「茶の文化で日中友好を」 中国の美術大3教授が「芦屋釜の里」を訪問 [福岡県]
中国・浙江省の美術大学「中国美術学院」の教授3人が6日、芦屋町山鹿の町立文化施設「芦屋釜の里」を訪れ、伝統的な芦屋釜の工法や歴史などについて、鋳物師と学芸員から説明を受けた。一行は「両国で伝わる茶の文化交流を通し、友好の橋渡しができれば」と期待感を語った。
書や篆刻(てんこく)などが専門の教授らは2日に来日、2週間の日程で京都や東京などの寺院や史跡を巡っている。芦屋釜を学びたいと希望したところ、中国・北京市の中日青年交流センターに篆刻作品を寄贈するなど日中の文化交流に貢献している若松区の篆刻家、師村妙石さん(64)の仲立ちで、訪問が実現した。
6日は教授や関係者など計8人が来訪。学芸員の新郷英弘さん(37)が、茶の湯釜の国指定重要文化財9点のうち、芦屋釜が8点を占めていることや、400年近く途絶えていた製法を解明し、産業として定着させる努力をしていることを説明した。
工房では、鋳物師の八木孝弘さん(41)が、全国からの注文に応えて一つ一つを手作りする苦労などを語った。中国側からは「機械で大量生産する道具が多い中、これだけ高い技術と美意識を大切にした作品を手作りするのは珍しい」と、称賛の声が聞かれた。
一行のリーダー役の陳大中教授(51)は、両国関係が悪化していることに関連して、「互いに共通する文化や風習を生かして両国民の距離を縮められるよう、旅で学んだことを中国で広めたい」と語った。
=2013/11/07付 西日本新聞朝刊=