ナチス略奪の絵画が発見!1500点が隠されていた場所とは?


Museumsinsel_München

昨日ヒトラーの名誉市民の称号が剥奪されたことをお伝えしたばかりだが、今度はナチスによって略奪された1500点もの絵画が発見された。ドイツ南部の都市ミュンヘンから発見されたのは、第二次大戦前からナチス・ドイツによってユダヤ人から略奪された絵画で、パブロ・ピカソやアンリ・マティスなどが含まれ、約10億ユーロ(1330億円)相当の価値があるという。

 

これらの絵画は、80代の男性が所有するアパートの一室から発見された。コルネリウス・グルリット容疑者は、父親がナチス幹部とつながりのあるアート・ディーラーで、1930〜40年代に父親によって収集された絵画は50年以上も部屋に眠っていたという。容疑者は、定期的にこれらの絵画を売却して生活費に当てていたが、2011年に脱税容疑で当局がアパートへ踏み込んだことにより、大量の絵画を所有していることが発覚した。

 

ヒルデブラント・グルリットとは?

実は、容疑者の父親であるヒルデブラント・グルリットは、ナチスに協力した「退廃芸術」のアート・ディーラーとして広く知られている。

1895年にドレスデンで生まれた彼の家は、芸術一家だった。父は建築であり美術史家、兄は音楽家、そして彼の甥も美術商人として活躍するが、しかし、当時最も重要であったことは、彼の母方の祖母がユダヤ人であるということだった。グルリットは大学を出た後、1925年にドレスデンの近くにあるツヴィッカウという街の美術館に勤務する。

後に退廃芸術の展示会を多く手がけるグルリットは、この美術館で前衛的な画家として知られるマックス・ペヒシュタインの展示会を行う。人々の注目を集めたこの展覧会は成功を収めたものの、保守的な人にとってグルリットの手がける現代アーティストの作品は理解不能だった。結局、5年後に現代アートへ傾倒するグルリットを非難する動きによって美術館を解雇された彼は、民間のアート・ディーラーとして都市ハンブルクへ活動の拠点を移す。

1936年には、フランスの著名な劇作家・小説家として名高いサミュエル・ベケットとも面会している。

 

 

ナチスへの協力

1933年、ナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスに認められたグルリットは、リンツにあるアドルフ・ヒトラーのための美術館のディーラーに就任する。ドイツ軍によって占領された地域やユダヤ人から没収した絵画は、膨大な数におよび、退廃芸術の作品を中心として、略奪品の幾つかは個人的なコレクションへと加えられた。

ナチス高官の中には、外貨獲得や成金趣味としてなど様々な理由から芸術を収集する者が少なくなかったが、中でも空軍総司令官ヘルマン・ゲーリングは特に美術品を好み、退廃芸術にも関心を持っていた。グルリットは、パリにおいてゲーリングの個人コレクションの“買い付け”もおこなった。

彼は、その個人コレクションが1945年のドレスデン爆撃によって消滅したとアメリカ軍に語っており、戦後もディーラーとして活動を続けた。

 

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