第二十一話「死線」が生まれて
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筆者の勘違いで、きゅっと捻られる事になってしまった猫の騎士団。
生きててくださいw
第二十一話「死線」が生まれて
さぁ、団員全員真っ青の模擬戦が始まるのですよ~
明るく言ってみたけれど、全く盛り上がらないケットシー学生騎士団の諸兄。
まぁ、仕方ないとは思うのですよ。
現代の生きる伝説にしてトリステイン最強最凶のメイジ。
もう、このチートなんとかして!! という最高峰。
王宮でもこの人が出てくるとジャンピング土下座で迎えるという唯我独尊状態。
そんな伝説と、たかが学生メイジのサークルが模擬戦って、どんな無理ゲー?
とかなんとか。
そんな今なで始まる前に、いきなり御師匠様が偏在を使用。
周囲の地形を変えるようなカッタートルネードを連発します。
舞い上がる土、芝、石、いろいろ。
そう、いろいろ。
「ケットシー学生騎士団のみなさん。これより行われる模擬戦は「試合」ではなく「死合」です。」
にやりとわらう偏在と本人の御師匠様。
「なー、これって生き残ったら勲章ものだよな?」
「もちろんなのです。生き残ったら、再び肩を組み、妖精の元に旅立つのです!!」
「「「「「おおおおおお!!!!!」」」」」
気合いは十分、「こうか は ばつぐんだ」なのです。
「フレデリカ、あなたは未だ罠に頼りすぎですね。」
魔法の実力が十分に高まったでしょう? と小首をかしげる御師匠様。
「当然なのです。実力差が何桁もあるような相手と対戦するのに、策を巡らせないのは「バカ」か「官僚」だけなのです。」
「よい答えですが、あなたたちの仕掛けた稚拙な罠は、全て中に巻き上げましたよ?」
「御師匠様、当然全て気づいてくれると信じていました。」
「・・・なんですって?」
ちょっとだけ表情を変える御師匠様。
「マリコルヌ!」「おう!!」
巻き上げられた罠と、罠周辺で練金されていた火薬と、仕掛けられていた「野火」が、一気に反応するのです!!
瞬間、カッタートルネードは、全く意図されない炎の柱となり、制御不能の烈風を引き起こしたのです。
「くぅ、やりましたね、フレデリカ!!」
「やったのは、マリコルヌなのデス」
「「「「「そうでーす」」」」」
「はかったな、貴様等、計ったな!!」
ふぁっふぁっふぁ~、これでとどめが刺せるわけではないので、一気に行くのですよ!!
「土を基本に練金で吹っ飛ばすのです!」
「「「「おお!!」」」
「御師匠様に体勢を立て直されたら、勝ち目はないですよ!!」
「「「「おお!!」」」」
「ここが我らの死線なのです、生きて妖精境へいくのですよ!!」
「「「「「おおおおおお!!!!」」」」」
とりあえず、誰も死んでない。
奇跡に近い。
お母様が半分以上本気で切れて暴れたのに、全く死者がいなかった。
これだけで「ケットシー学生騎士団」の団結力が知れる。
最後まで地面に立っていたのはフレデリカだけだったけど、お母様も余裕なく汗を流していらしたぐらいだった。
「フレデリカ、よくぞここまで「調教」しましたね」
「・・・御師匠様、「訓練」なのです」
「どちらも同じでしょ? 厳しくつらく当たりつつも飴を準備する・・・」
「心構えが違うのですよ、御師匠様」
なんていう心温まる会話があったんだけど、見学にきていた学院の生徒は絶句していた。
「ね、ねぇ、ルイズ。きいていいかしら?」
「なに? キュルケ」
「これが、その、毎日だったの?」
「・・・? ああ、これは手加減版よ? だって、お母様、半分ぐらいしか本気じゃないし」
「・・・え?」
「最初のカッタートルネード、騎士団に打たなかったし」
「・・・・」
「全員生きてるじゃない? 魔力切れで倒れてるのに、追い打ちもないし。」
「・・・・」
そう、追い打ちはないし、トドメもない。
じつに健康的な「試合」だと思う。
「ルイズ、その感覚、忘れた方がいいわよ?」
「え?」
何かおかしいこと言ったかしら?
私は小首をひねった。
風の魔法を使うものとして、これほどまでに実力が隔絶していると何もする気が起きないものだ。
しかし、彼らは、「ケットシー学生騎士団」はそのフザケた格好は別にして「真」なる貴族のあり方を示してくれた。
けして背を向けず、倒れるときは前のめりに。
己の守るものの為に、仲間のために、一歩でも全員が前に出るために協力しあうその姿は、最凶と言われたメイジに迫るものがあったのだ。
いまだ学生である彼らが。
正直に言おう、この試合をバカにしていた。
ドットやラインのメイジがスクエアに勝てるものか、と。
しかし彼らはやり抜いた。
隠された武器、隠された罠とおよそ貴族らしくはない行為だったが、彼の言葉が胸を打つ。
~「当然なのです。実力差が何桁もあるような相手と対戦するのに、策を巡らせないのは「バカ」か「官僚」だけなのです。」~
貴族としては頷けないが、軍人としての自分はうなずいてしまった。
確かにその通りなのだ。
ゆえに、その後の戦いも、数に任せた攻撃も、背後からの攻撃も、死角からの攻撃も、すべて弱者の努力の範囲といえたものばかりだった。
そのことがわかってか、女子生徒たちも固唾をのんで見守り、力つきた団員たちを魔法で引き寄せて介抱した。
それは奇跡の光景だったし、それは未来の可能性もあっただろう。
私たち教師では教えることの出来に光景が、彼らによって開かれ、教えられていくのだ。
とはいえ・・・・
風サイコー
えー、十分捻れましたでしょうか?
きゅっっとなってます。多分w
※今回の元ネタ
更新なし
(2,205文字)