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第八話 「館」と「現実」が生まれて

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展開が無理やりな「フレデリカとゼロ魔」ですが、まだまだ続きますw

第八話 「館」と「現実」が生まれて

 えー、最近僕の部屋が談話室になっているのですよ。
 基本、定員は5名。
 テーブルに寄り添い、本の話や新作の話をしています。
 で、これがルイズやタバサだけならまだしも、ほとんど名前も知らない上級生や顔しかしらにような同級生が親しそうに現れるのはどうかと思うわけです。
 とはいえ、社交性は必須だと両親に言われているので、積極的にお迎えしてお話させてもらっているのです。

「ねぇ、フレデリカ様。この部屋はまるで「薔薇の館」のようでございますね。」
「そうね、その通りだわ。他愛のない会話でも輝く時間に昇華してしまう不思議な時間ですものね。」

 ラ・ロート卿次女、エディミシア様の言葉にド・ルブランシェ卿三女、レイディナーレ様が嬉しそうに同意する。
 話を振られた僕はにこやかに微笑んで、今の会話をちょこっとメモする。
 こういう小さな会話を作品に生かすと、これがまた評判になったりするのが馬鹿にできない。
 自分の会話が盛り込まれるのが嬉しいのかと思いきや、実は自分と同じようなことを考えて会話する人たちが物語にいるという共時性が快感らしいのです。
 実に難しい感覚です。

「でも、この空間があるのはみなさんのご協力のおかげなのですよ?」
「まぁ、ご謙遜を。」「フレデリカ様あっての「薔薇の館」ですわ」
「「おほほほほ」」

 聞くところによると、以前自主退学した生徒が復学すること希望しているとか。
 年齢的に可能であれば一年から入り直すとか言う話が盛り上がっているそうです。
 その話をするとレイディナーレ様がにこやかに微笑む。

「男性に絶望なさった方々でも、今の学院ならば希望が見いだせますわ」
「ええ、わたくしも「始祖みて」と薔薇の館がなかったらと思いますと、もう、学院にいなくてもおかしくありませんのよ?」

 あわせるようにエディミシア様が言う言葉を聞いて首をひねる。

「とりあえず、僕も男なのですよ?」
「いいえ、フレデリカ様は「性別:フレデリカ」ですわ!」
「そうです、フレデリカ様の性別は「フレデリカ」、これは事実です!!」
「「「そのとおりですわ!!」」」

 どかりと飛び込んできた女子軍団。
 すでに僕の性別は「フレデリカ」で決定のようなのです。
 とかく理不尽な世の中なのですよ。











 宮廷の一室で、私はフレデリカから提出された脚本をチェックしていました。
 王立少女歌劇団における決定権は私にあり、全ての少女の夢を司るのは私の役目。
 ハルキゲニアの乙女の夢を、私が護る!
 そんな思いで新作脚本をみて、わたくしは吹き出してしまいました。

「リボンの騎士~烈風姫カリン物語」

 まずいでしょまずいでしょ、これまずいわよ!!
 ラ・ヴァリエール婦人に喧嘩売ってるのかしら、あの暗黒脚本家は!!
 ダッシュで宮廷を飛び出し、お忍びで暗黒脚本家の寮へ飛び込むと、そこにはラ・ヴァリエール御一行がいました。
 当主ラ・ヴァリエール卿および婦人。
 長女、エレオノール殿。
 次女、カトレア殿。
 三女、にして我が友ルイズ。
 全員が杖を構えて暗黒脚本家であるフレデリカに杖を構えています。

「まず、杖をおろしなさい!」

 私のその言葉に不承不承杖をおろした全員でしたが、フレデリカは余裕の笑みです。
 なんだか面白くないですね?

