11月6日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ユーロ上昇、経済指標受けECBの利下げ見送り観測
ニューヨーク外国為替市場ではユーロがドルと円に対して上昇。ユーロ圏のサービス業景況指数が速報値から上方修正されたことで、欧州中央銀行(ECB)が7日の政策決定会合で利下げを見送るとの観測が強まった。
ドル は7週ぶり高値付近から下落。7日発表の7-9月(第3四半期)国内総生産(速報値)では、前期比での伸び鈍化が見込まれている。米連邦準備制度理事会(FRB)による2つの調査リポートでは、経済におけるスラック(たるみ)により緩和的な政策スタンスが正当化されると記された。円は下落。東京株式市場でTOPIX が上昇し、逃避先通貨としての円の需要が後退した。ニュージーランド(NZ)ドルは2週間ぶり高値。雇用者数の増加に反応した。
RBSセキュリティーズの為替ストラテジスト、ブライアン・デンジャーフィールド氏は電話取材で、「ECBの会合を控え、かなりの不透明感が広がっている」と指摘。「ECB会合を前にユーロ安が多少行き過ぎたかもしれないと懸念する声が聞かれた」と加えた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ユーロは対ドルで前日比0.3%上昇の1ユーロ=1.3513ドル。4日には1.3442ドルと、9月18日以来の安値を付けていた。対円ではこの日0.4%上げて1ユーロ=133円31銭。ドルは対円で0.2%値上がりし、1ドル=98円66銭。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数は0.3%下げて1013.48。4日には1017と、9月18日以来の高水準に上げた。
NZドルNZドルは米ドルに対し4日続伸。NZ統計局の発表によると、同国では7-9月期に雇用者数が1.2%増加した。前期は0.4%増だった。
NZドルは0.1%高の1NZドル=0.8377米ドル。一時0.8415米ドルと、10月24日以来の高値を付けた。
7日のECB会合をめぐっては、ブルームバーグがエコノミスト70人を対象に実施した調査 で67人が、現在0.5%の政策金利を据え置くと見込んでいる。一方、バンク・オブ・アメリカ(BOA)、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)、スイスのUBSは0.25ポイントの引き下げを予想した。
ECB利下げ見通しゲイン・キャピタル・グループのシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏「ECBが7日に利下げを決定するとの見方が強まっていたことから、ユーロはこのところ軟調だった。利下げはなさそうだと当社は考えている」とした上で、「今後利下げがあることを示唆する可能性は高い」と続けた。
英マークイット・エコノミクスが6日発表した10月のユーロ圏サービス業景気指数(改定値)は51.6と、速報値(50.9)から上方修正された。同指数は活動拡大・縮小の分かれ目となる50を3カ月連続で上回った。
ブルームバーグの調査によれば、7-9月の米GDPは前期比年率2%増と、前期の2.5%増からの減速が見込まれている。GDP統計はあす7日に発表される。また8日発表の10月雇用統計に関しては、非農業部門雇用者数の12万人増が予想されている。9月は14万8000人増だった。
米金融当局による失業率押し下げを目指す政策は効果的だと、FRBの当局者が報告書で指摘した。
イングリッシュFRB金融政策局長は、失業率が6.5%を上回る状況では、利上げしない戦略が効果的な刺激を提供しており、その基準を引き下げることも有効である可能性があると分析。ウィルコックスFRB調査統計局長は別の報告書で、インフレ期待が抑制された状況では経済のたるみが緩和策を正当化するとの認識を示した。
原題:Euro Rises on Bets ECB Will Refrain From Rate Cut; KiwiRallies(抜粋)
◎米国株:上昇、ダウは最高値を更新-当局が緩和継続に前向き姿勢
6日の米国株 は上昇。ダウ工業株30種平均は最高値を更新した。景気の弱さは緩和策の継続を正当化するとの見解を金融政策当局が示した。今週発表される実質国内総生産(GDP)や雇用統計を控え、投資家は様子見の展開を続けている。
マイクロソフトは上昇。野村ホールディングスがマイクロソフトは新たな最高経営責任者(CEO)の下で採算の取れないコンシューマー事業から撤退する可能性があると指摘したことが好感された。アパレルブランドのラルフ・ローレンも高い。売上高予想の下限レンジを引き上げたほか、四半期増配も買い材料だった。
