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第十七話「おともだち」が生まれ

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前話に引き続き宴会中~



第十七話「おともだち」が生まれ

 打ち上げはいつの間にかいろんな人が混じりあい、大騒ぎになっていった。
 マンティコア隊隊長が現れたとき、もうお開きかと思ったら、

「我が子フレデリカのおかげで、交代で参加できるようになりましたので」

 と、結構柔らかい対応に驚いた。
 トリステインといえば、伝統と格式と頭の固さが抜けない国家というイメージが抜けなかったけど、やっぱり最近はスゴく緩くていい感じだ。
 ケルマニアには負けるけど、トリステインも最近は良い国かもしれないと思っている。

「ほぉ、では、あなたが「あの」ツェルプストーのご息女ですか。」
「はい。フレデリカには幼い頃からよくしていただいています」
「いやいや、ヴァリエール領からカッタートルネードで叩き出されたフレデリカをよく助けてくれたと聞き及んでおりますよ?」
「それこそ当たり前のことですわ。彼、あう度にぼろ雑巾のようになって倒れてるんですもの。」

 そう、絶対に死んでると思わされるほどのけがをしているくせに、一晩たつとケロっとして帰ってゆくのだ。

「・・・その話、聞かせてもらって良いかい?」

 ガリアの第一王女は、タバサの話だと熱狂的なフレデリカファンなのだそうだ。
 こういう幼い頃の話を聞きたいのだろう。
 そんなわけで、私が知っているだけのフレデリカの修行をはなすと、第一王女は真っ青になった。

「なるほど、それが烈風カリンの虐待疑惑かい。」
「虐待なんて陰湿なものじゃないわ、あれ。」
「・・・じゃぁ何だっていうんだい?」
「地元じゃ『災害』って呼んでるわ」

 なにしろヴァリエール側の山だけで三つは消えてるんだから。

「・・・本当かい?」
「この国じゃ結構有名だけど、ゲルマニアじゃぁもっと有名よ。トリステインの魔法兵器の実験が行われてるって」

 そのじつは、一人の男の子への特訓だというのだから正気を疑った。
 まぁ、そのおかげか、驚異の大天才が生まれたけど。

「その、その特訓をすれば、誰でも開花するのかねぇ? 才能、とか。」
「お勧めしませんわ。才能か、死かなんて選択は王族に向きませんもの」
「・・・そりゃ、結構重い判断だね」
「才能ゼロといわれて、やさぐれていたルイズも、はじめは嫉妬したらしいですけど、フレデリカの特訓を間近でみて「才能がなくてよかった」と胸をなで下ろしたっていってましたもの。」
「・・・うわぁ、結構重すぎるじゃないか。」
「とはいえ、四系統全魔法を「スクエア」レベルで同期使用できるという時点で、フレデリカも十分異常なんですけどね。」
「そういえば、フレデリカの魔法の話は聞かないね?」
「一度、学園内で決闘したという噂を聞いたんですよ。」
「ほ~、で?」
「・・・学院裏の森の奥地、未だ回復しない空き地があるんです。」
「・・・どこの怪談だよ。」
「どんな魔法を使っても回復しない空き地。」
「・・・つまり、奴を怒らせるな、という話かい?」

 硬い笑顔でうなずく私。
 イザベラさまも、少しだけ青い顔でうなずいた。

「そんなに警戒しないでやってください、お嬢さん達」

 苦笑いの男性、マンティコア隊隊長は言う。

「我が子はあれで寂しがり屋で、その上で博愛主義なのですよ。自分の手の届く範囲の全員に笑っていてほしいっていう強欲さももっておりましてな。そこまでの状況になると、たぶん、仲の良いお友達の誰かを侮辱されたのでしょう。」

 いわれて思い出した。
 あれはたぶん、ルイズを公爵家の落ちこぼれ、出涸らしと呼びからかった生徒がいた後のことだったはずだ。
 つまり、そういうことなのだ。

「まぁ、あの子も男ですから。守りたい女性の一人や二人いてもいいのですがね。」
「それもそうだね。ところで男爵閣下。ガリアの爵位に興味ないかい?」
「実に直線的な勧誘ですな。お父上に絡め手を習うがよろしいでしょう」
「・・・ふふ、結構辛辣だね。でも嫌いじゃないよ」

 あ、大人の会話だ。
 こういう大人の会話に参加できないのが私の弱点だ。
 これからがんばろう、うん。











「ところでアン、なんでここにいるって判ったですか?」
「もちろん、愛よ。友人愛がピピッときたの」

 もちろん信じませんので、背後にいるであろう店長を指パッチンで呼び出すです。

「・・・ご用ですか、フレデリカ様」
「真実を」

 そういいながら、金貨を指ではじくと、優雅に礼をした店長はゆったりとした口調で語りますです。

「アンは週三で働きにきているので、店の子と情報がつながっておりますゆえ」

 おいおい、王女様。
 あんたなに考えてるんだよ!?
 思わずにらむと、頬を赤らめてそっぽを向くアン。
 仕方ないので肉体的な会話をしたところ、涙目で白状した。

「だって・・・。だって! ウエールズさまにプレゼントを贈りたいけど、国民の税金じゃいやだったの! 私が作ったお金で贈り物をしたかったの!!」

 その絶叫は、店の女の子全員受け入れられ、胴上げまで始まった。
 アンリエッタ様万歳、アンリエッタ様万歳の唱和は店の外まで響きわたる。

「この、バカ姫!! あんたが抜け出した後の仕事は誰がやってるの!? こっそり抜け出したアンタを誰が警護してるの!? そんな仕事の経費は誰が払ってるの!?」

 ビシビシとアンにチョップを決めるルイズ。
 とはいえ、マンティコア隊員とケットシー隊員がルイズを止める。

「気持ちは大切、心も大切! だけど、周りが見えてないんじゃ国が転ぶわ! もっと見て考えて!!」

 うるうると瞳を潤ませたアンが、ルイズに抱きつき、「ありがとう、いつもありがとう、本当の親友ルイズ大好き~」とか叫んでいるのを見て、各団員はがんがん乾杯です。

「姫様もえー」「うぉー、百合百合でジョッキ三杯いける!!」「つうか萌え尽きた・・・。」「ルイズ様、さすが! そこに痺れる憧れる!!」

 なんかやばい奴らが多いのです。











 今回の外交外遊は得る物が多すぎた。

 外交カードを得られるとかそういう問題は抜きさ。
 国家間や損得勘定抜きで、そういう思いを抜きにして友人と話す時間が出来た。
 正直に言えば、王族に生まれた瞬間からそんな物は縁がなかったし、フレデリカの本で読んだような人間関係は構築できないものとあきらめていた。
 が、ロッテが繋いでくれた縁は、私にあきらめていた時間を提供してくれた。
 気楽な関係、趣味の話、過去や未来の話、夢の話、妄想の話、もう、いろいろだ。
 王族である限り、心から自分を許せるともはいないけど、それは貴族でも平民でも一緒だと言うことを知ることが出来た。
 その関係の中で、あの時間を過ごせたのは暁光だったと言い切れる。
 私の常識、世界の常識、そして私の非常識、世界の非常識。
 話せば話すほど深くなるし、話せば話すほど広くなる。
 執務室の中だけでは理解できない世界という物が、この世界には大量にあるのだと感じさせられた。
 一国に行っただけでコレだけの情報が入るのだから、各国に巡ればどれだけの情報があるのだろう?
 これは一度腹を決める必要があるかもしれないね。



※今回の元ネタ
更新なし
 

(2,816文字)