第十話 「狙撃」のルイズが生まれてたw
トップページ
> 神代ふみあき書庫
> 非赤松椎名系作品
> フレデリカとゼロ魔
> 第十話 「狙撃」のルイズが生まれてたw
二次創作で色々と書かれているルイズですが、路線の大半が「脳筋」に傾きつつあるのは気のせいでしょうか?w
第十話 「狙撃」のルイズが生まれてたw
姫様の指示からフレデリカは精力的に動き回り、学園内では良家の子女にお願いして宮廷内の噂の操作や社交界での情報操作を依頼し、アルビオンの貴族社会への牽制を徹底的に行った。
これにより、アルビオン貴族派のところにはフレデリカの新作が届かなくなり、アルビオン王族派貴族に集中することになった。
加えてトリステイン王立少女歌劇団の貴族チケットが優先的にアルビオン王族派に供給されるようになると、内助の強い貴族は雪崩をうって王族派に流れていった。
で、裏切った貴族にも優先的に書籍やチケットが行くものだから、もう、その流れは止まらなかった。
妻や娘に強くても、愛を維持しなければならない愛人に唆されれば動かざる得ないのがモテると盲信している男の性であり、遊び女たちにも浸透しているフレデリカの本が貴族派と付き合っていては手に入らないという噂は急激に広がってゆき、傭兵たちも一夜の遊びであっても王族派を宣言しないと付き合ってもくれなくなってしまっているほどであった。
加えて、ロマリア首脳陣からの発注を優先的に受けるという名目で出向いた先で、首脳陣を各個撃破し、様々な取引を飲ませた。
一人に、アリバー=クロムウエルの破門。
一人に、ロマリア神聖騎士団の参戦。
一人に、アルビオン王国が始祖の直系であることへの認定。
つまり、全部あわせると、アルビオンはロマニア認定の聖王国であり、それに弓引く存在が如何にすばらしいことを言っていても悪である。
ゆえに、その背後にいるオリバー=クロムウエルは破門とし、神敵として忠殺する事を認める、となるわけだ。
恐ろしい話よね。
というか、こんな話に私を巻き込まないでちょうだい、フレデリカ!!
私は真面目な普通の学生でいいんだから!!
「えー、「狙撃」のルイズなのに~?」
豪華な馬車の中で不満そうに口をとがらせるフレデリカ。
「その二つ名だって、フレデリカの「望遠」があってこそじゃない」
「見えたって普通はそんな離れた存在を狙撃できないのです。」
まぁ、そうかもしれない。
あの地獄の特訓の影響か、魔法成功率ゼロだった私は、こと爆発させることだけは完全に成功するようになった。
いわば、爆破魔法のプロとなったわけだけど、見える範囲しかできないと嘆いていたら、おもしろいことをフレデリカが始めた。
そう、見えると仮定した存在が爆破できるか、という実験。
壁で隔てた部屋の壁に、まるでそこに存在しているかのような絵をかいて、その絵に描かれたテーブルの上の果物を爆破してみよう、といい始めた。
何度か失敗したけど、よくよくかかれた絵だったので、その先に本当に果物があるものだと思いこんだら、なんと成功してしまったのだ。
これに気をよくしたフレデリカとお母様は、様々な道具を組み合わせて「望遠鏡」というものを作り出した。
元になったのは闇市で売っていた「場違いな工芸品」だったのだけれども、フレデリカの練金で修理して使えるようになったのが「それ」だった。
使ってみると、それはすごいもので、1000メイルは離れている先にある本のタイトルが見えるものだった。
試しにあれを「練金」してみてよ、とフレデリカがささやいたので、反射的に練金したところ、その本が爆発した。
「成功です、成功なのです!」
「すばらしいわ、我が娘ながら恐ろしい!」
きゃっきゃと喜ぶフレデリカとお母様のせいで、なぜか私の特殊魔法が知れ渡り「狙撃」なんて二つ名までついて回るようになってしまった。
この成功以降の訓練で4000メイル先まで狙撃できるようになってしまった。
本当に特訓地獄だったのよ。
まぁ、そんなこんなで学院でも有名になってしまった二つ名だけど、ロマリアでも有名らしく、私が秘書よろしくにフレデリカについて回るだけで最敬礼で迎えてくれるのが痛すぎる。
ああ、普通の学生にいつになったら戻れるのかしら。
「無理なのですよ~、ルイズには波瀾万丈な人生が約束されているのですよ~」
「まぁ、フレデリカの友達で居る間は、波瀾万丈でしょうねぇ。」
「違うのですよ、ルイズがラ・ヴァリエールであるかぎり仕方ないのですよ?」
「私はただの貴族の三女じゃない!」
「ラ・ヴァリエールの名前を背負ってて普通の貴族だなんてうそぶける時点で普通なわけがないのです」
「くぅ、さすが口じゃ勝てないわ」
「事実なのですよ」
そんなバカな会話をしているところで宿に着いたんだけど、入り口にちょっと美形の男が立っていた。
金髪で左右の瞳の色が違う神秘的な感じで。
