フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯は8日、東京・代々木競技場で開幕する。7日は公式練習が行われ、3位以内でGPファイナル進出が決まる浅田真央(23)=中京大=は表現力に磨きをかけたショートプログラム(SP)を披露。記憶に残る新「ノクターン」で自己記録更新を狙う。男子では高橋大輔(27)=関大大学院=が4回転ジャンプに手応えをつかみ、優勝を誓った。
スピン、ステップ、決めのポーズ。一つ一つが深みを増していた。午後の練習でSP曲「ノクターン」をかけた浅田。大げさにも見える動きには明確な意図があった。
「自分でもより良いものにしたいと思って。初恋だけじゃなくて、悲しかったことを思い出したり、山があったり雪が降ったり。いろんな景色もテーマに入っている」
スケートアメリカを制した翌日、カナダ・トロントに飛んだ。目的はSPの手直し。女性振付師のローリー・ニコルさんから豊かな感情表現を教わった。
「エッジを強く倒したり、手をより押し上げたり。メリハリですね。記憶に残るようにしようと」。佐藤信夫コーチがこう説明した新SP。完璧にこなせば、記録にも残ることになりそうだ。
スケートアメリカではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が両足着氷となりながらも73・18点。09年の国別対抗戦で出した自己ベスト75・84点に迫る高得点だった。
大技が決まれば、前戦で減点された1・43点以上の上乗せは確実。この日は午前、午後とも50%の確率できれいに決めており、自己ベスト更新、さらにはキム・ヨナ(韓国)が持つ世界最高点78・50点も射程にとらえる。
3位以内でGPファイナル(12月・福岡)への進出が決まるうえ、勝てばGP通算13勝。ミシェル・クワン(米国)を上回る。「レベルアップした滑りができれば。1段でも2段でも上がれるようにしたい」。記憶と記録に残る演技の準備は整った。 (高橋雅人)
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