原文入力:2012/05/14 11:16(3191字)
ニュージーランドを揺さぶった外国人船員人権蹂躪
ハンギョレ21, ニュージーランド政府報告書 単独入手
"(外国人)船員に対する低賃金と虐待に関する数多くの疑惑と報告が提起されてきた。本調査団に対して提起されたすべての抗議は韓国に対するものだ。" (ニュージーランド政府報告書7ページ)
<ハンギョレ21>はニュージーランド政府が去る2月に発表した報告書を単独入手し検討した結果、ニュージーランド政府が外国人船員虐待、不合理な労働契約などと関連してニュージーランド‘排他的経済水域’(EEZ)で操業する思潮五洋(サジョオヤン)の遠洋漁船とまた別の遠洋漁船シンジ号を強く批判した事実が明らかになった。 韓国漁船がニュージーランド海域で操業した以後、初めて船舶安全基準違反などの理由で去る2月に韓国漁船一隻の操業許可が剥奪されていた事実も明らかになった。 論議の強度は‘韓国の国格沈没’と言えるほどだ。
ニュージーランド政府は‘外国漁船の運用に関する関連部署調査報告書’(Report of the ministerial inquiry into the use and operation of foreign charter vessels)で、漁場管理(Management of Fishery)基準、船舶安全(Vessel Safety),雇用・労働条件、虐待など各種イシューと関連して韓国遠洋業者の不法行為を認めた。 ニュージーランド政府は報告書2ページ‘国際的評判’項目で 「2011年を通じて船舶安全、(外国人船員の)労働条件、船長と幹部による身体的・性的虐待(abuse),低賃金(underpayment)と勤労時間表操作(manipulation of time sheet)があるという疑いと抗議が提起された。 労働搾取と基準未達労働条件に対するこのような疑いが進歩的で公正な国家と言われるニュージーランドの評判に害悪を及ぼしてきたという点には疑問の余地がない」と明らかにした。 続けて報告書は「評判に害悪を及ぼすと報告された事件の大部分は韓国漁船で起きたと見られる」として「特定の韓国遠洋業者と漁船の名前がこのような脈絡で繰り返し登場する。虐待疑惑はほとんどがインドネシア船員に向けられている」と明らかにした。
思潮五洋 遠洋漁船 インドネシア船員脱出事件で開始
ニュージーランド調査団、韓国船員が加えたセクハラ・暴行を認定
シンジ号は操業許可剥奪・外国人船員雇用禁止
ニュージーランド労働部(Department of Labour)が韓国の遠洋漁船‘シンジ号’が労働条件などに関するニュージーランド政府の調査に回答を拒否したという理由により、去る3月5日外国人船員を雇用禁止処分をした事実も新たに明らかになった。 ニュージーランド農林部(Department of Agriculture and Forestry)は船舶安全基準に違反したとし去る2月シンジ号の操業許可を完全に剥奪した。
ニュージーランド政府の調査は2010年五洋70号の転覆事故に触発された。 2011年には五洋75号のインドネシア人船員32人全員が韓国人からセクハラと暴行にあったとし船から逃げた。 ニュージーランド、オークランド経営大学アジア研究所が先ず報告書を作成した。 続いてニュージーランド農林部と労働部が合同調査団を設けた。 オークランド大学報告書は韓国言論に一部紹介され(<ルモンド ディプロマティク>韓国版2012年1月号‘乱獲と蹂躪、韓国マグロ漁船の競争力’参照)関心を集めた。 ニュージーランド情報の公式報告書の内容は今回の報道で初めて知らされた。 二つの報告書は全て、遠洋漁船の韓国人幹部が外国人船員にセクハラして賃金搾取をしたことを認定した。
人権委、セクハラ可能性あるとしながらも審議棄却を決定
決定は異例的に非公開…対策準備必要という勧告だけ
被害者直接面接調査も実施せず
しかし韓国の国家人権委員会差別是正委員会が、国際民主連帯とソウル公益法センターなどが五洋75号のインドネシア船員6人に代わって‘セクハラなどを体験した’として昨年提出した陳情に対し、去る4月18日に棄却決定した事実が<ハンギョレ21>による取材の結果確認された。 人権委は決定を異例的に非公開とした。 常任委内外を取材した結果、人権委は五洋75号で補助甲板長として働いた被陳情人カン・某氏がインドネシア船員6人の性器を触ったり、彼らのからだに自身の性器をこすりつけたという‘可能性’を認めた。 人権委は 「被害者が共通的に加害者としてカン氏を名指ししており、カン氏が自身の性器を突きつけたり被害者のからだにこすりつけ被害者たちに抱きつき、シャワー中のインドネシア人船員を追いかけて行ったなどの共通点が発見され、セクハラ行為の発生可能性を完全に排除し難い」と認めた。それでも人権委は「被害者と目撃者の陳述が一致しない」などの釈然としない理由で棄却決定した。 ただし人権委は遠洋漁船という空間的特性を根拠に「遠洋漁船内船員のセクハラ予防および救済のための対策準備が必要だ」と勧告した。 一種の‘妥協案’であるわけだ。
キム・ヨンヘ(53)差別是正委員長とヤン・ヒョンア(52),キム・ソンヨン(63)非常任委員が共にこの事件を受け持った。 キム・ヨンヘ委員長はソウル中央地裁部長判事出身の法曹人で保守指向の弁護士団体である‘市民と共にする弁護士’共同代表を務めた。 ヤン・ヒョンア委員はソウル大法学専門大学院教授で日本軍性的奴隷戦犯 女性国際法廷韓国、北韓共同起訴団の検事として活動するなど女性人権活動を永く行ってきた。 またキム・ソンヨン委員は前聖潔(ソンギョル)大総長であり、履歴を調べても人権関連活動経歴は見当たらない。 主に保守的キリスト教系の見解を代弁する活動をしてきた。 決定過程で委員の間に見解差異が大きかったものと推測される。 人権委側は「(一度完成された)決定文を再び直している。 いつ最終決定文が出てくるかはまだ確実でない」と明らかにした。 人権委は甲板長チェ・某氏が暴行と暴言を働いたという疑いも事実と認定した。 思潮五洋がインドネシア人船員の賃金契約書を二重作成していたという疑いも事実と認定した。 それにも関わらず人権委は暴言問題と賃金問題は人権委の調査対象から外れた主題とし‘却下’を決めた。 思潮五洋は<ハンギョレ21>の取材に対し返答を拒否した。
不誠実がもう一つの問題だ。人権委は重要な参考人4人の 「陳述を確保するのは難しい」などの理由で陳情を棄却した。 被害者に直接面接調査することもなかった。 <ハンギョレ21>がインドネシアの人権団体‘アッキーインドネシア’(ATKI Indonesia)に問い合わせた結果、彼らの近況が簡単に把握できた。 <ハンギョレ21>はインドネシアを訪問して五洋75号に乗ったインドネシア船員2人に直接インタビューした。 彼らにとって韓国は依然として遠い国であった。
コ・ナム<ハンギョレ21>記者 dokko@hani.co.kr
*韓国国家人権委に陳情を出したインドネシア人船員トゥリスマントとスキットの事縁など、この事件に関連した更に具体的で多様な話は<ハンギョレ21> 911号に載っています。 <ハンギョレ21>は全国の鉄道駅などの売店や大型書店で購入できます。
原文: http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/532685.html 訳J.S