名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(48)が7日、4−1−4−1の新たなフォーメーションでの戦術練習を行った。チームはジュロヴスキーコーチが指揮を執った先週の練習でMFダニルソンを左サイドに置く4−4−2に取り組み始めたばかり。それだけに選手からは困惑の声が続出したが、首位・横浜Mへのかく乱作戦という見方も出ている。
静まり返ったピッチに、ストイコビッチ監督の指示の声が響き渡った。ウオームアップが終わると、指揮官は主力選手11人だけを集め、ホワイトボードを使って新フォーメーションを説明。その後約20分間、ダニルソンが1ボランチ、玉田と永井がサイドMFとなる4−1−4−1の形で攻守の動きを確認した。
ただ、前節からの11日間で2度目となるシステム変更に、選手たちの間には戸惑いの空気が漂った。ストイコビッチ監督が家庭の事情で離日していた先週の練習では4−4−2に着手。ジュロヴスキーコーチが前節大宮戦で好プレーを見せた田口をボランチに入れ、ダニルソンを左サイドに置き、3日の磐田との練習試合でも手応えをつかんだばかりだった。
この日、指揮官から磐田戦のシステムを取りやめた理由について説明はなし。次の横浜M戦への対策とみられるが、DF闘莉王は「こっちは大変だよ。頭が混乱する」と苦笑いし、DF阿部も「何かの布石、もしくはかく乱かな」。その一方で「この1週間は意味がなかったってことでしょう。今年は最後まで戦術に一貫性がなかった」とあきれ返る選手もいた。
もちろん、指揮権を持つのはストイコビッチ監督。どんな練習、戦術を採用しようと自由だが、使いたい選手にシステムを当てはめるのはその場しのぎと指摘されかねない。システムの明確な意図を明示できねば、自軍をもかく乱してしまう恐れがある。 (宮崎厚志)
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