ヤンキースでも松井コーチ！メジャーキャンプでイチローと共演

巨人に続き、ヤンキースからも春季キャンプ臨時コーチに就任要請を受けた松井秀喜氏（共同）

　来年２月、巨人の春季キャンプで臨時コーチを務める松井秀喜氏（３９）が、ヤンキースのキャンプでも臨時コーチを務める可能性が高くなった。６日までに古巣の名門球団から正式に要請を受けた。受諾すれば、宮崎で汗を流した後、フロリダ州タンパでのヤ軍キャンプに参加。イチロー外野手（４０）との“共演”や、６月のドラフトで入団した加藤豪将（ごうすけ）内野手（１９）への指導が実現するかもしれない。

　背番号５５が、ヤンキースにも戻ってくる。メジャー関係者の話を総合すると、松井氏が古巣からの臨時コーチ就任要請を受けた。受諾すれば、日米の伝統ある名門球団で“指導者デビュー”を果たす。最近のヤ軍の臨時コーチは、現役時代の背番号が入った練習用ユニホームを着用している。松井氏も「５５」を背負って指導する可能性は高い。

　宮崎での巨人キャンプは例年、２月１２日前後までの予定。松井氏はその後、自宅のあるニューヨークに戻り、ヤ軍のキャンプ地であるタンパに向かう。臨時コーチを要請されているのはメジャーキャンプ。野手組は同２０日前後にスタート予定のため、わずか１週間程度の間隔で東京～ニューヨーク～タンパを渡り歩くハードスケジュールになる。

０９年のワールドシリーズ第２戦、フィリーズ戦の６回、本塁打を放ったヤンキース・松井〈５５〉を迎えるジーター（左）と、スタンドのファン（共同）

　ヤ軍にとっては、２年越しのラブコールだ。今年も春季キャンプでの臨時コーチ就任を要請したが、夫人の長男出産が控えていたため、実現には至らなかった。８月に２Ａトレントンで始球式を行った際には「家族の事情で行けなかった。（来年以降は）自分から行きたい、と言うことはないですけど、誘われたらその時に考えます」と話していた。巨人の臨時コーチをすでに受諾。ヤ軍の誘いを受けるのは自然な流れで、障害はない。

　キャンプ参加となれば、イチローとの“共演”が実現する。ジーター、ソリアーノら、元チームメートと旧交を温める。さらに、メジャーとマイナーの施設は隣接しており、３月上旬にはマイナーキャンプのためタンパ入りする加藤を教える機会があるかもしれない。松井氏は加藤について「もし見る機会があったら楽しみにしてます。そういう機会があればいいなとは思います」と話していた。加藤のメジャーデビューに向け、ひと肌脱ぐこともありそうだ。若手にとっても、松井氏の技術だけでなく、野球に対する真摯（しんし）な姿勢を吸収するチャンスだ。

　７月には１Ａスタテンアイランドで初めて打撃投手として練習に参加。将来のメジャーを目指す若手相手に１２０球を投げた。「自分だったらこうするという気持ちで見ています」と“指導者目線”で有望株の打撃練習を見ていたという。

　将来、巨人の監督候補として期待されている。昨年１２月末の現役引退から１年以上の充電期間を経て、いよいよ本格的に指導者への道を歩み始める。

　◆メジャーの臨時コーチ　米大リーグの各チームは、春季キャンプにチームで活躍したＯＢを臨時コーチとして招くのが通例となっている。伝統のあるヤンキースでは、往年の名捕手ヨギ・ベラ氏、７０年代後半の主砲、レジー・ジャクソン氏が毎年のように参加。一昨年は計８人、昨年は計１２人を数えている。

　◆タンパ市　フロリダ州の西側、タンパ湾の奥に位置する商工業、観光、保養地として知られる街。１０年時点の人口３３万５７０９人は米国内５５位（フロリダ州ではジャクソンビル、マイアミに次いで３位）。タンパベイ・レイズの本拠地球場は同市ではなく隣接するセントピーターズバーグ市に置く。ヤンキースは９６年から当地で春季キャンプを張り、高い人気を誇っている。