「やぁ、お嬢様方、お話をさせてくれないかな?」
「消えろ、くされ坊主」
聞いたこともないような重々しい口調でフレデリカは拒絶した。
「これはひどいな、こんなかわいらしいお嬢さんにヒドいことを言われると、悲しいはずなのに少しうれしいのは何でだろうね?」
「消えろ、変態クソ坊主」
「へ、変態はヒドいんじゃないかな、お嬢さん」
「変態で言われ足りないなら「ド変態」。お帰りくださいなのですよ。」
なぜか胸を押さえて片膝をついて見せた美形は、なんだかうれしそうな表情でフレデリカを見上げていた。
「・・・初めての感覚だよ。こんな麗しいお嬢様に罵倒されるのが、こんなににも気持ちいいだなんて。」
とはいえ、このままだとみっともないので、ちょっとフォローすることにした。
「とりあえず、フレデリカが怒ってるのは、フレデリカを女扱いしてるからよ。これでも男なんだから」
「ん、な、な、なんだってぇーーーー!!!!」
雷に打たれたかのような反応の残念美形はフラフラとフレデリカに近づいてあらゆる角度でのぞき込んだ後で、ヒドく明るい表情に切り替えた。
「うん、これならアリだ! さぁ、雄姫様、僕とともに夢の世界に旅立とう!」
「三千世界の彼方に消えてゆけっ、なのです!!」
フレデリカのオリジナル魔法、土と火の魔法を駆使したフレイム=ゲイザーが残念美形を吹っ飛ばしたのでした。
その後もつきまとう残念美形の名は「ジュリオ」。
何でもロマリアのトップの従者だそうです。
つまり、ロマリアのトップは残念なのですね。
取引の相手として意識してはいけないタイプなのですよ。
「なんで? 今トップってことは、かなりの権謀術数に長けてるんでしょ?」
「あのですね。あんな下っ端の司教の動きすら押さえられないようなトップが、相手に出来るのですか? 逆にあんなバカを謀略のトップに据えているのだとしたら、さらにおつきあいできないのですよ」
「それはヒドいな、我が愛しの黒猫姫」
「消えろ、そしてシネ!」
フレイム=ゲイザー三連発で吹っ飛ばしたのに、次の瞬間には復活しているのです。
変態の恒常性が恐ろしいのです。
いたしかたなく氷結魔法で封印したところ、これは即時復活できないらしく、二日ほど顔を出さなくなって安心していたのですが、トリステインに帰るというその日に再び現れたのです。
さすがに全身包帯を巻いた姿で。
霜焼け程度ですんでいるのがおかしいのですよ。
指や「あれ」の一つでもモゲてた方が、世界の為なのですが。
「く、黒猫姫、いま、非常に不穏なことを考えなかったかい?」
「男に向かって姫呼ばわりとは、どこまで腐ってやがるのですか? あなたたちはどこかの軍士官ですか?」
女っ気のない軍隊内で「姫」という人物を決めて、勝手に萌えるというルールはいいですが、そんなものを持ち出さないでほしいのです!
「さすが、黒猫姫。わがロマリア正規軍のお遊びまでご存じとは。その博学に頭が下がる思いです。」
とりあえず、僕への呼びかけ以外は変態性が少ないので実力行使を控えていたら、変態の上司である大変態、ロマリア教皇が面会したいと言ってきているそうです。
そんなもの、早く言ってこいなのです、と言うと、なぜか怒りに燃えた視線で「誘いに行く度に僕を殺そうとしたのがきみだ!」と叫びやがります。
とはいえ、こんな変態を連れてくる時点で誘わない気満点なのですよ?
こんな視線だけで婦女子を妊娠させそうなエロジャンキーを使者にたてるなんて、気が知れないのです。
「あー、フレデリカ。一応言っておくけど、この残念美形が誘いにきたら、ボロが出る前に婦女子の大半がホイホイついていくわよ?」
「・・・趣味が悪いのです」
ルイズの一言に、僕は少し機嫌が悪くなりました。
確かに、王子様っぽい感じですが、この背後から染み出る変態オーラを感じないのでしょうか?
感受性の高い女子なら感じておかしくないんですよ?
「もう僕が変態でも何でもいいから、頼むから教皇様にあってください、お願いします」
「「何で最初からそうやって頼まないのよ?(のですか?)」」
「え、まさかの非難集中? 僕間違ってた?」
「だって、初対面でナンパを始めて、さらにいじられて喜ぶなんて用件で毎日来てれば、ついていこうなんて気無くなるわよ。」
「そうなのです。こんな怪しい人間について行くのは、恋に恋する常識知らずだけなのですよ。」
「・・・がーん」
まさかあれで正解だったと考えているとは思わなかった僕とルイズの方こそ「ガーン」なのですよ。
もちろん、うちのルイズも脳筋ですw
※今回の元ネタ
フレイム=ゲイザー ・・・ パワーゲイザー ・・・KOF
女っ気のない軍隊内で「姫」という人物を決めて ・・・ 旧海軍で実際にあった風習。現在もあるかは知らんw
原作名:ゼロの使い魔
(3,817文字)