一方、電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズは下落。7-9月(第3四半期)の販売台数が一部予想を下回ったことが嫌気された。
S&P500種株価指数 は0.4%上げて1770.49。ダウ工業株30種平均は128.66ドル(0.8%)高の15746.88ドルと、10月29日に記録したこれまでの終値ベースでの最高値15680.35ドルを上回った。
モトリー・フール・アセット・マネジメント(バージニア州)のビル・マン最高投資責任者(CIO)は「金融当局はリスクを取った行動に報いるという姿勢を示した」と述べ、「緩和策の方向が反転するまで相場は高値を更新し続けるだろう」と続けた。
S&P500種は年初から24%上昇しており、年間ベースでは2003年以来最高になる勢いだ。
金融政策当局の見解米連邦準備制度理事会(FRB)のイングリッシュ金融政策局長は、失業率が6.5%を上回る状況では、利上げしない戦略が効果的な刺激を提供しており、その基準を引き下げることも有効である可能性があると分析。ウィルコックス調査統計局長は別の報告書で、米国経済の弱さは「極めて緩和的な金融政策」が必要だと述べた。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は5日の顧客向けリポートで2つの調査報告に言及し、「連邦公開市場委員会(FOMC)がフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を引き上げる基準となる失業率を6.5%から引き下げる可能性をかなり高める」と述べた。
米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した9月の米景気先行指標総合指数(LEI)は前月比0.7%上昇した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は0.6%上昇だった。
GDPと雇用統計予想ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値によると、7日に発表される7-9月(第3四半期)の実質GDPは前期比年率2%増が見込まれている。前四半期は2.5%増だった。8日に発表される10月の雇用統計では12万人の雇用増が見込まれている。
ブルームバーグのデータによると、S&P500種構成銘柄でこれまでに四半期決算を発表 した423社のうち75%がアナリスト予想を上回る利益となった。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によると、同株価指数構成銘柄の第3四半期の利益は4.1%増となっている。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)はこの日4.5%低下して12.68だった。VIXは年初からは30%低下している。
S&P500種のセクター別(全10業種)は8指数が上昇。消費財株や公益事業株が特に上昇した。
マイクロソフトが高いマイクロソフトは4.2%高。野村のアナリスト、リック・シャーランド氏はマイクロソフトの株価目標を40ドルから45ドルに引き上げた。
ラルフ・ローレンは5.5%高。同社は通期の増収率を5%超とみているが、従来予想では4%以上となっていた。同社はまた四半期配当を1株当たり40セントから45セントに引き上げた。
テスラは15%急落。同社の発表資料によると、セダン「モデルS」の7-9月期の販売台数は約5500台。バークレイズの自動車アナリスト、ブライアン・ジョンソン氏は5820台、ドイツ銀行のダン・ガルベス氏は5850台を予想していた。
原題:U.S. Stocks Climb, Lifting Dow to Record, Amid FedSpeculation(抜粋)
◎米国債:10年債反発、低金利長期化観測で-論文と総裁発言が材料
米国債市場では10年債相場が反発。利回り は前日に付けた約3週間ぶりの高水準から低下した。米金融当局が量的緩和を縮小し始めた後も事実上のゼロ金利政策を長期にわたって維持するとの思惑が背景にある。
5年債と10年債の利回り差 は過去2年余りで最大の幅に拡大した。金融当局の研究論文が低金利の長期維持を支持する内容だったことも材料視された。クリーブランド連銀のピアナルト総裁は量的緩和の縮小について、金融引き締めと捉えるべきではないと発言した。
ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券取引責任者、デービッド・コード氏(ニューヨーク在勤)は「相場を動かしている2大材料は経済指標と、緩和縮小に関する当局の見解と協議だ」と指摘。「当局内部には経済の現状についてなお懸念があるのだろう。緩和縮小が遅れるとの見方は何であれ、米国債の買い材料になるはずだ」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回り は前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.64%。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は7/32上げて98 25/32。
5年債と10年債の利回り差は1.31ポイントと、2011年8月以降で最大の幅となった。
CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード)の政府債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「金融当局が失業率の目安を引き下げた場合、政策金利をゼロ近辺で長期に維持するだろう」と予測。「低金利の長期化は最終的にインフレにつながる可能性があり、10年債や30年債はアンダーパフォームするだろう」と述べた。
FRB報告書米連邦準備制度理事会(FRB)による失業率押し下げを目指す政策は効果的であり、経済のたるみのレベルを考えれば、緩和スタンスは妥当だとFRBの局長らが2つの調査報告書で指摘した。
FRBのイングリッシュ金融政策局長は、失業率が6.5%を上回る状況では、利上げしない戦略が効果的な刺激を提供しており、その基準を引き下げることも有効である可能性があると分析。ウィルコックス調査統計局長は別の報告書で、インフレ期待が抑制された状況では経済のたるみが緩和策を正当化するとの認識を示した。
報告書は7日からワシントンで開催される2日間の会議に先立って国際通貨基金(IMF)のウェブサイトに掲載された。FRB上級スタッフは連邦公開市場委員会(FOMC)会合向けの説明資料や金融政策の選択肢の草案を作成する。
財務省は12日から始まる入札の詳細を発表。3年債を300億ドル、10年債を240億ドル、30年債を160億ドル発行する。発行総額は700億ドルとなり、前四半期の720億ドルを下回った。
変動利付債財務省は2014年1月29日に100億-150億ドル相当の変動利付債を発行すると発表した。新たな形式の国債発行はインフレ連動債が導入された1997年以来で初めて。
同省のラザフォード次官補(金融市場担当)は記者団に対し、変動利付債を毎月発行することを明らかにした。新規発行を年4回、追加発行をそれぞれの新規発行に対して2回実施して銘柄統合する。
ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「変動利付債は財務省の矢筒に新たな矢が加わったようなものだ。財務省短期証券(TB)の買い手には魅力的になるだろう。固定利付債市場とはさほど重ならないだろう。成功の鍵は新たな投資家を呼び込める能力があるかどうかだ」と語った。
原題:Treasury 10-Year Note Gains on Speculation Fed to KeepRates Low(抜粋)
◎NY金:反発、2週間ぶり大幅高-ドル下落が経済の弱さを示唆
ニューヨーク金先物相場は反発。ほぼ2週間ぶりの大幅高となった。7日発表の米国内総生産(GDP)では成長の伸び悩みが示されるとの見方を映してドルが軟調に推移したことが背景。
エバーバンク・ウェルス・マネジメントのシニアマーケットストラテジスト、クリス・ギャフニー氏(セントルイス在勤)は電話インタビューで、「今の経済はまだ健全とはいえない」と指摘。「ドルの弱さが金を支えている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.7%高の1オンス=1317.80ドルで終了。先月24日以来の大幅上昇となった。
原題:Gold Rises Most in 2 Weeks as Dollar Slide Signals WeakEconomy(抜粋)
◎NY原油:反発、ガソリン需要急増とテクニカル要因で
ニューヨーク原油先物相場は反発。米国でのガソリン需要が7月以来の水準に増加し、燃料在庫が圧縮されたことから、5週間ぶりの大幅高となった。テクニカルな指標で下げ過ぎのシグナルが示されたことも、買い材料となった。
アイアイトレーダー・ドット・コムの創業者で市場担当チーフストラテジストのリチャード・イルチスジン氏(シカゴ在勤)は「衝撃的なのはガソリン在庫の取り崩しだ」と指摘。「需要は高まっており、相場には好材料だ。市場は石油製品の統計に明確に反応している。原油は売られ過ぎだ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前日比1.43ドル(1.53%)高の1バレル=94.80ドルで終了。10月2日以来の大幅な値上がりで引けた。
