「親中に追いやるぞ」
韓国紙が一部とはいえ「だったら、中国と同盟しよう」と書いたとのくだりには少々驚きました。本気なのか、あるいはすねて見せ米国の気を引くのが目的なのでしょうか。
鈴置:確かに「あなたが私よりも日本を可愛がるなら、中国と仲良くするけど、いいの?」と袖を引いている部分もあると思います。
例えば、文化日報のイ・ミスク国際部長の書いた「逆行する米国の対日外交」(10月16日)はそんなニュアンスです。この記事は、集団的自衛権問題で米国が日本を支持したことを強く非難したうえ、以下のように結んでいます。
・日本の右傾・軍事化を見逃すのなら、それは米国のアジア回帰の道ではなく、アジアの友邦を親中国家に追いやる道だ。
一方、「日米同盟強化で逆切れした韓国」で引用した韓国日報の北京特派員の記事は、本心から中国との同盟を主張していると読めます。米韓同盟よりも中韓同盟の方が韓国の国益に利する、と論理的に説明しているからです。
「だったら、中国と……」とは、すねて言っている部分もあり、本気の部分もあり、ということなのですね。
初めて米国以外に「同盟先」
鈴置:ええ、そうです。いずれにせよ、東アジアの動向を読む際にこれらの言説を軽く見てはいけないと思います。とにもかくにも韓国メディアが「中国との同盟を考えよう」と言い出したのは初めてのことなのです。
過去に米韓同盟が不安定になった時期は何度もありました。最近だと反米親北の盧武鉉政権(2003−2008年)の時です。米国も真剣に同盟の打ち切りを考えたようです。
『中国という蟻地獄に落ちた韓国』