【ＢＯＸ】山中、ＷＢＣ年間ＭＶＰノミネート「名誉なこと」

予備検診を受ける山中（後方は挑戦者のゲバラ）

　◆報知新聞社後援　プロボクシング世界戦　▽ＷＢＣ世界バンタム級タイトルマッチ　王者・山中慎介―同級８位・アルベルト・ゲバラ（１０日、東京・両国国技館）　ＷＢＣ世界バンタム級王者の山中慎介が“全勝男”に肩を並べた。７日に都内で行われた同級８位アルベルト・ゲバラとの５度目の防衛戦へ向けた予備検診に臨んだサウスポーは、ＷＢＣの２０１３年「年間最優秀選手」にノミネートされたことが判明。他候補には世界５階級制覇した４５戦全勝（２６ＫＯ）のフロイド・メイウェザー（３６）＝米国＝らスター選手も含まれた。予想外の“勲章”を手にした山中はＶ５へ勢いをつける。

　減量終盤で苦しいはずの山中が、思わぬ吉報に顔をほころばせた。「ノミネートされるだけで名誉なことじゃないですか。恐縮です」。タイ・バンコクで年次総会を開催中のＷＢＣが、毎年恒例の年間表彰の各部門候補者を発表。最優秀選手賞にあたる「ファイター・オブ・ザ・イヤー」に初めてノミネートされた。

　候補はほかに、４５戦全勝でウエルター級王者のメイウェザーをはじめ、スーパーライト級統一王者のダニー・ガルシア（米国）、ライトヘビー級王者アドニス・スティーブンソン（カナダ）らビッグネームが並ぶ。ＷＢＣ総会に出席した国際マッチメーカーのジョー小泉氏（６６）は「軽量級ながらＫＯ防衛を続ける山中の評価は海外でも高い」と説明。日本人が同賞にノミネートされるのは極めて異例という。

　各賞は年明けに発表される予定で、山中が受賞なら日本人では史上初。ＷＢＣ公式サイトでネット投票も募っているが、「このメンツなら受賞はメイウェザーで決まりじゃないですか！」と笑いつつ、「試合へ弾みがつきそう」とプラス材料にとらえる。

　検診会場で、弁護士の卵という異色のゲバラと初対面した。「確かに頭が良さそうな顔をしている」。検診を受けるためにＴシャツを胸元までめくり上げたゲバラの腹部をチラリと見て、真向かいに立った大和心トレーナー（３８）に目配せした。

　「下を狙っていくのは作戦の一つ」。フットワークが巧みなゲバラのボディーを攻め、足が止まった相手の顔面に左ストレートを打ち込む作戦を練る。相手より身長で３センチ、リーチで４センチ上回ったが、「数字は気にしていない」と言い切った。我が道を行くボクシングでゲバラを打ちのめす。

　◆ＷＢＣ年間最優秀選手　その年を代表するボクサーに与えられる賞で、ミニマム級王座を２２度防衛したリカルド・ロペス（メキシコ）や史上初の６階級制覇のオスカー・デラホーヤ（米国）らが受賞。現役ではメイウェザーが２００５年に初受賞。ヘビー級王者ビタリ・クリチコ（ウクライナ）は０９年と１１年に獲得した。ＷＢＣで４階級を取った元６階級王者マニー・パッキャオ（フィリピン）は同賞（０８年）のほか、１０年に「過去１０年間の最優秀選手賞」にも輝いた。

　また、他部門の日本関連では、スーパーフライ級王者の徳山昌守の「模範的王者賞」（０２年）、スーパーバンタム級王者の西岡利晃の「年間ＫＯ賞」（０９年）などがある。