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【ゆうゆうLife】認知症男性の列車事故 720万円損害賠償命令で波紋
「釧路地区障害老人を支える会(たんぽぽの会)」の岩渕雅子会長も「介護に携わっていなかった親族は責任を問われず、介護した家族が責任を問われるのでは誰も介護をしなくなる。認知症の人が外に出ないように、家族が外から五寸くぎを打ち付けて介護していた時代に戻ったら困る」と言う。
北海道釧路市では20年前から、行方不明の認知症の人を地域ぐるみで捜索・保護するネットワークをつくってきた。今は行方不明者が出ると、警察が保健所や福祉事業所、連合町内会やラジオ局、ハイヤー協会、トラック協会など約360団体に呼び掛け、地域ぐるみで捜す。
しかし、事故をゼロにするのは困難だ。岩渕会長は「鉄道事故が起きれば鉄道会社も経済的な負担を負う。それを会社が負うのもおかしい。認知症の人が交通事故に遭い、ひいた人が罪を問われるのも困る。新たなシステムづくりが必要だと思う」。
別のある自治体では実際に見守りをしていた認知症の女性を事故で亡くした。女性は日に複数回の神社の掃除が日課。家族や自治体は女性が盛夏に脱水で倒れることを心配してチラシを作成。家から神社への道沿いの公的機関や地域の人に働き掛けて女性を見守り、行方不明になったら連絡網で捜す仕組みをつくった。しかし、うまくいっているかに見えた2年後、女性は事故で死亡した。
職員の中からは「在宅にこだわり過ぎた結果ではないのか」との声も出た。しかし、取り組みをするまでには、本人の意思をおもんぱかり、家族にどう暮らしたいかを確かめ、自治体の地域包括支援センターや福祉職が連携し、周囲でできることを検討し、地域で共通認識をつくって取り組んだ経緯がある。
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