原題:Crude Surges the Most in Five Weeks as U.S. Fuel DemandClimbs(抜粋)
◎欧州株:5年半ぶり高値、好決算でアルストムとINGに買い
6日の欧州株式 相場は上昇。指標のストックス欧州600指数は5年半ぶり高値を付けた。アルストムやINGグループの利益が予想を上回ったのに加え、ドイツや英国の製造業データ改善が相場の上昇要因となった。
発電機器などを手掛けるフランスのアルストムは1年4カ月ぶりの大幅高。営業利益が市場予想を上回った同社は、資産売却で最大20億ユーロの調達を目指す方針を示した。オランダの金融サービス会社、INGは3.5%上昇。予想を超える純利益を発表した。スイスの人材派遣会社アデコは3.6%上げた。
ストックス欧州600指数 は前日比0.4%高の323.26で終了。この日は終値ベースと日中ベースで2008年5月22日以来の高値を付けた。年初来では16%上げている。
KBCアセット・マネジメント(ブリュッセル)で投資運用部門の責任者を務めるダーク・ティールズ氏は、「マクロ経済が改善する限り、投資家らは企業業績の改善を期待し続けるだろう」と指摘。「欧州株の力強い相場上昇は、業績見通しの上方修正が織り込まれつつあることを示す。今の決算シーズンに利益の伸びが経済に後れを取った場合でも、業績回復の証拠を確認するため喜んでもう1四半期待ちたいと思う」と語った。
この日発表された9月の英鉱工業生産指数は前月比0.9%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値の0.6%上昇を上回った。9月のドイツ製造業受注は3.3%増え、予想中央値の0.5%増を上回った。
6日の西欧市場では、英国とアイスランドを除く16カ国で主要株価指数が上昇。英FTSE100指数は0.1%安となった一方、独DAX指数は0.4%、仏CAC40指数は0.8%それぞれ上げた。
原題:European Stocks Climb as Alstom, ING Earnings ExceedEstimates(抜粋)
◎欧州債:スペイン債は3日続落、入札を控え-英独債はほぼ変わらず
6日の欧州債市場ではスペイン10年債は3日続落。同国は7日に最大40億ユーロの国債を発行する。欧州中央銀行(ECB)の定例政策委員会が同日に開催される。
イタリア国債も下げた。同国は個人投資家向けにインフレ連動債を223億ユーロ発行した。ドイツ国債 はほぼ変わらず。同国で9月の製造業受注が市場予想を上回る伸びとなったほか、5年債入札が実施された。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)とUBS、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の3社は、ECBが7日に0.25ポイントの利下げを実施すると予想している。スペインは5年物と10年物、13年物の国債入札を実施する。
クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の債券ストラテジスト、ピーター・チャトウェル氏は「スペイン国債は翌日の入札を控えて値下がりした。ECBをめぐり不透明感が若干あるが、国債供給を消化する上でいかなる問題もないと思う」と発言。「ECBは9日にあまり大きなことはしないと当社はみている」と付け加えた。
ロンドン時間午後5時現在、スペイン10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.15%。同国債(表面利率4.4%、2013年10月償還)価格は0.37下げ102.01。同年限のイタリア国債の利回りは4bp上げて4.21%。一時は5bp下げた。
ドイツ10年債利回りは1.74%。2bp下げる場面もあった。
英国債相場は前日からほぼ変わらず。イングランド銀行(英中央銀行)は7日の金融政策委員会(MPC)で金融政策を決定する。
英10年債利回りは2.71%。前日は2.74%まで上げ、先月22日以来の高水準となった。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は96.02。
原題: Spain’s Bonds Drop a Third Day Before Nation Sells DebtTomorrow(抜粋)Pound Climbs for Third Day Versus Dollar as Production Expands(抜粋)
更新日時: 2013/11/07 08:09 JST