第十九話「最強チート魔法軍団」が生まれて
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科学的なアプローチは、なにも自分の利益のためだけとはかぎりません。
自衛のためでもあるのですよ?
第十九話「最強チート魔法軍団」が生まれて
フレデリカの知識にはいつも驚かされる。
フレデリカの言った意味、それは「地面が球体だから」という訳と理論、そして翌日に行ったフライによる実験とその結果。
私たちが信じざるえなかった。
さらに、その知識が一端であり、その先にある「物事の理を研究する」学問の話は、実に興味深かった。
専門的すぎて解らないことが多かったけど、それでも興味深かった。
今度、初歩から教えて欲しいと願うと、フレデリカは嬉しそうに微笑んでくれた。
「・・・ねぇ、フレデリカ。こういう知識ってどこで覚えるのよ?」
「実家の隠し書庫ですよ」
「・・・もしかして・・・」
「代々の当主が匿った異端審問された者の執筆した異端知識の集大成なのです♪」
「やっぱりぃ!」
思わず頭を抱えたルイズ。
まぁ気持ちは分かる。
しかし、ばれなければいい。
それだけ。
解らないように応用して、ばれないようにオリジナルにしてしまえばいいだけなのだから。
その後現れた山賊たちに実験と称していろんな魔法を見せてもらった。
風のラインと火のドットを組み合わせた「粉塵爆発」。
錬金であらかじめ作った燃えやすい粉を一定空間に浮遊させて、火種を放り込む。その瞬間、空気と混ざった燃えやすい粉は一気に燃える。
いや、これは「爆発」だった。
密室で使えば風のドットと火のドットで再現可能だという。
火と風を適正に持つキュルケは、次々と山賊を爆破してゆき、「微熱」ならぬ「爆破」のキュルケとなりそうだった。
同じく、土のラインになっているギーシュは、水と土の魔法により「土石流」というおそろしい魔法を教えられ、あまりの威力に膝から落ちた。これに火を加えると「破砕流」なのですよーとか語るフレデリカの神経を一時疑う。
アランやレイナールも同様に恐ろしい「物理」魔法を教わって、感動と言うよりも恐ろしさを覚えたようだ。
というか、
「コレだけできて、カリーヌ様に勝てないの?」
「無理なのです」
「無駄ね」
その恐ろしさを感じた私たちだった。
とりあえず、モンモランシーの実家によって、荷物の大半を寄付したところ、モンモランシーに泣いて感動された。
秘薬の調合も「物理」的な指導をしたため「師匠」呼ばわりされているのです。
ご両親からも感謝されましたが、山賊盗賊がこぞって領内から消えたことには疑問を持っているようなのです。
まぁ知らぬが仏と言うことなのです。
ともあれ、荷馬車一台分の分け前を受けたモンモランシーは貰いすぎなので働いて差分を埋めると言い出して、ガリアへも同行することになったのです。
義理堅いというか、何というか。
まぁ、絶対に返さないからと言う意思表示でもあると思うのですが。
「そんなことないわよ! もうちょっと友人を信じなさいよ!」
「うん、もちろん信じているのですよ? にぱ~」
「くそぉ、あたしの扱いは「オチ」なのね!!」
「いいえ、実に有能なつっこみでもありますよ?」
「あーん、ギーシュ~、フレデリカがいじめるぅ~」
「団長、そろそろ勘弁してくれ」
「む~、もう一歩楽しみたかったのです」
とはいえ、あんまりいじってもテンプレ化してしまうので、その辺のさじ加減が難しいのです。
そんな娯楽を楽しんでいる間も、キュルケによる「爆破」とルイズによる「狙撃」、そしてレイナールによる「昏倒」(急激に気圧を半分程度にする)が続々決まり、バカみたいに山賊が消えてゆくのです。
もちろん、賞金稼ぎもガンガン消えているのですが、この調子で倒しきることには、みんなレベルあがってるですよね?
ほら、スライムだって倒せば経験値あがるのですよ。
「フレデリカ~、結構緊急事態。」
キュルケ曰く、山賊のアジトに平民女性が多数。
もちろん、うちの「男前」集団は、助ける気満々。
タバサですら鼻息が荒い。
「とりあえず、バカは騙して外におびき出すのです。」
その上で戦力分断し、人質にしようと女を引っ張りだしたところで山賊の狙撃開始。
わはは、跳ねろ跳ねろ跳ねろ、的にやっちまう作戦でした。
が、どうやら賞金首には似顔絵がついていたらしく、おとり役のキュルケを見た途端、山賊が叫びながら逃げていったのでした。
半泣きで「魔女が、魔女がきたぁ~」と叫びながら逃げる姿は見物なのです。
そのうえ、何となくやさぐれたキュルケなのでした。
山賊のアジトにいた女性たちは、汚される前であった。
それだけでも救いだろう。
そして彼女たちはガリア側の平民だったので、僕たちの旅に加えて移送することにした。
フクロウによって既にこの事が王宮に知らされており、タバサの実家につく頃には官吏が引継にくるだろうということだった。
しかし、フレデリカの魔法知識は恐ろしかった。
まさかドットの組み合わせであれだけの魔法が使えるようになるとは思わなかった。
流石に「昏倒」があれば、いかにカリン様でも、と聞いてみたが、沈痛な面もちで首を振るフレデリカとルイズ。
つまり、僕たちの常識を越えた存在だということらしい。
それでも、最近戦えば負けない程度になったというのだから、フレデリカも規格外なんだろう。
が、そんな実力と外見は結びつかないらしく、救われた平民女性たちはフレデリカの少女っぽい外見にメロメロになっていた。
加え、「物語」のフレデリカだと知って、さらに熱狂。
まるで自分が物語の中にいるような気分を味わっているだろう。
というか、平民ってフレデリカのことを「リカさま」って呼ぶけど何でだろう?