「で、フレデリカ、この脚本の真意は?」
「女性の地位向上です。」

 打てば響くような速度で返された真意は、今のところ女性であると言うだけで低い立場に追いやられている人々の活躍の場を設けたいという、そんな考えに基づいているらしいのですが・・・。

「では、なぜ、「カリン」が道化のように扱われているのですか?」

 震える声を抑えつつ、上げたくなる杖を押さえて言葉を発する婦人。

「僕の物語の多くは過去の記憶や記録に基づいているのです。そして御師匠様から聞いた過去のトリステインや軍の話は僕の作品に多くの影響を与えているのです。」

 そういえば、軍の話や王宮内の話など、まるで直接見ているかのような臨場感に溢れていると、侍女たちがはなしているのを聞いたことがあります。
 なるほど、これが情報の元だったのですね。

「御師匠様がお話くださった過去の「カリン」は、多くの魔法使いにとっての教訓と貴族にとってとるべき道が示されています。たとえ導入が道化であっても、その成長こそが貴族の道だと信じるのです。だから敢えて、道を間違えていた頃の御師匠様を導入に使わせていただきました。」

 無い胸を張るフレデリカを、深いため息で見つめるカリーヌ婦人。
 そう、「烈風姫」と表された本人にとって、暴いてほしくない黒歴史を暴かれるのだから、冷静ではいられないだろう。
 加えて、実は娘たちも実の母親を道化にされて怒ってきたのだが、真意を聞いては黙っていられなかった。
 で、ルイズは、実のところ実の母親のことではなく、役者の容姿指定で怒りを燃やしているのだ。
 役者の容姿指定がなんと、まるまるルイズそのままだったから。
 明らかにルイズを劇団に引っ張り込もうとしているのが理解できる内容だったため、撤回させるためにきたというわけだ。
 で、ラ・ヴァリエール卿は、何年も共に過ごした息子同然の少年を守るためにやってきたという。
 実に家族愛に溢れる話だと言える。

「いいでしょう、多少の内容の変更を要求しますが、基本的に演劇化を認めます。」

 ラ・ヴァリエール婦人カリーヌ様は、実に苦々しく了解したのでした。

「で、姫様はなにをなさりに?」
「さすがにこんな脚本を発表したら、ラ・ヴァリエールが独立とか言い出すやもしれないじゃないですか。」
「あー、まぁ、うん、そんな可能性もありましたか。」

 どうやらなにも考えていなかたらしいです。
 恐ろしい話でした。
 とにかく、新作脚本を本人から許可をもらったので、早々に演出家と話さなければなりませんね。
 ところで・・・・。

「これもまずいと思うのですが?」

 その題名も「トリステインのバラ」。
 男子として育てられた女性貴族が、成長する中で恋を知り愛を告白され、そして男性貴族として女性自身としての心の動きに翻弄されるという、実に恐ろしい内容でした。
 なにが恐ろしいかというと、大人向けの「烈風姫カリン物語」なのですから。
 私から恭しく脚本を奪い取ったラ・ヴァリエール婦人でしたが、鼻息荒く読み切って、実にすがすがしい笑顔をっみせました。

「フレデリカ、よく書けている脚本です。貴族としての立場と女としての想いの行く先が、みずみずしく描かれた良作です。物語にすることも許可しましょう」

 鼻歌まで歌ってフレデリカの部屋を出た母親を追って、長女と次女も部屋を出てゆきましたが、大人版の原稿用紙を奪ってゆくのを忘れませんでした。

「フレデリカ、自分のみを守る手段があるのなら、早々に出しておきなさい。」
「はっ。了解いたしました、閣下」

 ぴしっと敬礼するフレデリカを嬉しそうに撫でた後、ラ・ヴァリエール卿も部屋を出てゆきました。
 私はなんだか気が抜けてしまい、ルイズの座るイスの隣に座り込んでしまった。

「もう、私も策動の一部に組み込むのは止めてちょうだい」
「姫様、無理ですよ。フレデリカに何かを頼んだら、その分だけ苦労という取り立てを食らうのが道理です」
「・・・一応、私、王族なのよ?」
「そのことは気にしない、心からの友達になってほしいとお願いされたのですよ? 今更撤回するのですか?」
「もう、フレデリカの意地悪」
「僕ほど姫様に心優しく接している人間はいないと思うのですよ。」
「そうでもないわよ? 最近枢機卿もお母様もイヤになるほど優しいわ。まるで何かの罠を仕掛けているフレデリカみたいに・・・って、まさか!?」
「はぁ、何で今まで気づかないか不思議で仕方ないのですよ」



という引き、つまり「あれ」ですw

※今回の元ネタ
リボンの騎士~烈風姫カリン物語 ・・・ 原作のあれ
トリステインのバラ ・・・ ベルサイユのバラ
 


原作名:ゼロの使い魔

(3,200文字)

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