5位以降の説明の前に、Geers氏は「6位と5位の間には大きな差がある。ここから先に紹介する国は、ほかとは比較にならないレベルだ」と語った。
・5位 ビルマ
反政府デモ隊に対する軍の鎮圧行動を取材中に、日本人ビデオジャーナリストの長井健司さんが射殺された事件は記憶に新しい。
ビルマ(Geers氏はこの国をミャンマーとは呼んでいない)におけるインターネットの普及率は0.6%程度と非常に低い。インターネットカフェを利用するには住所氏名などの登録が必要で、しかも頻繁にスクリーンショットを取られるという。そして、“不正なアイデアや主張”、(現在の体制に対する)“批判”などが見受けられれば投獄されるとのこと。
なお、この10月にはビルマ国内からインターネットへの接続が一時遮断されたという。「YouTubeの衝撃は、政府にとって大きなものだった。デモ隊や軍の鎮圧行動の動画が流れるなどしているため、国外への情報流出を遮断することにしたようだ」とGeers氏は言う。
・4位 キューバ
教育水準は高いが、インターネット利用率は2%未満と非常に低い。そもそも、ほとんどのコンピュータは政府が保有している。インターネットカフェは、1時間の利用料金が一般的な国民の半月分の収入に相当する、非常に高額なサービス。そして、不正な接続で5年、反革命的な書き込みなどをすれば20年の刑に処せられるという。ホテルからのインターネット接続で、反体制的メッセージの送信を試みたところ、“国家保安上の理由により”禁止されているというポップアップが表示され、PCはクラッシュしたとのことだ。
・3位 中国
世界で最も洗練されたネット監視システムを持つという。さしずめ“万里のファイアウォール”というところか。「台湾」「チベット」「ダライ・ラマ」「天安門広場」といったキーワードはすべて国家規模のゲートウェイで遮断される。一部のURLはTLD(トップレベルドメイン)レベルでアクセスできない。ブログのエントリも書き換えられたりする。
2007年に入って、ネットの“浄化”政策を新たにした。社会主義文化の育成をうたい、新たなインターネットカフェも登場しなくなった。
・2位 トルクメニスタン
旧ソ連国家の中では最もIT化が遅れているという。あらゆるメディアがニヤゾフ大統領を賞賛する報道を強いられており、個人崇拝的な状況になっている。インターネットへのアクセスはほとんどできない。個人宅からのアクセスは皆無に等しく、インターネットカフェも2007年に2店がオープンするまで皆無だった。インターネット利用者は2002年に8000人という数字が伝えられているが、その限られたユーザーにとっても、ごくわずかなサイトしか閲覧できないという状態だ。PCの普及率は比較的高く、ゲーム好きが多いという点が唯一の明るい材料という。
・1位 北朝鮮
世界で最も隔絶された国家であり、『1984年』の社会そのもの。いうまでもなく報道機関は国営に限られ、国民はコンピュータの利用すらできない。インターネットに自由にアクセスできる人は、政府中枢部においてもごくわずか。ただし、金正日総書記自身はITに熱心で、2000年には当時のオルブライト米国務長官が訪朝した際にメールアドレスを教えている。また、国家的なハッカー養成機関があり、選抜されたエリートを教育している。
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