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トップページ > 神代ふみあき書庫 > 非赤松椎名系作品 > フレデリカとゼロ魔 > 第一話 フレデリカに生まれて
この世界に生まれてきて二年。
正直に言えば生き疲れているのですよ、ええ。
前世の記憶を持っている、これはいいでしょう。
ゼロの使い魔っぽい世界、これもいいでしょう。
両親健在、中流貴族、母親が水のスクエアであり風のスクエア、父親が土のスクエアであり火のライン、いいでしょういいでしょう。
領地経営が順調で借金がない、すばらしいですね。
で、なにが問題かというと、まず名前。
フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ
フレデリカ、ベルンカスレルですよ、大ベルンカステル!
さらに容姿、これがまたベルン様そっくりときたもんだ!!
・・・で、最後に、性別男。
どうしろと!?
正直に言いますとですね、この年になるまで何度誘拐されたか。
二週にイッペン誘拐されますし、侍女にも誘拐されたことがあるのです。
・・・いやらしい目的で。
世の中爛れているのです。
さすがに誘拐ばかりで切れた母上は、屋敷を要塞化して僕を引きこもらせようとしたのですよ。
もちろん、僕自身が泣いて勘弁してもらいましたが、傭兵もびっくりのブービートラップを周辺に配置して、不心得ものをとらえることに熱中しているのです。
・・・あ、まずいまずい。
この容姿に引きずられて、内心までリカ喋りになってる。
口からでる言葉が、どうやってもリカ喋りになってしまうのは仕方ないかもしれないが、内心までは染められてたまるものか。
ええ、負けないのですよ!!
とりあえず、負けたのです。
あれから二年ほどの努力の結果、お母様とお父様による洗脳教育で、口調もなにも「リカ」まんまになってしまったのです。
これでも男の子なのですよ? と涙ぐむと、「そうです、さすが我が子、わかってるわかってる!」と大興奮の両親だったりしますです。
悔しいですね。
とはいえ、いろいろとわがままも利くので差し引きプラスだと思うことにしているのです。
・・・クローゼットの中身の、およそ中性的から女性的に傾いた衣装の数々は忘れることにするのです。あれを計算にれると一気に赤字に・・・。
で、四歳になったということで、大々的な誕生日を祝うと張り切る両親ですが、あんまり派手なのは嫌いなのですよというと、両親ともに涙を流してイヤイヤをします。
「ふーちゃんを自慢したいのに~」
「我が子を自慢したいのだぁ~」
いつまでも若々しい母上はおいておいて、カイゼル髭で樹木も切れるという父上までだだをこねないでください!
「わしだって、部下に我が子を自慢したいのだぁ~!」
トリステイン軍の親衛隊、マンティコア隊の隊長である父上は、結構部下に慕われているらしく、部下が家によく遊びに来る。
ただ、過去、母上が病的に誘拐を警戒していたせいで、肖像画ぐらいしか見せたことがなかったのだ。
が、四歳にもなり、魔法もそろそろ習うと言うところでお披露目しようと言う話になったそうだ。
で、お披露目先が父上の部下、だというだけならまだいいのだけれども、母上の親族と魔法の師匠まで来るというのだ。
母上の師匠の名は「カリーヌ」。
ファミリーネームは「ラ・ヴァリエール」、というか「マイヤール」。
・・・烈風ですよ、烈風!!
やばいやばい、目を付けられたら死んじゃうのですよ!!
見た目は「リカ」でも、アウアウ無しのリカでは死んだらそれまで、チップは一枚のみなのですよ!!
ベット出来よう筈もありません!!
そんなわけで、見つかる前に風のように撤退するのです。それが戦略的撤退というものなのです!!
あー、運命? 信じるのですよ、ええ。
閉じた輪、あ、あるあるある、結構経験済みかもしれませんですね。
なにが起きたかわからないので、認識している事実だけを並べると、
・お誕生日の会場中、途中で逃げ出して、カリーヌ様とのフラグを回避。
・裏庭まで逃げたところで、なぜか幼女を折檻する女性を発見。
・ダッシュで幼女を助けつつ、屋敷に撤退すると、なぜかその女性が風の魔法をブイブイ言わせて追ってきました。
・昔、母上が屋敷の要塞化の際に仕掛けた罠を使いつつ、逃亡の上お誕生日会場に滑り込むと、なぜかウインドウカッターを発射し始めた折檻女性と合流。
・逃げられそうもなかったので、幼女をかばいつつ、魔法の直撃を食らって意識消失。
ここまでは覚えているのですが、屋敷の医務室で意識を取り戻すと、なぜか幼女が、ピンクブロンドの幼女が僕にすがりついて寝ていました。
どこかでみたようで、それでいてどこにもいなさそうな超美少女。
そんな美少女がよだれを垂らしつつ、僕に抱きついて寝ています。
なんというか、これだけだらしない顔なのに美少女と認識できるあたりレベルの高い娘です。
「起きましたね、フレデリカ=ベルンカステル=ド=リステナーデ」
視線を向けた先には、こう、なんというか、角の立った美女、というか先ほどの折檻女性。
「魔法もなにも使えない身でありながら、己の命をも盾にする心意気、見事なものでした。」
笑っているんだろうな、とは思うんですが、どうみても活きの良い餌を見つけた肉食獣の笑顔にしか見えません。
「あなたの母親は確かの優秀でしたが、手抜きの天才で何度折檻しても直らない筋金の入った怠け者でしたが、その息子たる貴方が歯ごたえがありそうで実に喜ばしい限りです。」
やばい、かなりやばい。
やばやばです。
なんと言っても、思い当たる節がてんこ盛り山盛りなのですよ!!
この痩身の美女、もしかして・・・・
「もしかして、お母様の御師匠様、烈風様ですか?」
深い深い笑みを浮かべた女性は、杖を掲げてこうのたまわいました。
「貴方の母親の願い通りに、魔法学校入学までの間、当家で修行をつけてあげましょう。目指すはトライアングル、生き残れればスクエアも夢ではありませんよ?」
あ、あ、悪夢なのですぅ!!!
原作名:ゼロの使い魔
(2,327文字)
OU:1人
UA:18,348人