第十六話「乾杯」が生まれて
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乾杯ときいて、ナニを思い出すかは世代によります。
わたしは・・・・
第十六話「乾杯」が生まれて
やり遂げたのです・・・。
パレードが始まる前は不満で一杯だった団員達は、パレードが終わった後にあの猫耳が一般にも売られていると聞いてさらに不満に思ったというのだから大笑いなのです。
まぁ、僕持ちで「魅惑の妖精亭」打ち上げを決定したら、不満なんか吹っ飛んだみたいなのですが。
「・・・でもな、この一体感は、俺達だけのものだよな!!」
「「「「「おおおおお!!!!」」」」」
もう何度目になるか解らない乾杯が響くのです。
みんな格好は「団員」のままなもので、店の女の子も大騒ぎ。
露店で買った猫耳や尻尾とは材質が違うので、さわりごごちに差があり、女の子達に大好評。
隊の紋章でもある「太めの猫が剣を掲げて飛び上がろうとしている図」に最もにているマリコルヌなど、男女かまわずチヤホヤされて、さぞヤニが下がっているかと思いきや、結構紳士的に振る舞っているのが驚きなのです。
小首をかしげたボクに、レイナール。
「ああ、あれか? あれは今まで夢にまで見た光景が現実になって、パニックになってるだけだな。」
レイナールの解説は、たぶん的を射ているのでしょう。 彼の背後にいつもはいる「淫獣」の気配が消えていますし。
「しっかし、いいのか、団長? ここの払いだって団の金庫だって結構な金かかってるだろ?」
「大丈夫なのですよ、レイナール。露天の猫耳収入はこの程度では揺るがないのです」
「・・・抜け目ねぇ。どうりで露天の反応が早すぎると思ってたら、団長の仕業かよ」
「もうけられる時を知っているのに何もしない者は、馬鹿者と官僚だけなのですよ?」
「・・・うわぁ、頼もしいなぁおい、うちの団長は。」
「その力を、うちにも貸してほしいわ・・・。」
突如現れたのは「香水」ことモンモランシー。
タダ酒に誘われての登場なのです。
「人聞き悪いわね!! そりゃタダ、ラッキー!とはおもったわよ! わるい!?」
「いいえ~、モンモランシーの可愛いところが丸見えなだけなのです」
「///・・・そういうことは、ちゃんとした場所でいうべきでしょ!?」
「そうなのです、だから酒の場所で・・・」
「はじめっからウヤムヤにするつもりなの!? なんてたちの悪い!!」
「誉めないでくださいなのです。」
「ほめてないわよ!!」
いやー、打てば響くようなツッコミに全団員号泣です。
「まぁまぁ、モンモランシー。せっかくきたんだから、一杯どうだい?」
「・・・うん、ちょっともらうわ、ギーシュ」
そういいながら、空いてるジョッキにガンガン高そうなお酒をツぐのが良い根性なのです。
そのまま一気に飲んで見せ、周囲をわかせた。
「「「「「おおおおおおお!」」」」」
「水属性は蟒蛇と聞いていましたが、本当のようなのですね」
「ああ、その雄々しいのみ方、きれいだよ、モンモランシー」
「・・・ありがと、ギーシュ」
なんだか勝手にやってろ、バカップル、というわけで、二人を別の席にパージして盛り上がっていると、またまた乱入者あり、なのです。
「おじゃましますわ」「じゃまするよ」
あらわれたのは・・・
「何してるですか、この王族達は!?」
劇を見終えて歓談中のはずのアンリエッタとイザベラ様。
「あらやだ、ちゃんと護衛も店を囲ってるわよ?」
「店を入るまでフェイスチェンジで顔を変えてたしな」
「・・・マティーたちが直に護衛している対象を、誰も間違えないのですよ?」
マティーとはマンティコア隊の愛称。
「・・・ああ、そういえば。」
「そういや、マンティコアの隊長って、あんたのおやじなんだって?」
スルーなのですよスルー! さすが王族!!
そのスルー能力は必ず手に入れてみせるのです!
「ええ、鉄の規律と忠誠心に支えられた騎士団の最高峰ですわ」
「ますます、ほしいね。・・・どうだい、アン、フレデリカをしばらくウチの軍事顧問に貸さないかい?」
「ベル、それは勘弁してほしいわ。代わりにルイズじゃだめかしら?」
だめ、アンリエッタだめ! ルイズは虚無、虚無だからぁ!らめぇぇ!!