タバサの実家、というかシャルロットの実家に到着すると、すでに役人たちが到着していて、各の村へ送ってくれることになっていたのです。
さすがに有能な姫は違うのです。
うちの御花畑姫に見習わせたいものです。
タバサの母上殿の病状はずいぶんと良くなっているようなのですが、長いこと心神喪失状態だったので、記憶がいまいちつながらない様なのです。
その話を聞いて、まぁ、招待の理由の一端は理解したのです。
もちろん、意地悪するつもりはないので、母上様の治療を申し出ると、執事の人とタバサは半泣きで頭を下げました。
進んでがんばるけど、彼女の記憶を一通りかいま見ることになるので、それは許可してほしいと申し出ると、かまわない、と強くタバサは頷くのでした。
ならば、やるしかないのです。
こっちとら、四大魔法をきわめてさらなるチートに目覚めたのですから!!
目の前の光景をどう表現していいのかがわからなかった。
初め、フレデリカは「偏在」によって8人に分かれた。
その段階ですでに風のスクエアの常識を覆していた。
自分の母親も風のスクエアだが、偏在を八人も出すところを見たことはない。
ふつうは三人、多くとも四人だ。
続いて、偏在の四人が詠唱を始める。
それは「火」「風」「水」「土」の呪文。
その詠唱が続く中で、残りの本人を含めた四人も腕を振るう。
こりちらは何故か詠唱無しなのに「火」「風」「水」「土」の力が渦巻いている。
「「「「古の四の四の力と精霊よ、わが望みのままに力を揮い、そして「癒せ」!!」」」」
八人にフレデリカの叫びと共に、視界は光で埋め尽くされていた。
それは輝かしいまでの明るく、希望に満ちた光だった。
私のふたつ名を「微熱」から「爆破」に変えたようなヤツだもの。
すでにフレデリカのすることは理解できるとは思っていない。
フレデリカ風にいうなら「チート(ズル)」なのだから。
もちろん、フレデリカが自嘲するような話ではなくて、私たちの感じている「チート(ズル)」とはフレデリカの努力の内容だ。
なんというか、ヴァリエールも無茶苦茶だ。
幼い子供を言葉巧みに実家から拐かし、ほぼ即死するかのような特訓を毎日のように仕掛けていたというのだから。
が、我らがフレデリカは試練を越えた。
そしてその努力の結果が目の前にある光景だ。
自らの意識と記憶を同調させたタバサ、シャルロットの母親は、意志のある表情と視線で娘を抱きしめていた。
さすがのフレデリカも精神力の大半を使ったらしく、部屋の端で眠っているが、従者たちが甲斐甲斐しく世話をしている。
それはまるで、勇者を迎える人々のようであり、姫を迎える従者のようであり。
とりあえず、感動の光景のはじっこで起きている事実であっても、けっして邪魔ではない光景だった。
しばらくの感動の後、目を覚ましたフレデリカに気づいた「タバサ」はボロボロに泣きぬれた顔で抱きつき、そして感謝し続けている。
「いいのですよ、友達は助けたいと思うのがふつうなのです」
「・・・だったら、私はあなたの助けになる。あなたを守る盾となり、あなたを助ける矛になる」
「・・・一歩も引く気はないみたいなのですね。」
苦笑いと共にフレデリカはタバサを抱きしめた。
「もぉ、フレデリカは甘いなぁ。」
そう言いながらルイズもタバサを抱きしめる。
ここで引いては女の名折れ。
私も全員を抱きしめる。
この旅で噛みしめたわ。
女の友情、最高。
「とりあえず、ボクは男なのですよ?」
ああ、女の友情ってさいこ~~
これだけ人間の特性に訴える様な攻撃も通らない烈風。
どんだけ最強なんだと身震いの筆者です。
多分、マスターアジアと打ち合える人材だと考えると納得なのです。
・・・つまり、うちのリカちゃまは、ドモン?
※今回の元ネタ
マスターアジア・ドモン ・・・ 機動武闘伝G○ンダム
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