」
突き刺さるように教室に飛び込んできたのは、トリステインの花、という事になっているアンリエッタ王女。
両腕をクロスさせて飛び込んできたその姿勢で窓を割り、宙で一回転して見事に直立した。
お父様の部隊でもできないであろう突入で、あまりの見事さに非常識さを越えた敬意が生まれた。
万雷の拍手の中、無表情に周囲を見回すアンリエッタ王女であったが、その視界の中に目当ての人物がいないことを知ると叫びをあげた。
「フレデリカはどこーーーー!!!!!」
教室の残りの窓が衝撃波で吹っ飛んだ。
さすが水のトライアングル、行き着くところまで行き着いてるらしい。
確かに土のメイジであるグランモンでも、突き抜けたメイジは何人かいたというが、今の姫様に並ぶものではあるまいとは思う。
「プリンセスミサイル!」
それに気づいたのは、王宮のグリフォンに乗った御花畑が、教室に強制襲撃をかけた瞬間だったのです。
キュルケとタバサも同時に気づいたらしく、「あ」とか言う言葉が同時に漏れていましたのです。
何事か、と思ったのですが、次の叫びで用件が知れたのでした。
「フレデリカはどこーーーーーー!!!」
衝撃波を含む叫びは、教室の窓を吹っ飛ばす程のものだったのです。
恐ろしい話です。
「ね、ねぇ、あんたんとこのお姫様、なに怒ってるの?」
「さぁ? 勘所が悪いだけなのではないのですか?」
「いやぁ、さすがにそれだけで「プリンセスミサイル」はないでしょ?」
鋭いキュルケの突っ込みですが、今度ばかりはボクもわからないのですよ?
「ところで、フレデリカ。このままで大丈夫?」
「ん? 姫様は水属性。聞こえないですよ」
と、そのときは思っていたのですよ。
「・・・フレデリカのにおいがする・・・・。」
げぇ、におい!? においなのですかぁ!?
「フレデリカのにおいが・・・する・・・・!」
すごい勢いで宙に身を踊らせた姫は、フライもなにも使わずに二階から飛び降りて目の前に立ったのです。
「・・・ふふふ、みつけたわ・・・ふれでりか・・・」
ぎらぎらと光る瞳が怖いのですが、まるで鳳のように広げられた両腕も怖すぎなのです・・・。
「ふれでりかぁぁぁぁ!!!」
断罪をするかのように降りおろされた両腕は、なぜかボクをがっしり抱きしめただけでした。
「ああ、フレデリカ、私の親友、さすがは「物語」!!」
え?え? 何の話なのですか?
「これ、これよ!! さすがフレデリカ!! まるで見ていたかのような臨場感で描かれた「アルビオンの休日」ですよ!!」
あー、・・・あれ?
一級秘匿で王立少女歌劇団に送っていたはずですが・・・。
この「アルビオンの休日」は、あの「平民デート」を題材にして作った脚本で、結婚式とかのサプライズ宴目用に書いたのですが・・・・。
なんで御花畑の手に?
「ああ、すばらしい贈り物だわ、すばらしい題材だわ、すばらしい台本だわ!! こんな素晴らしいものが一回の上演で済むなんてもったいないわよね、もったいないわよねぇ!?」
ぎゃぴー、さすがに暴走しまくりなのです。
「そ、こ、で! フレデリカ。これを少女歌劇団の宴目に加えるわ、そう、定期公演よ!!」
・・・うっわ、定期的に見せられるですか。
というか、何で恥ずかしくないのですか?
「はぁ・・・・、わたくしと王子の愛の逢瀬で皆様をときめかせることができるぅ・・・・。ゆめのようですぅ・・・・。」
こっちは悪夢のようです。
書くんじゃなかった・・・。
「さぁ、わたくしの親友! ともに歩みましょう!!」
衛生兵、衛生兵~~~!
姫がご乱心なのですよ~~~~!
「あー、姫様が乱心してるのはいつものことだし。」
ルイズ、怖い子、なのです。
読めば読むほど胸焼けがする「アルビオンの休日」。
さすがのキュルケも読み切って倒れた。
が、男子寮では結構評判がいい。
やっぱり市井に隠れた貴人たちのデートという舞台が燃えるというものらしい。
貴人と言うよりも「奇人」なんだとおもうけど。
従姉妹は、お姉さまは「大爆笑させてもらったよ」という感想が帰ってきたけど、女子にはキツい内容だと思う。
これを元にどれだけ演出できるかというのが、この宴目の鍵になるだろうとフレデリカも言っていた。
私も、そんなに少女歌劇を見ているわけではないけれど、それでも難しいだろうと思う。
何しろ、主役のカップル以外の出演者を必要としない物語だから。
周囲からの声や行動を、どう受け取るかというのは内心の問題だから、どんなに主人公たちが思っていても、それを台詞にしてしまえば陳腐になってしまう。
うん、私には難しくて思いつかない。
さすがに公演までには解決しているだろうから、その時を楽しみにしようと思う私だった。
えー、とりあえず、アンリエッタとともに王宮に軟禁されたのです。
まぁ、なんというか、王妃にはわるいのですが、ボクの責任ではないのですよ?
あくまで、お宅の姫が御花畑なのは、お宅の教育方針が原因なのですから。
「・・・その曲がった性根に、ガンガン燃料ぶち込んでいるのは貴方の気がしますが? フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ?」
「御師匠様、それは誤解なのです。王命に逆らえない貴族の悲哀なのですよ」
なぜか現れたラ・ヴァリエール夫人こと御師匠様が、凄い形相でボクをにらんでいます。
「こ・ん・な、台本を「物語」のフレデリカが書き上げたとなれば、どうなるかぐらいわかるでしょう!」
「ちゃんと一級秘匿台本として指定したのですよ?」
「・・・少女歌劇団の中身で知らないことなど、アンリエッタ王女にはないのですよ?」
「わちゃー、なのです。サプライズの意味も分からない凡婦どもめ、なのです。」
とはいえ、バレたボクに何の用が?
で、そんなボクの目の前に、十数通の書状が。
「・・・・御師匠様、これは?」
「様々な貴人のプロフィールや出会い、そして今までの道のりを書面化したものです。」
「・・・なぜこんなものを?」
「出会いや恋愛のワンシーンの劇場化など、誰もがうらやむ事柄を、「我こそは貴人」という人間が、求めないはずもないでしょう!?」
「・・・もしかして・・・・。」
「これは、外交上最低限こなさなければならないものです。」
「・・・・そ、それはひどいのですよ、御師匠様!」
「自らの蒔いた種と知りなさい」
うひーーーーー!!
あんなドロドロにアマアマなものをこんな数書かねばならないのですかぁ!
信じられないのですよーーーーー!!!
「・・・フレデリカ、もちろん、「カリン」の新作も期待していますよ?」
・・・・誰か助けてほしいのです。
あかさかぁぁぁ・・・・・・。
えーっと、プリンセスミサイルは、なんだか沸いてきましたw
※今回の元ネタ
アルビオンの休日 ・・・ ローマの休日
「カリン」の新作 ・・・ リボンの騎士~烈風姫カリン
イメージ的には「ふしゅ~~~~」ってかんじです。
すでにトリステインの花って有名無実になりつつあるアンリエッタなのでしたw
ところで、カリンの新作をちゃっかり要求するお師匠様はかわいいかもしれませんw
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