「「狙撃」かい、そっちも魅力だけどね。やっぱりトリスタニア式軍歩は取り入れたいね。」
どうやらあの行進はそういう名前になったらしいのです。
「あー、本当にあたしも学院にいきたいもんだよ」
「・・・イザベラお姉さま、それは国民が困る」
さらにご来訪。タバサ、ルイズ、キュルケ。
「おお、ロッテじゃないか。」
笑顔でかいぐりするイザベラと、それをうれしそうに受け入れるタバサ。本当に歴史は変わったんだなぁと思わされた。
「・・・? ミスタバサ。それはミドルネームですか?」
小首を傾げたアンリエッタをみて、ちょっとひきつるイザベラ様。
じつは計画していたシャーロット名誉回復はガリア国内での進捗が今一なため、今回は見送られていたのです。
どう説明しようか真っ白になっている彼女の横に立ち僕は援護射撃。
「アン、「真名」なのですよ。」
「・・・まぁ、すてき!!」
それを聞いて明らかに安心した風のイザベラ&タバサ。
真名、つまり、肉親や親族にのみ開かされる名前という設定はアンリエッタには納得できたようです。
じつに脳味噌が暖かい。
うちの王族は本当に・・・・TT
「まぁまぁ、すてきなお話ですね。私も真名がほしいですわ・・・。」
いやんいやんと身を震わせる御花畑姫。
「なにいってるんだい、アン。あんたにゃ、誰も得られなかった宝があるんだろ?」
「・・・、なんです?」
「お空の上の王子様、だろ?」
さすがイザベラ様!! そこに痺れて憧れるのです!!
「♪」
そこからの甘甘話がすごかった。
苦肉の策で振った本人も後悔しただろうけど、周辺も大事故状態。
ぼくは思わずサイレントで閉め出してしまったのです。
これでおおかたの処理が終わったと思ったのですが・・・・。
「それにしてもフレデリカ、ひどいじゃない。私たちにないしょで宴会なんて!」
がー、と一気のみのキュルケ。
「あたしだって、落とし頃なんだから、ちっとは機会を作ってほしいもんだねぇ?」
微妙にシナを作るイザベラ様。
というか、発音が微妙ですよ?
「ちょっと、フレデリカは私の嫁よ!」
誰が決めたんですか、ルイズ。
「あんたにゃ、髭の婚約者がいるでしょ?」
思わず眉をしかめたキュルケのつっこみに、不快そうな顔のルイズ。
「ワルド様? ああ、だめよ。あの方、タバサみたいな体型が好みらしくて、急成長中の私には興味がないんですって・・・モゲロ。」
「うわっ、それほんと? 結構な美形だと思ってたのに」
「だめだめよ、だめ。貴族で幼女趣味ってどんだけ病気なのよ。まだオッパイ礼拝者の方がましだわ。」
「でもそれって別の意味の礼拝者じゃないの?」
「・・・そうだね、つまり・・・・」
「「「貧乳礼拝者!」」」
いつの間にかイザベラ様とルイズとキュルケが、十年来の親友のように話しているのです。
その光景をまるで姉のようにうれしそうにタバサが見ていて、その光景を肴に団員が感激の涙を流しているのです。
「なんか「始祖みて」みたい・・・。」
「うんうん、だって学院がモデルだっていうじゃない?」
「いいな~いいな~、貴族様は「始祖みて」出来て~」
お店の女の子も感化されてますですね。
これは貴族の生活を開示する「オープンキャンパス」も企画した方がいいですかね?
名目は「文化祭」ということで。
あ、そろそろアンが正気に戻りそうです。
サイレント、キャンセル。
「・・・というわけで・・・。もう、またフレデリカね!」
自分を除いてみんなが仲良くなっているのをみて怒るアンリエッタ。
「わかってるよ、アン。あんたの愛は偉大だ。」
「わかってくださいましたのね!!」
がっちり「ハグ」するアンリエッタとイザベラ様。
ともあれ「ハブ」にしていたのもイザベラ様なのですが。
「団長! もういっかい演説かましてくれ!!」
「「「「「おおおおおおおお!!!」」」」」
「じゃぁ、せっかくきてくれたイザベラ様に一言お願いするのです」
「「「「「おおおおお!!!!」」」」」
他国とはいえ王族、それもたぐいまれなる美形のお姫様からの一言があると聞けば盛り上がる盛り上がるのです。
いつの間にか他のお客さんも大盛り上がりです。
「・・・ったく、しかたないね。じゃ・・・」
こほん、と咳払いした後、王族オーラを全開にしたイザベラ様が言葉を発する。
「・・・ソナタたちの軍歩、まことに見事であった。その一体感、その同期性、そして平民ですらわかるほどの練度。どれを取っても胸を張れるものであった。アンリエッタ殿に我が国での教導を頼んだほどだ。」
それを聞いた「ケットシー学生騎士団」は熱狂に近い盛り上がりを見せた。
他国の騎士が他国の軍で教導するなど、本来あり得ないはずなのにそれを求めるほどスゴかったといって誉めてくれているのだから。
「・・・ソナタたちに感謝を。いま、軍のあり方の一部を塗り帰ることが出来た「ケットシー学生騎士団」に出会えたという幸運を運んできてくれたことを・・・・。」
盛大な拍手が巻き起こり、感動の渦は最高潮になったところでイザベラ様は高々と拳を振りあげた。
「ジーク、トリステイン!!」
もちろん、団員が全力で答えたのです!!
なにしろ団員は重度の「読者」なのですから!!
「「「「「ジーク、トリステイン!!」」」」」
ジーク・トリステインの唱和は、今後乾杯の席の定番になったとか。
あな、恐ろしい話なのです。
「プロージット」でもいいかもしれないと思っていましたw
※今回の元ネタ
「真名」 ・・・ 恋姫無双
ジーク、トリステイン ・・・ 初代ガン○ム
プロージット ・・・ ○河英雄物語
(3,887文字)