パキスタン北西部で撮影された、アメリカの無人機の姿です。
昼夜を問わず姿を現し、突然、攻撃を行うといいます。
攻撃を受けた建物です。
激しく壊れ、がれきが散乱しています。
ミサイルの破片と見られる残骸もあります。
アメリカは、パキスタンに潜むイスラム過激派を狙って、無人機による攻撃を続けています。
無人機攻撃で、何が起きているのか。
家族が犠牲になったという男性を訪ねました。
パキスタン北西部で小学校の教師を務める、ラフィークウル・レヘマーンさんです。
去年(2012年)10月、自宅近くの畑にいた65歳の母親が突然、無人機の攻撃を受けたといいます。
ラフィークウル・レヘマーンさん
「母は子どもたちと畑に出て、野菜を収穫していました。
そのとき突然、米の無人機が攻撃してきて、母の体は吹き飛びました。」
このとき、レヘマーンさんの息子や娘もけがをしました。
息子 ズベールくん
「激痛をこらえながらなんとか、その場からはって逃げたんだ。
もう、ここにはいたくありません。」
娘 ナビーラさん
「無人機の音がすると怖くて何もできないわ。
遊びにも行けず、いつもびくびくしているの。」
レヘマーンさんは、母親がテロとの関わりを疑われる理由は、1つも思い当たらないといいます。
ラフィークウル・レヘマーンさん
「女性や子どもがテロに関わっているわけはない。
米がやっているのは冷酷な殺人行為です。
許せません。」
多くの市民が犠牲になっているのではないか。
国連は調査チームを設置して、無人機攻撃の被害実態を調査。
先月(10月)、中間報告を発表しました。
報告書によりますと、2004年以降、パキスタンで犠牲になった市民は、少なくとも400人。
戦闘員と一般市民を区別する配慮もなく、さまざまな国際法に違反している疑いがあると指摘しました。
さらに、「調査の最大の障壁は透明性の欠如だ。
安全保障を理由に統計を出さないことは正当化できない」と指摘。
アメリカに対し、情報の開示を強く求めました。
パキスタンのシャリフ首相も先月、オバマ大統領との会談で無人機攻撃をやめるよう要求。
パキスタン シャリフ首相
「対テロ作戦において協力の強化で合意したが、米による無人機攻撃の中止の必要性も強調した。」
これに対して、オバマ大統領は攻撃を続けていく姿勢を示しました。
“極秘の作戦”として、詳細が明らかにされない無人機攻撃。
パキスタン国民の怒りが高まっています。
イムダッド・ウッラーさんです。
無人機の攻撃によって、いとこが殺害されたといいます。
イムダッドさんは2年前、首都イスラマバードで開かれた無人機の抗議集会に参加していました。
集会には当時16歳だった、いとこのタリク・アジズさんもいました。
タリクさんは、パキスタン北西部に戻ったあと、乗っていた車が無人機の攻撃を受けて、命を落としました。
抗議集会から、僅か3日後のことでした。
イムダッド・ウッラーさん
「ミサイルが落ちた場所に、すぐ駆けつけたんです。
すると、タリクが車の中で燃えていました。
辛くて見ていられませんでした。」
イムダッドさんは、タリクさんの遺品を今も大切に保管しています。
なぜタリクさんが殺されなければならなかったのか、納得できないといいます。
イムダッド・ウッラーさん
「米はメディアに“テロリストを殺している”と説明しているが、何の証拠もありません。
無実の市民が無差別に殺されていることに、この地域の人たちは心底、怒っています。」
実態を明らかにしないまま、アメリカが続ける無人機による攻撃。
家族を失った人たちの怒りは、強まるばかりです。